スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300011

感想・レビュー・書評

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  •  記念すべきアガサ・クリスティの第一作であり、名探偵エルキュール・ポアロシリーズの第一作目だ。相棒のヘイスティングスも登場し、端役ではあるがジャップ警部も登場する。
     昔一度読んでいる為再読になるが、だいぶ昔の事であり、殆ど初見だ。
     スタイルズ荘における女主人の壮絶な死。
     旧友の元を訪れていたヘイスティングスと女史に恩のあるポアロの再会。
     当時の町の風景や生活様式もありありと感じる事ができ、当時の生活はこの様だったのかと感慨深い。そのなかで、毒という物に対しての扱い、裁判の様子など、現代日本ではイメージする事も難しい。
     事件は明確に提示され、毒殺されている事は全く疑いない。その中で、フーダニットの部分が強調され、歳の差で結婚した主人なのが、二人の義息子なのか、友人たちなのか。という部分にクリスティ特有の驚きを加えている。
     終盤に犯人が逮捕され、しかし物語がまだまだ続いているため何かあるのだろうと怪しんでいたが。つまりドンデン返しとはこういう事であり(多少大袈裟な部分もあるが、やり過ぎでは無い)インパクトとしては絶大だった。ポアロのリアクションを振り返るに、多少違和感がある事はヘイスティングスで無くても指摘したくなるが、許容範囲内だ。
     一度逮捕され無罪になると同じ事件では逮捕されないというルールを上手く活用しており、もしかしたら筆者の考えもあり取り上げられているのかも知れない。この法律があるからこそ、ポアロは逮捕のタイミングを散々気にしており、最後納得がいく。更に今作はデビュー作ということもあり、丁寧に事件内の小さな疑惑を回収し、解説を推理に盛り込んでおりわかりやすくなっている。
     また、犯人らしからぬ人、それでいて犯人であるべき人がしっかりと犯人になっている。こういう描写を入れても実際犯人に気づく事はない。クリスティの凄い所だ。
     再読により印象が大きく変わった作品で、やはり学生時代、理解していない作品が多いと反省だ。ヘイスティングスが何だか滑稽に見えてしまうのは僕が歳をとったからなのだろうか。

  • ポアロ「・・・理由を説明しましょうか。それは、喪に服したこの家で、あなたの目だけが涙で濡れているからです」
    ポアロ「直感と知性はしばしば手を携えて進むのです」
    ふとしたきっかけに、新訳版の全作品が手に入り、刊行順に読むか、シリーズごとに読むか、幸せな悩みで始まる。
    イギリスの田舎町のある富豪家を舞台に、母、義父、息子2人、メイドや医師たちなどの登場人物たちに、まだ若いベルギー警察出身の探偵ポアロと仲間のヘイスティングスを加えて物語が進んでいく。誰が犯人で、どのような背景か、作者が仕掛けてくる仕組みが非常に面白く、最後に驚かされる。
    新訳だからかはわからないが、古臭さは感じない、とても読み応えのある作品。
    アガサクリスティのポアロシリーズ第一作目。

  • オーディブルにて。

    立て続けにクリスティを聴いているけど、相当な古典なのにそれほど違和感が無いのが驚き。事件のからくりに関してでなく、登場人物の心情とその動き、人物像、行動について。人というのはこんなに時代を経てもそう変わらないものなのだろうか。

    ポワロがベルギーから亡命してきたということを今回初めて知った気がする。

  • ミステリーの良さが詰まった作品。
    評論家さんたちがクリスティーに対して言うことの、シンプルな無駄のない本格とはまさにこのこと。ポアロのキャラクターもいいし、惹き込まれるストーリーテリングと各人物の行動の動機の合理性がさすがクリスティーって感じでした!!

