イラクサ (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900533

感想・レビュー・書評

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  • 短編の中の「クマが山を越えてきた」。44年間連れ添った妻が認知症で施設に。次第に夫を忘れ、他の男性と親密になっていく妻。夫はどうしていくのか。映画ではアカデミー賞など多くの賞を受賞しました。

  • 図書館で借りて読んでいるものの期限が来て返さないといけないので読了していないがメモとして。
    300ページかけて書く人生を30ページで書いている、と知人から聞いて読み始めた。最初は文章に慣れずわからなかったけど読み進めるにつれてじわじわと水面下の深さを見られるようになった気がする。この本を心から楽しめて読み終えて充足できる人がうらやましい。
    身に迫って感じたという意味で、イラクサとポストアンドビームが好き。

  • ノーベル賞作家への興味から本書を読む。
    各種のレビューどおり上手い。どの短編も絶妙な始まり方と一癖ある終わり方をする。ただ、男女関係や友情のゆらぎの表現に嫌みがあって自分は好きになれなかった。

  • 「短編の女王」とよばれるアリスマンローの短編集。

    人生のワンシーンが忘れられない思い出となったり、後になって急に思い出す、そんなことが誰しもあると思う。

    そんな一瞬が切り取られた物語の数々。
    「浮き橋」「なぐさめ」「イラクサ」「クマが山を越えてきた」・・・

    美しい読後感です。

  • おすすめ資料 第212回 (2013.11.15)
     
    アリス・マンローは今年のノーベル文学賞を受賞しましたが、あまり構えることなく、この豊かな短編小説の世界を楽しんでもらえたらと思います。

    収録されている「クマが山を越えてきた」は映画化もされています(「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」)。

  • マンロー

  • (2014.11.28読了)(2014.11.25拝借)
    【ノーベル文学賞】2013年
    アリス・マンローは、カナダの作家です。2013年のノーベル賞受賞者です。
    かみさんが、海外文学が好きで新潮社のクレスト・ブックスシリーズを時々購入して読んでいます。アリス・マンローがお気に入りだったようで本棚に彼女の本が二冊ありました。マンローの作品は昨年図書館にあった一冊を読んだだけだったので、ついでに読むことにしました。
    450頁ほどあるので、読み始めるのに覚悟が要ります。短編集で9つの作品が収録されています。平均すると1つの作品当たり50頁ですけど、30頁のもの70頁のものとさまざまです。アメリカ文学もあまり読まないのですが、印象としては、アメリカ文学に近いように思います。離婚の話とか割と出てきますので。著者自身も離婚経験者です。
    著者の作品の特徴については、「訳者あとがき」以下のように記してあります。
    「マンローの筆は、人の心の襞の隅々まで容赦なくむき出しにしていく。女性ばかりではなく、男性ももちろんその対象となる。」(442頁)
    物語が予想外の方向に向かって行ったりするので、著者は、最初から行き先をきめずに書き始めるのかもしれません。すべてを書いてくれるわけではないので、想像力の乏しいぼくには、ちょっと理解しにくいところがあります。

    【目次】
    恋占い
    浮橋
    家に伝わる家具
    なぐさめ
    イラクサ
    ポスト・アンド・ビーム
    記憶に残っていること
    クィーニー
    クマが山を越えてきた
    訳者あとがき

    ●各作品の評(「訳者あとがき」より)
    ・恋占い
    「恋占い」は、少女のいたずらが平凡な家政婦の人生に思わぬ転機をもたらすという、本書の中ではやや軽い、ちょっとコミカルなところもある作品だ(442頁)

    ・浮橋
    夏のうだるような暑さの中、闘病中の不快感に苛立ちを募らせる主人公を包む空気が、ふとしたことがらでがらっと変わる「浮橋」のラストの光景の美しさ、(441頁)

    ・家に伝わる家具

    ・なぐさめ
    「なぐさめ」の、夫の遺灰を妻が一人で撒くシーンのぞくっとするような高揚感、(441頁)

    ・イラクサ
    二度の結婚の狭間でもがきながら「書くこと」と取り組む語り手が、思いがけず少女時代の恋の相手と再会し、甘やかな思い出に浸ったのも束の間、人生の苦く哀しいひとこまに突き当たってしまう、表題作[イラクサ]の、ひっそりした切なさ。(441頁)

    ・記憶に残っていること

    ・クィーニー
    「クィーニー」の結末の、いかにもマンローらしい何とも摩訶不思議な感触。(441頁)

