異邦人 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.67
  • (1047)
  • (1179)
  • (1931)
  • (198)
  • (58)
本棚登録 : 13879
感想 : 1368
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114018

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 物語の主人公が淡々としていて理解するのに時間がかかった。正直最後までオチがない話。でも考察はさまざまな視点からできるかなと思う。ママンが死んだことを裁判の話題に出てきたことが少し理解できなかった。

  • やんわりと全体の感想としては、徹頭徹尾主人公に感情移入ができないことと時代背景等や風習が馴染みのない物なので読んでいてちょっとばかし疲れてしまった。比較的短い話ではあったが個人的に読み切るのが大変だった。
    ムルソーはホットなハートを持っていない。
    が、最後の方のムルソーは好きだ。

    読み終わっても一瞬の達成感や爽快感はなく、胸の中に不思議な感覚が残った。

  • 第一部の最初の頃は主人公のムルソーは周りを客観的に見過ぎていて少し変わり者ではあるけど、人を仕事で差別しないしみんなで楽しくやっていたのに。
    どんどん雲行きが怪しくなって、嘘だやめろ!やめてくれ!って叫びたくなるような終わり方で。
    第二部に入ったらもうこれは無理なんだろうなと思って、第一部ではここまで感情移入すると思わなかったのに、感情移入していたがためにどんどん辛くなっていった。
    第一部で気持ちが分かった気がしたのはマリイだったし、ムルソーの態度にイラついたりもしたのに。
    それでも結婚したいと思ってるんだから凄く愛しているのかなとは思ってたけど。

    私の方が気持ちがどんどん下がるのに、ムルソー自身は何かを理解して晴れやかな気持ちで終わる。

    解説で広津和郎の異邦人論争を知って、読みたいなぁと思ったけど新たに手に入れるのなかなか難しそうだから国会図書館かな…
    三島由紀夫も異邦人について書いてるみたいだけど、それも同じ感じ。

    • おもちさん
      三島由紀夫の評論ですが、決定版三島由紀夫全集27(新潮社)に収録されております。「獣の戯れ」を読んだときに異邦人と印象が重なったので、そのと...
      三島由紀夫の評論ですが、決定版三島由紀夫全集27(新潮社)に収録されております。「獣の戯れ」を読んだときに異邦人と印象が重なったので、そのときに探したら最寄りの図書館にあって読むことができました。お近くにあるといいですね。
      2024/03/29
  • この作品は中学の時に『読書』っぽい事をしたくて読んでみた。
    けど、全く分からなかった。『分からない』ということが、分かった作品だった。

    それから著名な作品というものは『難しい』のだと思った気がして、読む気がなくなった。

    この『異邦人』は母が買ったものだった。画像のとは違うもっと昔に出版されているもの。翻訳者は一緒なので中身は一緒だと思う。レイアウトはペストと同じで少し違うのかもしれない。



    記憶の中では『老婆を殺した』ような気がしてたけど、老婆は別の作品だった。



    『暑かったから殺した』というのは記憶と合致していた。
    記憶に残ってるのは、それだけ、『暑かったから殺した』……意味が分からない。



    でも、今、『ペスト』を読んでから『異邦人』を読むと、ペストの『人は全て罪人だ』と言ってたキャラ(……名前を忘れた)と、『異邦人』の話が重なるなと思った。
    今だから『分かる』気がする。 中学の時は全く分からなかった作品が、いま読むと『こんなことかな』と。

    作品を的確に理解するなんてどんなものだって無理だけど、ぼんやりと『こんなことかな』という輪郭が見えるし、頷けてしまう。



    中学の時の私は『殺人は悪』だったし、同時に『殺人は社会的に自己を抹殺する行為』でもあると思ってた。
    丁度その時に同年代の殺人犯が世間をにぎわせていたから、尚更、そんな風に思っていた。



    でも、今は『殺人は悪だけど、殺人に至るまでの過程には理由がある』と思う。
    どれか一つのドミノが倒れなければ起きない運命みたいなものは、あるような気がする。

    平和な世界だと平然と『殺人はダメ』と叫ぶ人間も、戦争になれば『敵を殺せ』と叫ぶ。
    外野は好きに叫ぶ事が出来るという点は、分かる。インターネットの世界もそうだけど。



