エンダーのゲーム〔新訳版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119270

作品紹介・あらすじ

人気イラストレーター・秋赤音氏を起用したキャンペーンが、全国アニメショップ他で展開中 異星人バガーの侵略に備えて設立されたバトル・スクールで、エンダーは司令官となるべく訓練を重ねていく……ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞作

感想・レビュー・書評

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  • エンダーのゲームといえば「SFの必読書」として名高い。SF小説好きとしては、いつか読みたいと思っていた本書。ワクワクした気持ちを持ちながら、ようやく手に取ることができた。

    世界観としては、王道のSF。かつて宇宙人たちが地球に侵攻してきた。圧倒的な力で蹂躙されたものの、なんとか地球側の勝利で終わった。それから数十年後。現代の地球人たちは、再びの侵攻に備えて軍備を整えていた…と言った世界観。

    そんなマクロな世界観に対して、ストーリーは意外とミクロ的。エンダーという主人公が、宇宙軍の指揮官候補として登用される。かれはまだおよそ10歳(?!)にして、入隊。新人時代を経て、部隊に配属され、メキメキと頭角を現していく、という割りと狭い世界が上巻のお話。

    エンダーを始めとした、少年少女の戦士たちは、選りすぐりの人材。単なる子どもではなく、大人たちが慎重に、計画的に選別した結果であることが序盤から説明される。それゆえに、10歳とは思えないような思考力・問題解決力・成長力を見せてくる。それが現実的には見えず、違和感を持つ読者もいるかも知れない。

    一方で、そんな子どもたちを観察する、大人の視点も少し描かれる。「本当にエンダーは選ばれし子なのか…?」みたいな話し合いの場面。エンダーの視点と交互に描かれるので、それは物語に厚みをもたせたと思う。

    とは言え、上巻はアッサリと終わった印象。肝心の敵対宇宙人は登場せず、精神描写も多いため、期待していた宇宙ドンパチなシーンはほぼ無く。これから宇宙戦争が始まる…?! という緊張感はあまり感じなかった。それは下巻の話かな…?

    ちなみに、翻訳的な部分で言うと、読みにくさは無かったと思う。ただ、旧訳版のレビューを見ると、そこの評価は高くない印象。なので今から読むなら、新訳版がオススメになりそう。

    ただ、罵倒語がたくさん出てくるのだけど、それらはよく理解できなかった…w 「この屁食い野郎!」みたいな。なにそれ?? と意味が分からずにポカーンとしてしまうことがあった。

    (書評ブログもよろしくお願いします)

    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/04/07/%E3%80%90%E6%9B%B8%E8%A9%95%E3%80%91%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%EF%BC%88%E4%B8%8A%EF%BC%89-_%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9

  • バトル・スクールでの模擬戦闘の辺りを読んでるとワールドトリガーを思い出しました。ワールドトリガーほど綿密なチーム戦が書かれているわけではないのですが、なんとなく思い浮かんでしまいました。

    バトル・スクールでのエンダーや、後半のピーター、ヴァレンタインのやり取りを読んで、この3人が下巻でどう絡み合うのかが気になっています。下巻が楽しみです。

  • 1985年の著名なSF小説。

    主人公アンドルー(エンダー)・ウィッギンは、6歳にして頭脳明晰で判断力に優れ、国際艦隊(IF)軍から(来るべき異星人バガーとの戦いにおける)史上最高の軍司令官候補として半ば強制的にスカウトされ、宇宙空間に浮かぶバトルススクールに入校させられる。そこでは、学業と共にチーム同士が対戦するバトルゲームによる未来トレーニングが待っていた。教官の策略により敢えて孤立させられるエンダーだったが、持ち前の知能と判断力で切り抜けると、たちまち頭角を表し、順調に成長していく。が、あるコンピュータ・ゲームにピーターの顔が現れ、順調に見えたエンダーにも、道具として使われることへの疑問や閉塞感が…。

    エンダーはサード(産児制限下で生まれた第3子)。長男のピーター、長女のヴァレンタインもエンダー同様高い知能の持ち主だが、ピーターはとてつもなく邪悪(ヴァレンタインいわく世界最悪の人間)、一方のヴァレンタインは慈愛に満ちているが、ピーターに流されてしまう弱さも(このためIFは二人をリクルートしなかったようだ)。

    物語は、世界制服を企むピーターが絡んでややこしい方向へ行きそうな気配。下巻の展開に不安感が漂う。

  • ■あなたは、素晴らしい才能に恵まれた子供たちは好きですか? それがどんなに”こまっしゃくれて”ても好きですか? 彼らは確実にあなたより利口です、つまりあなたを見下げてますよ、それでも好きになれますか? 組織はどちらを採るかとなると、あなたを切ってその子を採りますよ。それでも好きなんですか!? ………はい。ぼくは好きです。彼らの”輝き”が好きです。彼らの背負った”重み”が好きです。彼らの”決して明るくはない未来”が好きです………。
    ■「エンダーのゲーム」(『無伴奏ソナタ』収録)は、11歳のガキが司令官として人類の命運をかけたエイリアン(”バガー”と呼ばれる)との最終決戦に臨むというSF短編小説。その長編版が『エンダーのゲーム』なので、基本のスジはどちらもいっしょ。ただし長編には二点、付け加えられた設定があって、そのひとつが①エンダーの姉と兄が登場してそれぞれ活躍すること。あとひとつが、②エンダーが戦争で絶滅させた異星人の事情が語られること。
    ……以下、『エンダーのゲーム(下)』のレビューに続く。