    ・クマが山を越えてきた
    不実な夫の身勝手な独りよがりがあからさまに描かれている。だが、この夫は不実だけれど、妻を純粋に愛してもいるのだ。裏切りながら誠を尽くす、人間とはそんなものかも知れない。そんな夫が思いがけないしっぺ返しを食らうというなかなか皮肉な物語なのだが、ラストのシーンは、夫婦愛の真髄を感じさせてくれる。(442頁)

    ・ポスト・アンド・ビーム
    ●ラジオドラマ(260頁)
    ちょうど母親と毎日ラジオで聞いていたメロドラマのはじまる時刻だった。ローナは気になってしょうがなかった。物語を聞きのがすことではなく、ラジオをつけず、母親と自分が聞かなかったら、物語のなかの人々はどうなるのだろうと思ったのだ。
    ●ポスト・アンド・ビーム工法(266頁)
    ポスト・アンド・ビーム工法の家はペンキを塗らない、自然のままの森に溶けこむようにという考えからだ。結果として簡素で機能的な外観となり、屋根は平らで壁よりも突き出している。内部は梁がむき出しで、木材部分はどれも覆われていなかった。

    ☆関連図書(既読)
    「小説のように」アリス・マンロー著・小竹由美子訳、新潮社、2010.11.30

    マンロー,アリス(Munro,Alice)
    1931年、カナダ・オンタリオ州の田舎町に生まれる。
    スコットランド系アイルランド人の家系
    ウェスタン・オンタリオ大学に進学
    1951年、ジム・マンローと結婚
    1963年、ヴィクトリアで「マンロー書店」開業
    1968年、初の短篇集Dance of the Happy Shadesで「総督文学賞」を受賞。
    1971年、Lives of Girls and Womenでカナディアン・ブックセラーズ賞を受賞
    ジム・マンローと離婚
    1974年、Something I’ve Been Meaning to Tell You出版
    ジェラルド・クレムリンと結婚
    1978年、Who Do You Think You Are?で「総督文学賞」を受賞
    1995年、Open SecretsでイギリスのW.H.スミス賞を受賞
    1997年、アメリカのペン・マラマッド賞を受賞
    1998年、The Love of a Good Womanで「総督文学賞」を受賞、全米批評家協会賞受賞
    2005年、タイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれている
    2009年、国際ブッカー賞受賞
    2013年、ノーベル文学賞受賞
    邦訳作品
    (1982年)、『木星の月』横山和子訳、中央公論社、1997年
    (1986年)、『愛の深まり』栩木玲子訳、彩流社 2014年
    (2001年)、『イラクサ』小竹由美子訳、新潮社、2006年
    (2006年) 、『林檎の木の下で』小竹由美子訳、新潮社、2007年
    (2009年)、『小説のように』小竹由美子訳、新潮社、2010年
    (2012年)、『ディア・ライフ 』小竹由美子訳、新潮社、2013年
    (2014年11月29日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    旅仕事の父に伴われてやってきた少年と、ある町の少女との特別な絆。30年後に再会した二人が背負う、人生の苦さと思い出の甘やかさ(「イラクサ」)。孤独な未婚の家政婦が少女たちの偽のラブレターにひっかかるが、それが思わぬ顛末となる「恋占い」。そのほか、足かせとなる出自と縁を切ろうともがく少女、たった一度の息をのむような不倫の体験を宝のように抱えて生きる女性など、さまざまな人生を、長い年月を見通す卓抜したまなざしで捉えた九つの物語。長篇小説のようなずっしりした読後感を残す大人のための短篇集。

  • いまいち

  • 第1回バーチャル読書会の課題図書は、アリス・マンローの「記憶に残っていること」です。読書会について、音声でご紹介しています。
    URL: http://youtu.be/o_bJ47lcV-E

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著者プロフィール

Alice Munro
1931 年生まれ。カナダの作家。「短編の名手」と評され、カナダ総督文学賞(3 回)、
ブッカー賞など数々の文学賞を受賞。2013 年はノーベル文学賞受賞。邦訳書に
『ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス) 』(小竹 由美子訳、新潮社、2013年)、
『小説のように (新潮クレスト・ブックス)』(小竹 由美子訳、新潮社、2010年)、
『 林檎の木の下で (新潮クレスト・ブックス)』(小竹 由美子訳、新潮社、2007年)、
『イラクサ (新潮クレスト・ブックス)』(小竹 由美子訳、新潮社、2006年)、
『木星の月』(横山 和子訳、中央公論社、1997年)などがある。

「2014年 『愛の深まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アリス・マンローの作品

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