    【読みやすさ】10
    【衝撃】9
    【推し度】10
    【引き込まれ度】8
    【ポアロ感】10

  • アガサ・クリスティーのデビュー作であり、名探偵ポアロの初登場作品。旧友の招待でスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズ。そこで巻き起こる女主人の毒殺事件。その謎を解くべく、ポアロが調査へと乗り出す。

    デビュー作とは思えない密度!事件の謎に加え、密接に絡み合う人間関係の描き方はすでに完成されていてため息が出るほど。みんな怪しく見えるし、ポアロは肝心なことを言わずに翻弄してくるし、最後の最後までハラハラが止まらなかった。振り返ってみると、何食わぬ顔でこんなことを…みたいな伏線もあって、犯人の狡猾さはもちろんポアロにも一本取られた。ヘイスティングズとのやり取りもリズミカルで読んでて楽しい。

    最後は人情で締めるというか、そういうところもこの頃からなんだなと。ちゃっかり粋な計らいをしてて、そこでもやられた。ポアロの手の上で踊ってただけだったなあ(笑) あと、ポアロの言葉たちも好き。

    「想像力を働かせすぎるんですよ。想像力はよき下僕だが、主人には不向きだ。もっとも単純な説明が、いつでもたいてい当たっているんですよ」

    「どんな殺人犯もだれかの旧友なのでしょうよ」ポアロが達観した顔で言った。「感情と理性を混同してはなりません」

    不安障害の自分にとって、想像力の話は胸に響く言葉だった。不安も想像力から生まれる。不安は危険を知らせる大切な感情だけど、不安に支配されるようになってはいけない。感情と理性を混同させないように、上手く付き合っていけたらいいなあ。

  • エルキュール・ポワロが初登場するこの話、結論から言うととても面白かったです。資産家の老婦人が殺され、ポワロに助けを求めます。資産家、年下の夫、遺産…好きなワードが並びます。他の小説の探偵と同じようにポワロも答えを勿体ぶり、警察や相棒役を振り回します。(笑)そして、私も一緒にブンブン振り回されて、最後にはあれはそう言うことか!と、ウンウン頷かされています。それぞれの思惑が少しづつ絡み合って、事件をより複雑にしていますが、ポワロが華麗に解決してくれます。さすが。

  • アガサクリスティのミステリ処女作で、名探偵ポワロ初登場の本作。

    スタイルズ荘に住まう金持ちの女主人が毒殺されて、そこにポワロが登場して。
    典型的なフーダニットだが、彼女がミステリ小説という未開の地を切り開いたことを思うと、画期的な作品なのは間違いない。

    小さな伏線だらけで、いっときも集中を緩ませることができない。最後の最後で、小さなエピソードの数々がパズルのピースのようにぴたりと組み合わされると、大きな物語のうねりが見えてくるのだが、「あー、なるほど!」と理解するものの、納得はできないかも。

    こないだのオリエント急行と比べると、圧倒的に読みにくいのは、伏線だらけで、何度もページを行ったり来たりとしなければならなかったからだ。
    正直、疲れた……
    アガサ・クリスティやっと4作目。
    彼女の膨大な作品群を考えると、まだまだ先は長いぞ。

  • 名探偵ポアロシリーズの第一弾。ポアロシリーズは小さい頃ドラマで見て、高学年〜中学生ぐらいにかけてミスマープルものも合わせて読み漁ってた。新訳になったのをきっかけにもうトリックも忘れてるし再読しようかと。
    装丁もかっこいいからずっと欲しかった。スペースの問題で諦め、昔は読んでなかった「春にして君を離れ」だけ買って読んだ。

    現代の派手なトリックものよりもやっぱり昔のオーソドックスな探偵ものが好きだなぁ。

  • 今年はポアロシリーズを読んでみよう!
    …という事で、記念すべき一作目「スタイルズ荘の怪事件」。

    何よりも嬉しかったのが、昨今ではあまり見られない上品さ、優美さ。
    登場人物の会話一つとってみても、読んでいて心地よさを感じます。
    (最近のは眉をひそめたくなるような会話も多いですから~^^;)

    資産家の女主人の毒殺、というよくある設定ながらも、
    これが現在のミステリを形作っているんだと思うと、感慨深いですね~。

    ポアロのキャラも個性的で面白いし、
    どこまでも振り回されるヘイスティングズが気の毒で(笑)
    二転三転する犯人像、意外な共犯者。うーん、これは予想外だった。

    面白かったです♪

  • 名探偵ポワロの初登場。繊細な感情も含めて提示される様々な手がかり。最後まで読んで、クリスティー作品が愛され続けるのがなんか分かる気がした。

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