アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
- 早川書房 (1977年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150102296
感想・レビュー・書評
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ちょうどこれを読んでいる時にラジオでAIのニュースが流れてきておお、と思った。
【対話式のAI サイバー犯罪に悪用のおそれ ウイルスも作成可能】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230212/amp/k10013978491000.html
読み終えて、AIは「共感」も学習できるのでは?と思って“AI 学習 共感”で検索してみたらあった。2020年の記事。
【人工知能における共感:前編】
https://ainow.ai/2020/05/04/221685/
あとここ何年か考えている事。
私が認知症になって同じ事を何度も訊ねたりする様になったら、AIが何回でもにこにこして返事してくれたらいいのになぁ。あと20年位あったらできそうじゃない?高機能なAIが機嫌よく話し相手になってくれるなら、人に負荷をかけずに周囲も私も幸せでいいじゃん。って友達とか家族とかに言ってもあんまり同意が得られなかった。
母だけはちょっと同意してくれた。駐車場の料金支払の時に不機嫌な係員に当たり、隣の自動精算の音声の方が感じが良かったので、それならあっちの方がいい。と言っていた。同感だ。
AIだと分かった上で楽しむ事も可能かもしれない。
でも一方で、本能的なレベルで相手が人間でないと感じる違和感みたいなものが解消されなければ結局は満足できない可能性もある。 -
人間とアンドロイドの違いは何なのか。今も考え続けられる命題のひとつの回答がここにありました。
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アニメPSYCHO-PASS経由で知った本だった気がする。
あまりにも面白くて、本を閉じてまっすぐ前を見たり、深呼吸を挟みながら読んだ。
きみとおれがともに憎んでいるすべて、それがきみなんだ。おれたちふたりが破壊しようと誓ったもののエッセンス、それがきみなんだ。
好きすぎる〜〜
フィルレッシュ付近楽しすぎる〜〜〜
ブレードランナーも見てみたいな -
近未来の地球やエンパシーボックス内でのマーサーとの関わりの描写にすごく惹かれた。
人間よりも人間らしい心を持ったアンドロイド、アンドロイドよりもアンドロイドらしい冷酷さを持った人間に触れることでデッカードはその境目がわからなくなる、その過程にこの本のテーマがあるように感じた。
本書を原作とした映画『ブレード・ランナー』も本書読了後に鑑賞したが大元の設定以外はかなり違う話であったため、特に映画を観てから読む必要等はないと感じる。ただラストのロイ・バッティの台詞は私の人生一、ニを争うほどの衝撃的な台詞だった。 -
タイトルだけは知っていたものの、今まで読んだ事はありませんでした。冒頭から情調オルガンや共感ボックスといった色々な設定が出てきますが、そんなに難しいものではなく、想像も容易にできたので、すんなりこの世界に入っていけました。
二人目のオペラ歌手とのやり取りが始まった辺りから私の中で物語が加速していきました。この辺りから人間とアンドロイドとの境目が無くなっていき、読んでいる私自身も主人公と同様に混乱してきます。まんまと作者の掌の上で転がされました。
最後の方では哲学的な話になっていき、何となく理解はできたつもりなのですが、今の私ではそれをまだ言語化できそうにないので、何度か再読して、理解を深めていきたい一冊になりそうです。 -
題名の印象が強烈な作品です。
アンドロイドと人間の違いは何か?
古典的作品となった本作ですが、AIが発達してきた今だからこそ通じるものがあると思います。
一言で言えば、人間の世界に紛れ込んだアンドロイドを見つけて狩る物語です。
けれども、その過程で、バウンティハンターのリックは、アンドロイドも生命ではないかと苦悩していきます。
第三次世界大戦の影響で、死の灰が降り注ぎ、生き物が住めなくなった地球が舞台。
ほとんどの人類は火星に移住し、地球には選ばれざるものたちが住んでいます。
生き物たちも模造品です。リックも電気羊を飼っていますが、本物の羊に限りなく似せた存在を忌々しく思っています。
本物の羊が欲しい。リックはそう思います。
リックは、どうしてこんなに生き物に執着するのか。
すごく不思議な感覚だったので、興味を惹かれました。
ストーリー展開自体が面白く、飽きずに読み終えました。
アンドロイドの存在が限りなく人間に近いものでありつつ、明確に人間ではない冷たさもしっかり描いています。
アンドロイドらしさの描写は、かなり細やかです。
人間の中に芽生える執着心や、思いやり、苦悩は、彼らには見られません。
彼等の言動にはひやっとしたものをたびたび感じで戦慄しました。
だからアンドロイドは所詮アンドロイドという話でもなく、アンドロイドという生命体への敬意を感じるラストは、人間の人間たる性質までも伝えていてよかったです。 -
戦争を経て、地球が死の星になった後。
わずかばかり残った人間の社会に紛れ込んでいるアンドロイドと、それらを〝狩る〟ハンター。
ちょっと込み入った世界観に入り込めたらしめたもの。一気にドライブがかかる。
それだけじゃない。人間とは というテーマが底流にある。
面白さと深さ。見事な結晶。 -
とても良かった。後半一気読みしてしまった。
「死の灰」によって人類文明が衰退し始めている地球。マーサー教という宗教、その信仰の形である「共感」、情動を調整する機械達、人間と同じように思考するアンドロイドと人間の違い。SFの金字塔なんだろうな、今読むと「SFという分野のニューノーマルを作った作品」という印象です。
ただマーサー教と主人公の一体感の下りはよく分からなくて悔しい。「マーサー」とは何者だったのか、何故主人公の前に現れるのか。良い考察知ってる人がいたら教えて欲しいです -
メッセージが痛快。
アンドロイドを日常とする世界を通して、
差別について考えることができる。
現代とかけ離れているものの、
いずれそうなる可能性も感じられる分、
想像しながら読むのが楽しい反面、
少し恐怖も感じられました。
映画『ブレードランナー』も観ましたが、
原作であるこの本と少し違いがあり、
比較しながら観るのもまた面白いでしょう。