- Amazon.co.jp ・本 (707ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102097045
感想・レビュー・書評
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有志で開いている読書会がきっかけで、世界の名作小説の代表格であるエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を数年振りに再読。何度読んでもこの小説の謎と魅力は色褪せないなと思います。今回で読むのが3、4回目だっとこともあり、語り手ネリーの「信頼できなさ」を以前より強く感じたのですが、同時にネリーの語りのうまさがこの小説全体の面白さを創り出していると思うし、彼女の語りが上手いからこそ読者は物語に引き込まれていくのだと思います。
鴻巣友季子訳版は初めて読みました。現代の読者がとっつきやすいよう工夫されている訳出はあまり古典文学に馴染みがない読者には親切である一方、この作品の世界観を損なっているように感じてしまう部分もありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
他愛ない恋愛小説を予期して読んでみたんだけど、これは恋愛がどうとかでなくて、神の愛と人の愛の対比のようだ。
苛烈な執着と憎しみの透けて見える愛情を懐き天国は失われたと吠えたけるヒースクリフ。
父の愛に育まれ愛を忘れなかった若きキャサリン。
彼女が天国であるかのような境地に辿りつけたのは人を愛し許す神の教えに従ったからもあるだろうけれど、一方で神の愛に背を向けたヒースクリフが不幸に殉じたかといえば必ずしもそうではなく、妖精や幽霊の蔓延る荒野で彼もきっと幸せでいるだろう。
二面に重なった荒野の愛の営みが見事だった。 -
人の性のなんと哀しいこと。
復讐に捧げる人生なんて、むなしい。 -
韓国ドラマかと錯覚するほどの復讐欲、死なばもろとも的道連れ感… 全編通じて陰鬱なこの物語は、信じ難いが一応(?)ハッピーエンド的な結末に。しかしながらとにかく暗い。ヒースクリフの底意地の悪さや初代キャシーの無自覚な傲慢さ、不誠実さに共感もできず。彼らは分かち難い愛の当事者でありながら、同時に奪い合う亡霊でもある。この、与えなさ。互いが互いを引き摺り合うような形でしか愛せないのは何故なのか。極めて純粋でありながらとことん不誠実にしかなれない二人の彷徨える魂が、嵐が丘と鶫の辻、うら寂しく荒涼たる大地の中で咆哮しているようなこの物語は、恋愛小説というにはあまりにヘビーだが、その構成の見事さ、描写の巧さによって読みにくさはあまり感じさせない。初読では正直げんなりしたが、読み返してみると実は…という箇所が現れたりする。古典の名作にはこういう部分があるので、やはり手にとって良かったなと思った。
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殺伐陰険とした暗い世界に一筋の眩い光が射したような、思わず目を細めてしまう痛烈な愛の物語で、何度読んでも溜め息がこぼれます。
また、200年近く前に遥か遠くの英国の地で生まれた物語が、今私の手の中にあることにも深いロマンスを感じてしまうのです。 -
王道の恋愛小説……かと思いきや、良い意味で裏切られた。
約200年以上前にして、こんなに多面的であり技巧が凝らされている作品があるとは……
寡黙で非道な男、ヒースクリフの人物像がネリーによって語られることにより、様々な想像を巡らすことが出来る。
読者の想像に委ねる隙間があること、それこそが物語の醍醐味であると再認識できた。 -
高校の時に読もうと思ってたけど読めず再読。
まじで内容がタラタラしててはいってこない