他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498273

感想・レビュー・書評

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  • 2006年2月に出版された本なのだけれど、それから小泉・安倍内閣を経たことで経済的な格差がさらに拡大、若者を取り巻く社会事情がだいぶ変わったことにより、いま読むと漠然としすぎている感じがする。端的に言えば悪化している。持つべき自信すら持てない状況にあるため、苦言すら悠長に感じる。

  • 何の根拠もなく自分は偉い、すごいと思ってしまい、他人を自分より低くみてしまう。
    それが最近の若者だけの傾向なのかどうかは分からないが、すでに若者ではない自分自身も気をつけないと」いけない。
    内容はさておき、読み物としてはあまり面白い書き方にはなっていない。
    学術論文ではなく新書であることを考えると好奇心を刺激される編集・内容ではなかった。

  • 最近の若者にとって「自分以外はバカ」で、他人を見下す傾向が顕著である時代であるという。

    筆者はそれを「仮想的有能感」というキーワードによって説明づけようとする。

    つまり、自分の体面、自尊心を守るために、いとも簡単に周囲の人間の能力を否定するのである。
    それによって本当はそうでないのに「自分は優れている」と思いたいのである。

    他人との生身のコミュニケーションが少なくなった現代では
    個人主義の時代になり、他人の心をくみとることができなくなっている若者が増えているというのだ。

    普段生活していて、「どこか冷めた人間が多いな」と実際に感じる問題であり、非常に興味深い考察である。

    しかし、この見方は学会でまだ十分に認められたものではなく、著者の主観も入っていることは否めないので、実際の自分の感じる感覚と照らし合わせつつ注意して読んだほうがよい。

    著者は比較的、現代の若者ばかりを一方的に叩いているような感じを受けるが、
    若者だけでなく、大人にも同じようなことは当てはまるのではないかと私は感じている。

    私はこのような状況を、しつけや文化の問題以上に
    「人が人を互いに傷つけあう攻撃的な社会」の産物であると考える。

  •  「自分は特別な人間」だと思ったり、「誰かに認められたい」と思ったり、まあ、自分の価値(この世での)を高めたい、誰かに認めさせたいと思うのは仕方のないことですが、それは自分だけではなく他者も同じことで、そういった視点で考えるということをしないといけない。

  • 下らない。レポートや調査をもとに筆者が今の若者に文句を言ってるだけ。議論も筆者の勝手な理想の若者像が前提になっていて、非常に非建設的。

  • 心理学者の著書。「仮想的有能感」という概念を提唱して、自分に自信のない若者が他人を見下す現象を説明できる、としている。

    内容に矛盾や根拠薄弱な主張が多いことが目立つ。特に、実験結果の解釈が年配者の肩を持ち過ぎているように感じる。細部で納得できない点がとても多かったが、おおまかな論旨は理解できたし間違ってはいないと思う。

  • 昨日も他人をめっっっちゃ見下してる、不細工な男子学生3人が電車でわーわーやってました。

    「他者軽視傾向から発する自己肯定感」、自分に対する甘い認識、自分を客観視することがないまま突っ走ること。
    「不特定多数の知らない人たちに対して機能しやすい」仮想的な有能感。
    人間関係の希薄さが、仮想的有能感につながる。

    ↑そうなのかな。
    著者の意見にはやや今の時代についていけてない部分もあるけど、せっかく年長者が今の時代に歩み寄り、批判的視点でもの申しているのだからこちらも歩み寄ろう。

    P196~の「彼らの笑いには誰かをこき下ろすような笑いが多いことである。漫才師たちは、よく相手や相手の奥さんをけなすような話をして笑いをとるが、その種のことが若者の間でも平然として行われている。…」には納得。

    若者が海外に出ていかない、好きなものしか食べないで好きなことしかしない、客観的、相対的に考えることが難しい。
    そんな社会でネットは高揚し、ナショナリズムは芽吹くのかも。

  • 日本人は昔より、心から笑うよりも表面的に笑い、悲しむよりも怒ることが多くなったそうだ。実感として感じないわけではないが、自分もその一員である自覚もややある。

    この本はそんな日本人の変遷を学問的に解析して、日本人の分類までしている。

    「仮想的有能感」と呼ばれる「自分だけが偉い」感は日本人に蔓延していて、その回避のためには「しつけ」「自尊感情」「感情どうしを交流させる」ことが必要だ、と説く。やらなければではなく「やりたい」に、できるためには、もっと日本人どうしが「協同」や「想いの交流」をするということが必要なのかもしれない。

  • 2012/3/19読了。

    社会の変化が人々の感情の変化をもたらしたという主張。自尊心だったり、仮想的有能感だったり、記述について誰でも少しは思い当たる節があるはず。
    ただ、どの資料もサンプルが少なすぎて、しっかりとした分析になっているのか少々怪しい。誤差の範囲では?と思えてしまう。

    とりあえず、自分の思考のクセを省みる材料にはなりそうです。

  • 評価高くないようだけれど、興味ある。

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著者プロフィール

中部大学特任教授

「2019年 『内発的動機づけと自律的動機づけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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