シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814543

感想・レビュー・書評

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  • テーマは、ソーシャルネットワークの普及と環境問題の影響により、
    急速に関心が高まりつつある「シェアリング・エコノミー」です。

    本書を読むまでもなく、最近は若い人を中心に、「所有する」から
    「利用する」「シェアする」に価値観が移りつつありますが、本書
    では、その「シェアリング・エコノミー」の最先端を、アメリカの
    事例をもとに紹介しています。

    一泊三〇〇〇ドルのイギリスのお城や、エスキモーのイグルー、ボ
    ートやヴィラ、デザイナーズマンションまで、あらゆる物件がシェ
    アできるP2P市場、エアビーアンドビー・ドットコムはじめ、さ
    まざまなサイトが紹介されており、ビジネストレンドの明らかな変
    化を感じることができます。

    既にCD販売から楽曲のダウンロードへシフトした音楽市場、そし
    てこれからやってくる電子書籍の出版界への影響を考えると、本書
    のアイデアの重要性は、説明するまでもないと思います。

    同じような目的をもつ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金と
    いった、目に見えにくい資産を共有する。

    こんなコラボ消費の世界を実現するには、「クリティカル・マスの
    存在」「余剰キャパシティの活用」「共有資源の尊重」「他者との
    信頼」の4要素が必要。

    また、企業が成功するには、新しい報酬モデルの実現や、新しい顧
    客との関係構築も不可欠となるでしょう。

    本書では、シェアモデルで成功している実際の企業の例を取り上げ
    ながら、われわれがどうやってこの新しい経済に対応すべきか、ヒ
    ントを提示しています。

    記述が冗長なのと、『FREE』にはあった「野心」というエッセ
    ンスが欠けているため、精彩を欠く部分はありますが、それでも読
    んでおいて損のない内容。

    発売は16日ですが、これは、今すぐ予約したい一冊です。

    「サイトを立ち上げた時には、ツリーハウスやエスキモーのイグル
    ー、ボートやヴィラ、それからデザイナーズマンションなんて、貸
    したがっている人がいるなんて思いもしなかったよ」チェスキーは
    驚きを隠せない

    コラボ消費の二一世紀には、評判や、属するコミュニティ、何にア
    クセスできるか、どうシェアするか、また何を手放すかが、人を定
    義するだろう

    社会学者のロバート・K・マートンは、意図せざる結果をもたらす
    五つの要因を挙げている。無知、過ち、目先の利益、基本的価値観、
    そして自滅的予言だ

    同じような目的をもつ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金と
    いった、目に見えにくい資産を共有する──これがコラボ的ライフ
    スタイルモデルだ

    自家用車を持たない生活が、参加者のお財布や健康、そしてコミュ
    ニティにもよい影響を与えたことがわかった。参加者の公共交通機
    関の利用は九八パーセント増え、自動車での移動距離は六六パーセ
    ント減り、自家用車の付帯費用も平均で六七パーセント節約された

    コラボ消費のさまざまな例を見てゆくと、どのサービスにも、その
    根底に四つの大切な原則があることがわかる──それは、「クリテ
    ィカル・マスの存在」「余剰キャパシティの活用」「共有資源の尊
    重」、そして「他者との信頼」だ

    余剰キャパシティは、自転車や電動ドリルなどのものに限らず、目
    に見えにくい時間やスキルや空間、あるいは電力などのコモディテ
    ィにもあてはまる。イギリスのランドシェアや、アメリカのヤード
    シェア、シェアードアース、アーバン・ガーデンシェアといった同
    じようなサービスは、農作物を育てたくても土地のない人たちと休
    耕地を結びつけ、さらに菜園づくりを手伝う時間やスキルのある人
    をつないでいる

