- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101086019
作品紹介・あらすじ
少年愛、数学、天体、ヒコーキ、妖怪…近代日本文学の陰湿な体質を拒否し、星の硬質な煌きに似たニヒリスティックな幻想イメージによって、新しい文学空間を構築する"二十一世紀のダンディ"イナガキ・タルホのコスモロジー。表題作のほか『黄漠奇聞』『チョコレット』『天体嗜好症』『星を売る店』『弥勒』『彼等』『美のはかなさ』『A感覚とV感覚』の全9編を収録する。
感想・レビュー・書評
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ご自身で読むなら、筑摩の「ちくま日本文学」がお薦め。
https://www.chikumashobo.co.jp/special/niho...ご自身で読むなら、筑摩の「ちくま日本文学」がお薦め。
https://www.chikumashobo.co.jp/special/nihonbungaku/
猫は、まりのるうにいがイラストを描いている本が欲しい、、、2020/08/06 -
猫丸さん、いろんな情報ありがとうございます! 装丁もあたらしくなるんですね。
それにしても出版に異様に詳しいアナタは何者?(笑猫丸さん、いろんな情報ありがとうございます! 装丁もあたらしくなるんですね。
それにしても出版に異様に詳しいアナタは何者?(笑2020/08/09 -
2020/08/09
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漱石の夢十夜が好きならばこちらも、ということで読んでみた一冊。
稲垣足穂はそれまで名前も知らなかった作家ですが、短編のタイトルを見ただけでクラっとくるぐらい言葉のチョイスが私好みだった。
一千一秒物語
黄漠奇聞
チョコレット
天体嗜好症
星を売る店
弥勒
彼等
美のはかなさ
A感覚とV感覚
哲学的引用も多くて、正直後半の3編ぐらいは何が書いてあるのかさっぱり理解できない点も多かったんだけれど、それでも文字を追っていたくなる不思議な吸引力がある。さあ、これからポン彗星の幻想に耽りましょう。
A感覚とV感覚ってそういうこと!?って気が付いた時には思わず笑ってしまった。 -
稲垣足穂は若いときに飛行家志望であったそうだが、足穂のショートショートは広い空の世界でいっぱいだ。
月や流星をちゃかし、派手に格闘したり襲われたりと、まるでドタバタコントのようで笑ってしまう。
空に相当な憧れを抱いていたのだろうか。
遠い空に存在するモノと喧嘩してても、仲の良い悪友であるかのように身近な遊び相手になってしまっている。
地上に住んでいても足穂は、お月様と“ため口”で言葉を交わせるのだから羨ましい。 -
大人になってから出会ったのですが、その世界観にハートを射抜かれました。
お月様、ホーキボシ、シガレット、金平糖、ヒコーキ、半ズボン・・・
詩のような散文のような形式もかわいらしく、
夜寝る前に数編読むと、気分が良いです。
ベランダで月の光を集めてサイダーにする、とか、
出来ちゃうんじゃないか、という気分になります。 -
表題作がすごく好きで、前半だけするーっとすぐに楽しく読んで、「弥勒」辺りから苦しくなってきて、「美のはかなさ」で完全に撃沈した。
AVはおしりフェチやった。 -
一ヶ月くらいかかって読み終わりました…長かった。
何が長かったって、「コイツを読む!」って意気を充填するのにやたらと時間がかかり、さらにインターバルも挟みつつだったので、読了するまでの時間がとにかく長くかかりました。
又吉がむさぼり読む新潮文庫〜といった企画があったので、
その機会に手に取った一冊なんですが、いかんせん難しい…。
序盤の幾つかは本当に雰囲気が好きで、文字を手がかりに情景を必死にイメージしながら読んでたんですが、中盤〜終盤にかけてはとてもその作業が追い付かない状態でした。
なので星は付けられません、さすがに今回は。
しかし、幻想的な空気と古めの文体が絶妙にマッチしていて、
これはいつか読み直したいなぁ、と思えました。
いずれ再挑戦します! -
表題作は、お月さまと戯れるメルヘンチックなお話。
なーんにも考えずに読むと楽しい。
句読点が全くなくて、神秘な世界へ入り込んでしまう。 -
「私の其の後の作品は(エッセイ類も合わして)みんな最初の『一千一秒物語』の註である」とのことだが、確かに通しで読んでみると表題作以外の作品にも、その根底に『一千一秒物語』が常に見えている気がした。一人の作家が語ることのできる物語には限りがある、とは誰の言葉かは忘れたけど、「チョコレット」も「星を売る店」も「黄漠奇聞」も、『一千一秒物語』のある種の変奏曲なのかもしれないと思った。
「弥勒」という作品にこんな一文があった。
『目指す人間とは何であるか?それはこの自分自身である。固有の色合いがある、振動的な、即ち生きている、真鍮の砲弾や花火仕掛の海戦に心を惹かれている自分自身である。その最も自分らしい場所に立ち帰らねばならぬのではないか。』
弥勒は作者の自伝的小説というかエッセイで、この文章に稲垣足穂の意思が収斂しているような気がした。