- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061854017
作品紹介・あらすじ
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶ-、という手記を残していた。手記を読んだ名探偵法月綸太郎が、事件の真相解明にのりだすと、やがて驚愕の展開が。精緻構成が冴える野心作。
感想・レビュー・書評
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頼子のためにかぁ。恐ろしい話だった。
最初は溺愛する娘を亡くした父親の独白から始まり、このまま復讐劇でラストまでいくのかと思いきや、推理作家、法月綸太郎の登場から物語は一変。このどこにでもありそうな事件が違う顔を見せ始める。
楽しく読めたが、頼子が浮かばれず、読後感はサッパリとはいかない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生の娘を殺された父親の手記から話は始まる。
25年前に書かれた小説だという事だけれど、古さは余り感じず。
堅苦しい感じもなく読みやすい一冊でした。
あとがきなどを読むと作者は何だかナイーブな印象を受けました。逡巡していると言うか。
更に解説で『探偵、法月倫太郎は好きではない』と
ズタボロに言われていて思わず笑ってしまいました。
まぁ、先輩の激励と言ったところなんでしょうが。
『新本格』というジャンルが出来た頃、大御所からバッシングを受けやすい年代だったのでしょうか。
そんな時代背景ありきで作者を見てみると、逡巡している作者にかなり好感が持てます。
シリーズものみたいなので他の作品も読んでみよう。 -
『これを書き始めた最初の夜から、こういう結末になることはある程度決まっていたような気がする。だから私はおまえのために全てを書き残しておかなければならないと考えた。
ここにあるのは私という矛盾に満ちた人間の総体だ。私の哀しみ、私の怒り、私の苦しみ、私の決意、私の欺瞞、私の愛、私の罪悪感、そうした私の心のあらゆる葛藤をおまえに知ってほしかった。私がおまえにしてやれるのはせいぜいこれぐらいのことしかなかったのだ。』
“犯人の手記もの”というジャンルがあれば、これは最高傑作。面白かったなぁ〜。 -
ずいぶん前に買っていたのに何故か放置かましていた本書をようやく読了。
冒頭の手記の吸引力は凄まじく、この悲壮感だだよう物語を著者は20代にして紡いだのかと驚きました。
やがて探偵が捜査に乗り出すのですが、名探偵法月綸太郎初出の『雪密室』を読んだのはずいぶん前のことでいろいろと忘れていました。なんとか記憶を掘り返しつつ読んでいくといつの間にか終盤に。そこで明かされる真相は、なんとも形容し難い物悲しいものですが、本格ミステリに情熱を注ぐ著者らしい仕掛けや伏線、エピローグでの示唆などとても楽しめました。 -
14年前のある不幸な事件から始まった、
悲しき家族とその周りの人々の物語。
男は愚鈍、女は狡猾。
人間美しいばかりではないのだな。
分かってはいるけれど、
やっぱり救いを求めちゃうのが人間なのだと。
残された人たちに光あれ。 -
シリーズの続き。
途中で「実はこうなのでは…」と思ったことと事実としては同じだったのだけど、真実はもっと重くて深くて怖いという…。可哀想でした。いずれにしても理由は愛だもんね。