    コミュニティのために役立つことをすれば、それによって自分の社
    会的な価値が高まることを、私たちはデジタルな経験をとおして学
    びつつある

    私たちは、CDが欲しいのではなく音楽を聴きたいのだ

    ライブワークの戦略デザイナー、デヴィッド・タウンソンは、サー
    ビス・エンヴィーとは「モノよりサービスを欲しがらせること」だ
    と言う。そして、そのためには持っているものではなくて利用して
    いるサービスをとおして自分がどんな人間かを相手に表現できるよ
    うなサービスをつくる」ことが必要だ

    販売数ではなく、利用頻度を最大化する経済にシフトすれば、環境
    メリットとビジネスメリットは一致する。企業は会員費やマイクロ
    ペイメント(少額課金)を新しい収益の柱にできる

    「世の中にいらないものなんてない。使えるものが、ただ間違った
    場所にあるだけ」(フリーサイクル創業者 デロン・ビール)

    リユースのもうひとつのメリットで、また思いがけない結果でもあ
    るのは、そこにコミュニティができることだ

    「消費者は、コミュニティの一部になりたがっている」
    (ナイキ・ブランド チャーリー・デンソン社長)

  • 本書は現在シェアリングエコノミーと呼ばれている仕組みについて早い時期(日本語版は2010年)に解説を加えた本になります。私は2017年になりようやくペーパーバック版で本書を手に取りました。本書の中ではシェアリングエコノミーではなく「協働型消費」という用語で解説がされており、それを「プロダクト=サービス・システム」「再分配市場」「協働型ライフスタイル」という3つのカテゴリーに分けて解説をされています。

    本書を読んだ全体的な感想ですが、正直この3つのカテゴリー分けはあまり良い分け方ではないとは思ったのですが、全体的に思ったよりも深い本だと思い感銘を受けました。この手の本ですと、事例中心の紹介本になっていることが多く、ビジネス雑誌のボリュームが大きい版、という感じの本が多いのですが(つまり、内容は浅い)、本書はシェアの背後で起こっていること、過去から現在そして将来へと何がこれから起きそうか、本質的な変化は何か、についても適宜記述されていて、興味深く拝読しました。ただ1点、これは著者自身がシェアリングエコノミー信奉者ということでバイアスがかかっているから仕方がないのですが、本書で登場するいくつかの新ビジネスモデルについては、これはそこまで経済の主流にはならないのでは?と醒めた見方をしたくなるものも多々あり、総合評価は難しいのですが、予想以上に深い議論が展開されていたので星4つとさせていただきます。

  • 話題の書を積読しつつ十年超、2022年に読んでみた。そんなに古さは感じなかった。ということは、ここに書いてあることは、まだまだ進行形、みんな知っていることだけど、急激には定着しきっていないのだろう。
    そもそもSDGSの根幹をなす行動様式であるし、この「シェア」の文脈で「デザイン」「信用の貯蓄」など発売当初、当時の自分にはそこまでピンとこなかったであろう2020年代風のキーワードが、終盤のメインテーマとなっていることは興味深い。
    こういった地殻変動があって、流行りものを含む現在の活動と環境にたどり着いている、ということを再認識。

  • 10年前に読了。
    サブスク、カーシェアなど実現している

  • 無感想

  • コラボ消費に関する新サービスが、アメリカで続々。
    日本で聞いたことがないようなものがいっぱいあり。参考になる
     Etsy、、、

    コラボ消費の四大原則
    クリティカルマスの存在、余剰キャパシティの活用、共有資源の尊重、他者との信頼

    ・クリティカルマスの存在
     まずは利用する人が拡大しないと
     周囲の人がしていることを見て、自分の行動を決めることがほとんど
     「ほかのみんなもやっている」というメッセージが効果あり
    ・余剰キャパシティの活用
     余剰キャパシティをシェアする仕組み=近所の貸し借り助け合いであった
     インターネットによって、大勢で余剰キャパシティをリアルタイムにシェアできるようになった。インターネットがコラボ消費を加速。
    ・共有資源の尊重
    ・他者との信頼
     大勢の人との教養・活用のためには、信頼レーティングが必要になる
     インターネットのレーティングシステムがよく働いている

