墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062565158

感想・レビュー・書評

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  • 「想像を絶する」という遺体の状況がこれでもかと展開される。外国人との宗教観の違いの話が興味深かった。そしてマスコミのクズ具合。

    いざとなったとき献身的な人がこれだけ集まるというのは日本という国の強さだろうと感じるが、一方でもブラックだなー寿命縮まるよなーと思わずにはいられない。

  • 夏になり高校野球の季節になると毎年思いだす。
    子供ながらに、当時リアルタイムでテレビから流れる事故の速報を食い入るように見ていました。
    遺体の身元判明がどれだけ大変だったか、医療関係者・警察・遺族の言葉に、涙なしでは読めません。
    自分が今生きていることの意味・重さを考えさせられます。

  • 事故から13年後の1998年に出版された、警察関係者による図書。
    連日報道されていただろうに、生存者4名で、搭乗者のほとんどが亡くなった、ということしか覚えておらず、本書で、身元確認までの壮絶な道のりを知り、想像を絶する事故だったと改めて思う。
    大惨事だけに、身元確認の過程は過酷で、ショッキングな描写は少なくないが、失った家族を探す遺族、文字どおり不眠不休で仕事に向き合う、医師、看護婦、警官の姿勢にただただ心を打たれた。
    また、通常のニュース番組では報道されないことを、当事者やジャーナリストが、発信していくことの大切さについて、本書でより強く感じることができた。

    昨今、就職に有利だからという理由で、警官や看護師を目指す人たちもいると聞くが、教科書や参考書以外にも、本書のような図書にも是非触れてほしいと思う。

  • かつてない規模の航空機事故における遺体確認班長である著者による、当時の記録。
    読んでいるうちに何度も涙があふれてきた。
    離断し炭化し、また猛暑により腐敗し始めたご遺体に真摯に向き合い、家族のもとへ返そうと一心不乱に働き続けた関係者たち。
    突然乗客を襲ったであろう恐怖、遺された者のやりきれない怒りや悲しみ、そしてなにより自分の命を削りながら回収された遺体の確認、清拭を寝ずに行った警察や医師、歯科医師、看護師たち。。想像を絶するような状況のなか、出来る限りの、あるいはそれ以上のことを行われたことが伺える。

  • この本を読んで死生観が変わりました。
    日航機墜落事故の身元確認に当たった警察官の方が書かれたドキュメントです。
    事実を克明に描写されていて、一気に読んでしまいました。
    死がどんなにはかないものか、そして日本人の死に対する誠実さが伝わりました。
    事件を知らない世代の方にも是非読んでもらいたい本です。

  •  
    ── 飯塚 訓《墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 20010419 講談社+α文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4062565153
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19850812
     御巣鷹山の月 ~ 日航ジャンボ機・乗客乗員名簿 ~
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040812
     月は昇らず ~ 日航ジャンボ機・事故関係者 ~
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20091024
     沈まぬ太陽 ~ 日航ジャンボ事故の虚実 ~
     
    (20150817)
     

  • あれから30年。今年は何かと「○○から何十年」が多いですが、日航機事故からもうそんなに経過したのかと、驚きを禁じ得ません。

    1985(昭和60)年8月12日。あの日は本当に暑い日でした。わたくしども家族は、父親の郷里である鹿児島県を目指してゐました。一行は飛行機で行く訳ですが、わたくしは飛行機よりも汽車が好きなので、一人別行動でブルートレイン「富士」の客となつてゐました。時間がかかり過ぎるので一日早く出発し、翌日現地で落合ふことになつてゐたのです。
    わたくしは予定通り宮崎で「富士」を降り(当時は宮崎止)、日豊線で都城へ、志布志線で志布志へ、更に大隅線に乗換へて目的地の吾平で下車しました。鹿児島県肝属郡吾平町(現在は鹿屋市に編入されてゐます)。吾平は「ごへい」ではなく「あいら」と読む難読地名であります。

    吾平駅は有人駅で、若い駅員が地元の人たちの話相手をしてゐました。そこで会話を盗み聞ぎしてゐると、どうやらどこぞで飛行機の墜落事故があつたらしい。飛行機で移動した家族の事がちらと頭を霞めましたが、その場は聞き流してゐました。ところが、集合場所へ行つてみても、既に到着してゐる筈の家族がゐないではありませんか。現地の親族に連絡を取つても、「まだ来てゐない」との返事。この時は首筋に冷たいものを感じ、急に不安に苛まれたのであります。今と違ひスマホですぐニュースを確認することなど出来ないので、焦燥感は募るばかり。
    実際には約一時間後に家族は到着し、胸をなでおろした次第。空港で色色買物をし、時間を喰つてしまつたらしいのです。
    その夜、親戚宅のテレビで改めて事故の詳細を知つた訳であります。