  •  いかにもSFSFしたSF小説( ´ ▽ ` )ノ
    「宇宙の戦士」の少年(幼年?)版( ´ ▽ ` )ノ

     主人公が6歳(!)とか、普段着が全裸とか、ほんと「SF小説」の典型で、こういうのダメな人はダメだろうな( ´ ▽ ` )ノ(設定が飛躍し過ぎで、ガンダムとかスターウォーズとかアニメ・映画からSFに入った人はこういうところで挫折しがち……まあ、昔の自分自身がそうだったんだけど。SF入門書としては、クライトンとかクーンツとかもう少し一般小説寄りの作品の方がいいな)

     ついでながら、立体感・躍動感のないぺったりした表紙絵とか生硬な翻訳文とか、本としての体裁もまた典型的な、昔ながらの「SF小説」( ´ ▽ ` )ノ(なんかこういう絵柄、好きじゃないんだよなあ……(´ェ`)ン-…。加藤直之とか生頼範義とかフランク・フラゼッタとか、もっと奥行きがあり個性があり、それ自身ドラマを孕んだSFアートが好き( ´ ▽ ` )ノ)

     でも基本的なストーリーは、ビルドゥングスロマンというか帝王学というか、友情・支配・人心操作・処世術などなど、一般社会における対人関係の諸問題をシミュレートしたもので、広い読者層に受け入れられそう( ´ ▽ ` )ノ
     下巻の解説を読んだら米軍の推薦書になってるそうで、さもありなん( ´ ▽ ` )ノ

     ゲームキャラを「アバター」と呼ばないのは作者のこだわりというよりも、執筆時にまだこの用語が一般的じゃなかったからなんだろうね( ´ ▽ ` )ノ
     
     6歳(!)という設定にした理由はさっぱり分からないけど、彼らが「新人類」とか超能力者とかでなく、あくまで「天才児」というところがちょっと新鮮に感じられた( ´ ▽ ` )ノ
     戦闘中テレパシーとか予知とか出てくると「またか」と思っちゃうからね( ´ ▽ ` )ノ
     そういう特殊能力に頼らず戦闘場面(まだ訓練シーンしか出てきてないけど)を描いているところに、カードさんの実力を感じさせられた( ´ ▽ ` )ノ
     無重力空間での肉弾戦って、面白いね( ´ ▽ ` )ノ
     下巻ではどうなるんだろう? 実戦があるのか、結局脅威は作られた脅威に過ぎないのか?……興味津々( ´ ▽ ` )ノ

     なんか聞いたタイトルだと思って購入したんだけど、近年映画化されたんだね( ´ ▽ ` )ノ
     いま予告編見たら、さすがにエンダーの年齢設定はもう少し上に変更されてるみたい( ´ ▽ ` )ノ
     まあ、地上波で深夜放送でもされたら見てみよう( ´ ▽ ` )ノ


     にしても、これが「新訳」かあ……(´ェ`)ン-…
     大昔から、ミステリーやホラーと比べても、SF小説の翻訳は数段落ちるなあ……(´ェ`)ン-…
     ところどころ、訳者自身何を書いてるのだか分かってないんじゃないか?という文章あり……(´ェ`)ン-…
     セリフなんか、いちど音読してみないのかなあ?……(´ェ`)ン-…
     
     ついでにいうと、中途半端なハヤカワ文庫のトールサイズ、大嫌い( ´ ▽ ` )ノ
     

    2017/08/01
     

  • ヤン・ウェンリーでありアムロ・レイでもありシャア・アズナブルでもある可能性を持つエンダーのニュータイプ能力? を覚醒させるため軍はあえて彼を孤立させる。子どもたちの敵視は続くがエンダーはそう簡単にはやられない。
    ピーター、ヴァレンタインも含めておそるべき三きょうだい。

