- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150105686
感想・レビュー・書評
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913-D
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本物と偽物の区別
『イナゴ身重く横たわる』 -
海外の小説の翻訳本は、横文字の登場人物名が覚えられない事や、情景描写や精神描写のニュアンスが堅苦しく感じたり、ジョークを理解しづらい為、自分には合っていていないと改めて痛感した。
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第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界を舞台にした小説。そしてその小説世界には、もしも連合国側が勝利していたらという世界を描いた「イナゴ身重く横たわる」という珍妙なタイトルの小説がある。そしてどうやらその「イナゴ・・・」の世界は、連合国が勝利しているものの、いまこの「高い城の男」を読んでいる私の住む世界とも少々様子が違うようだ。
もしかしたらこの「イナゴ・・・」の世界には枢軸国勝利の別の小説があり、その世界には連合国勝利の別の小説があり、そんな小説世界が果てしなく続いているのかもしれない。だとすると私が生きているこの世界も小説の一部で、その小説は枢軸国が勝利した世界で読まれており、さらにその世界も連合国勝利世界で読まれる小説世界で、だとしたら私は一介の小説的存在にすぎず、あぁこの私という人間は本当に存在しているのか!?
・・・とまではさすがに思わない。 -
第二次世界大戦にドイツと日本が勝利した世界、だれもが易経の占いで未来を把握し行動する。ドイツの首相逝去に伴う権力者たちの後継者争いを背景に、美術商、アクセサリー製造販売業、日本軍部の代表者たちの関わり。職工の妻が訪れるベストセラー作家。
いつSFになるんだろうと思いつつ読み進めていましたが、この世界構築そのものがSFだったんですね。占いに信頼感のある世界っていうのも面白いかも。 -
ディックの作品は少しだけ読んでいるが、中でもこれは難しかった。歴史改変物なので、歴史が苦手な私には辛いものがある。「偽物」と「本物」がテーマになっていることは辛うじて理解した。話としては特に大きな盛り上がりもなく、歴史改変以外にはあまりSFらしいところも見当たらない。ただラストの易経のくだりはなかなか好きだった。色々調べて高く評価されているようだから私の理解が足りないのだろう。詳しい解説が欲しいところだ。
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メタメタなラスト