    個人的な事を語り過ぎました。『墜落遺体』の件です。
    発行時に大変な反響を呼んだので、本書をご存知の方も多いでせう。この歴史的事故の犠牲者は520名。その遺体の身元確認の責任者として捜査にあたつたのが、著者の飯塚訓でした。したがつて本書には日航機事故に関する詳細な経緯や事故原因の考察などは出てきません。ひたすら「遺体」に関する記録であります。

    520の遺体のうち、五体満足で残されたのはほんの一握りで、そのほとんどは切断されてゐたさうです。中には、腹の皮一枚で辛うじて上下半身が繋がつてゐた遺体も。それらのバラバラ遺体をすべて身元確認し、可能な限り人体の形に復元する。その上で遺族に引き渡すといふ手順。無論この作業は尋常ならざる困難さを伴ひます。

    何よりも時間との戦ひ。ただでさへ猛暑の時季。遺体は腐乱が進みます。猛烈な悪臭。蛆が湧きます。発見時、既に半ば白骨化してゐる遺体すらあつたさうです。年齢性別も不明な遺体が多く、血液型を調べるなどして時間がかかつてしまふ。遺族とのいざこざも起きます。責任を感じた日航側も、良かれと思つて手や口を出すが、それが却つて足を引張る結果になつたりします。

    現場の警察官、医者、看護師はこの戦場で127日間、戦ひ続けました。皆がそれぞれの立場で、最後の一人に至るまで真摯に遺体に向き合つたのです。携つた方々には頭が下がりますが、責任者にして本書の記録者、飯塚氏は本当に社会的意義のある仕事をされたと思ひます。この記録は風化させてはならぬと考へ、30年の節目にここに取り上げる次第であります。
    出来るだけ多くの人が目を通されんことを望み、本日はご無礼いたします。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-550.html

  • 慟哭、錯乱、無惨。全遺体の身元はこうして確認された!!
    「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。この事故を風化させてはならない!!

    1985年8月12日、群馬県御巣鷹山に日航機123便が墜落。なんの覚悟も準備もできないまま、一瞬にして520人の生命が奪われた。本書は、当時、遺体の身元確認の責任者として、最前線で捜査にあたった著者が、全遺体の身元が確認されるまでの127日間を、渾身の力で書きつくした、悲しみ、怒り、そして汗と涙にあふれた記録。生と死のはかり知れない重さが胸に迫る!

  • ただの肉片、骨片と成り果てたものを
    もういちど「ひと」として送り出すため
    奮闘した方々の記録です。

    生まれて間もない赤ちゃんや、生まれてこれずに
    お母さんのお腹から飛び出て亡くなってしまった子も
    その生命がある間、どれくらいの幸せを振りまいてきたのだろう、ああ、意味のない命って本当に無いのかもしれない、そう思えるようになりました。
    死生観が変わりました。
    つらい状況を淡々と記録した本で読むのがきつい人もおられるかと思いますが、ひとの極限の美しさと極限の醜さを映しだした、大切な一冊になるのではないかなと思います。

  • 名著。文章の力を再実感。

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著者プロフィール

飯塚訓
1937(昭和12)年、群馬県に生まれる。日本大学法学部卒業。1960年、群馬県警察官として採用され、以後、警察本部課長、警察署長、警察学校長等を歴任。
1985(昭和60)年、高崎署刑事官在職時に、日航機墜落事故が発生、身元確認班長になる。1996年、退官。
著書に、『新装版 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便』(講談社+α文庫)、『墜落の村 御巣鷹山日航機墜落事故をめぐる人びと』(河出書房新社)、『完全自供 殺人魔大久保清vs.捜査官』(講談社)、『墜落捜査 秘境捜索 警察官とその妻たちの事件史』(さくら舎)、『刑事病』(文藝春秋)などがある。
現在は、講演活動などを通じて、日航機事故の語り部として、命の尊さを伝えている。

「2015年 『新装版 墜落現場 遺された人たち 御巣鷹山、日航機123便の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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