    ■エンダーのゲームについての簡単なメモ
    【アーライ】バーナードの取り巻きの一人だがエンダーの能力を認めているし自身の能力も高い。
    【IF/インターナショナル・フリート】国際艦隊。
    【遊び道具】《そして、遊び道具は――ゲームがひとつだけだ》p.58
    【アンドルー・ウィッギン】→エンダー
    【ヴァレンタイン】エンダーの姉、ピーターの妹。エンダーの理解者。エンダーは彼女を慕っている。そこが軍にとっては問題やった。人の美点を刺激することでコントロールする能力を持つ。
    【エンダー・ウィッギン】主人公。本名はアンドルー・ウィッギン。ヴァレンタインがそう呼んだ。「終わらせる者」の意味? 物語開始時六歳。戦争の天才かもしれないと大人たちは考えている。
    【グラッフ大佐】戦闘訓練基地で初等訓練の指導をしてはる。
    【サード】第三子。この世界は二人以上の子どもをつくってはいけないことになっている。
    【サラマンダー隊】新入生の間でようやくうまくいきかけていたエンダーがそこから引き離されて配属された隊。
    【シェン】バーナードのいじめの対象になった小柄な少年。
    【出産】エンダーは第三子だが本来ならこの人数は違法のようだ。ピーターが優秀そうやったからか両親の遺伝子的な何かで第三子まで生むことができた。
    【スティルスン】いじめっ子。
    【ダップ】エンダーたちの部屋のメンバーの世話係。
    【ディンク・ミーカー】ラット隊の小隊長。優秀でエンダーを認めた。
    【二流】二流にできるのは一流を育てることと権力に酔うことくらい。
    【バーナード】いじめっ子気質。エンダーにちょっかいを出して腕を折られる。フランス系で自分のことをベルナルドと言う。
    【バガー】敵性異星人? 前回の襲撃は八十年前でメイザー・ラッカムがいなければ人類は滅亡していたと思われる。そして今メイザー・ラッカムはいない。
    【不承諾家庭】二人以上の子どもをつくらないという世界的な決まりを守らない家庭。税金も重くなるしいろいろ苦労する。国レベルで不承諾なポーランドは国際的な制裁を受けている。
    【ピーター】エンダーの兄。戦闘訓練基地に行けなかった。人の弱点を突くことでコントロールする能力を持つ。
    【ペトラ】サラマンダー隊のメンバー。唯一の女子。狙撃の技術が高い。
    【ボンソー】サラマンダー隊の指揮官。規律を重んじる。というより皆を自分に従わせたいタイプ。
    【メイザー・ラッカム】あらゆる不利を覆した名司令官。
    【ローズ・ド・ノーズ】ラット隊の隊長。あまり優秀とは言えない。

    • 青格子さん
       懐かしい。一時期ハマりました。吉野朔実の漫画の中で、「短編のハイティーンのエンダーの方がキレがあっていい」と語られていましたが、新訳が出て...
       懐かしい。一時期ハマりました。吉野朔実の漫画の中で、「短編のハイティーンのエンダーの方がキレがあっていい」と語られていましたが、新訳が出てからは、私はこの新訳長編の方が好きです。
       バガーに感情移入してしまうところが、昆虫好きの小学生あるあるで、家族の単位からはみ出したエンダーの哀しみや達観にも通ずるのかな、と勝手な読み取りをしています。
       新訳もいいですよね。旧訳だと意味不明だった、「腕を差し出した」が「栄養剤を注射して」だったとは。
       と、失礼、長くなってしまいました。私も、仕事を辞めたら、登録して感想を書かねばと思い出させてくださった感想でした。ありがとうございます。
      2024/01/28
  • 昆虫型異星人バガーの第三次攻撃に備えて、優秀な艦隊指揮官にすべく過酷な訓練を課せられた少年・エンダーの苦悩と成長を描いたSF小説。

    上巻は、将校たちが仕組んだ仕掛けによって周囲との対立を余儀なくされたエンダーが苦悩しつつも好成績を上げていく姿が描かれます。

  • アダム・グラントの「ORIGINALS」の中でちょっと触れられていたので興味を持って読んでみました。なるほど、ちょっとハリー・ポッターに似てる(こっちの方が全然先発なので、失礼な表現ですが。。)。

    天才エンダー少年が、幾多もの障壁にもめげずに前へ進んでいく姿を描いた名作SF。
    舞台は異星人の侵略に備えて設立された艦隊指揮官育成用の学校。地球全体から頭の良い子どもを選抜して入校させ、訓練させて中でも更に選抜していく。
    ゲームに勝つには、固定観念に囚われていてはいけない。考えて、機転を利かせないといけないということを学ばせてくれる本。
    小学校高学年か、中学生なら問題なく読めそうなわかりやすさ、読みやすさ(訳も良いのかな)なので、もっと子どもの頃に読みたかったなぁ。。諦めない心、粘り強さが育ちそうです。
    しかしエンダー少年、6歳というのが何とも。読者層はさすがにもうちょっとは上なんじゃないのか。

    上巻を読み切った段階ではバガーと呼ばれる異星人は記録上でしか出てこないけど、下巻が楽しみ。

  • 昔読んで面白いと思った本が新約されたので。あまりに印象深くて、読みだしたらオチを思い出してしまった。すっかり忘れてしまうこともあることを考えたら凄いことだな、と。SF好きなら読む価値あり。

  • 旧訳版も既読です。
    読解し易くなり、文章としてスッキリしました。文字が大きくなって目が悪い人にも優しい仕様に。
    ただ、まとまりすぎて柔和な印象を受け、旧訳のような緊迫感はあまり感じません。
    旧訳では文章中に三兄弟の名前の由来など補足説明が差し込まれていましたが新訳にはありません。

    はじめて読む人には新訳の方が受け入れ易いと思います。
    個人的には旧訳版の方が好きですが、わかりにくい文章なのは否めません。ただ、ラストまでの物語の感じ方に違いが出るかもしれないので、両訳の印象比較を参考にしていただければと思います。

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