    実際の物理的なものの所有はそれほど重要でなくなってきている

    Netflixによるレンタル革命

    ゴミを出さないために一番いいのは、新しいものをあまり買わずに、今あるものをもっと再利用したり再配分したりすること。

    「人は、友情や信頼から助け合うのではなく、関係を続けることが将来自分のためになると信じるからこそ助け合う」

    物々交換を仲介するサービス
    ソーシャルレンディングサービス
    コ・ワーキングオフィスサービス

    何が起こるか
    広告の形がかわる。
     広告会社を信用するのは消費者のわずか14パーセントで、78パーセントは知り合いの推奨を信用するという
    消費者のマインドセット
     消費はもはや、際限なくものを買い続けるという一方的な行動ではなく、ほしいものを手に入れるために、与えながら協力し合うという「プッシュ」「プル」の相互作用になる
    評判の口座
     評判資本が第二の通貨として使えるほど重要に
     「評判の口座」が様々な酒類のコラボ消費への貢献度を測る物差しになる。
     現金で物を買うだけでなく、才能やスキル、アイデアやバーチャル通貨と交換することが当たり前になる

     コミュニティへの欲求、個人のアイデンティティへの欲求、承認の欲求、そして意味のある活動への欲求を満たすようなサステイナブルなシステムが構築される=革命

    ーーー
    コラボ消費の種類(上位3カテゴリー)
    ・プロダクト=サービス・システム
     物の原材料消費を減らしつつ、ユーザーが受ける満足感はそのままで、供給者が顧客に、その顧客が供給者へと価値を循環させる
     カーシェアリング、バイクシェアリング、ライドシェアリング、ソーラー発電、玩具シェアリング、
    ・再配分市場
     中古市場。質店や商店を経由するばかりではなく個人間での取引が含まれる
     巨大市場(いちば)、無料交換、好きなグッズ交換、衣服交換、等価値グッズ交換、近所間
    ・コラボ的ライフスタイル
     非物々交換
     コ・ワーキング、ソーシャル・レンディング、ソーシャル通貨(地域通貨)、菜園・農耕地シェアリング、スキル・シェアリング、コ・ハウジング(共住)

  • シェアリングエコノミー(共有型経済)を限界まで掘り下げて解説している書籍。
    内容は膨大で難解。
    GDP至上主義からの脱却。シェア、コラボ消費での成功例を学ぶことができる。

  • 2010年代初頭に本書が書かれていることからして、やはり情報は速く入手するに限ると毎回思わされる。

    エアビーアンドビー、自動車業界の定義などはまさにハマっている。日本においてもいわゆるシェア市場は、爆発的に広がっているし、スキルのシェア、場所のシェアも拡大傾向にある

    既存の経済学と反している(10ドルを分ける権利があるとすると利己的な個人だと9:1に分けても、両者受け取る)、という個所がなお面白さを表わしている

    従来より贈与経済学という分野は存在しているが、今後この領域をどう学問として定義していくか、普遍化していくか、その方向にも期待をしたい

    P2Pがここまで当時から注目されていたとは、というか、当時読んでも実態と合っていないと思ってしまったかもしれない

    ハイパー消費主義からコラボ消費への転換、そして評判が通貨ともなる世界。やってくるのだろうか

  • 二一世紀のモノの在り方、利用の仕方がわかります。

  • ネットを通じた、リユーズ、レンタル、シェアユーズなどの実例

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著者プロフィール

作家、ソーシャルイノベーター。『シェア』(2010)で提唱した「共有型経済」は、タイムズ誌による「世界を変える10のアイデア」に選ばれた。2013年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出。ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、WIREDなどで寄稿編集者を務めるほか、インターネットとテクノロジーを通したシェアリングエコノミーの可能性やビジネス・社会における変化についてコンサルタントや講演などを行っている。またオックスフォード大学サイード・ビジネススクールで「協働型経済」コースを教えている。

「2018年 『TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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