    ただ、『だから、殺人は仕方がない』には、行きつかないし、罪は罪だと思う。



    それでも、『裁判の心象で刑罰が変わる』というのは不合理で、それに気がつかない事もまた『人間らしい』のだろうと思う。
    そして、残念な事にそんな事例はざらにある。



    『殺人』という罪にフォーカスをすると、『分からない』
    『死刑』という刑にフォーカスをすると、『分かる』



    そんな感じの作品なのかなぁと思う。
    『暑かったから殺した』が印象的すぎて、刑罰云々の部分が頭の中に一つも残ってなかった。
    たぶん、読むべきところは『死刑は妥当であるかどうか』という部分だと思う。




    ところで、 『アラビア人』がどんな意味なのかが分からなかった。
    これは、迫害されてる人として書かれてるの?それともただ単に『コミュニティーが違う人』?と、悩む。



    わざわざ書くということは『差別対象』なのだろうか?海外の感覚がわからない。
    そう思ったので、調べた。

    『差別的対象』として読んで間違いはなかったらしい。物語はそういう話だと思うと、また色が変わる。


    でも、難しいことに変わりはない。

    追記:240406
    ※物語の中で全てが説明されるわけではなくて、この時代背景(アラビア人への差別)やカミュの思想がわからないと理解できない物語。
    つまり、前提知識の量がモノを言う作品だと思うので、これ単体で面白いと思える人は少ないだろうなと思う。

  • 常識が外れてそうで全くもってそうでもない。法の元では不利に裁かれる。主人公に共感できるところがあるからなんとも言えない居心地の良さ。

  • センター倫理で暗記した、『不条理』=『カミュ』=『異邦人』。読んでみたら、そんな軽々しいものではなく、深く胸に去来する作品。

    母親が死んでも悲しむ姿を見せず、翌日にはデートをする。そんなことを裁判で裁かれる。
    なんだよ!って気持ち。

    80年以上前の作品だけど、何も古臭さを感じず、寧ろ生臭さすら感じた。『不条理』に悩む時に、繰り返し読みたくなりそう。

  • 長いことあらすじだけ知っていた作品をやっと読んだ。
    裏表紙の紹介での印象と違った。
    主人公ムルソーの考え方は全く理解できないものではなくて誰にでも少しずつある感情や考えだと思う。ムルソーはその誰にでもある感情が人より極端に出るのに加えて、それをごまかしたり隠すことをしないから「建前」の秩序を壊す存在として裁かれたけど、そういう秩序を壊す存在に過剰に厳しい世の中は不気味だと感じる作品。まさにそうなりつつあるいまの世の中では、もっと読まれて良いと思う。紹介のされ方が違ってればもっと早く読んだのに。

  • あまりにも高名な名作なので誉めそやしたくて仕方がないのだけれど、翻訳のせいなのか文体のせいなのか、はたまた宗教感の違いなのか、あまり胸に迫るものはなかった。淡々と語られる一人称は確かに淡白で無感動な筆致だけれど、そこで起こる日常の出来事は結構と処世的で魅力的なものでもあったので。恋人もいて友人?もいて普通に仕事もこなせていて、はなから虚無的で無感動な人間にこんな日常があるのだろうか?という違和感がつきまとった。
    文学の時代的、歴史的な背景もあっての名作なのかもしれないが、この分野なら中村文則のほうが数段上に思える。

  • 『異邦人』とは何を指すのか。私はムルソーのことをさしているのではないかと思う。
    極度に論理的なムルソーと感情に訴えかける検事との対比、祭司に詰め寄るムルソーのあまりに人間的な独白が印象的だった。
    ムルソーからしたら異邦人とは検事や判事、祭司の事だったのではないだろうか。と考えたりするのが楽しかった

  • 毎年いつかくる夏に読みたい

全1368件中 61 - 70件を表示

カミュの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
フランツ・カフカ
フランツ・カフカ
三島由紀夫
ヘミングウェイ
安部公房
村上 春樹
ヘルマン ヘッセ
村上 春樹
ドストエフスキー
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×