- Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152088000
感想・レビュー・書評
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ハードボイルドだねぇ、マーロウ。グッドバイ。さよならだけが人生だ。
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ついに読み終わった。チャンドラーもマーロウもレノックスも春樹もいっぱいかんじられた。<br />
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男には、友のために、果たさねばならぬ約束がある。
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村上春樹の小説は好きなわけではない(むしろ嫌い)だが、この翻訳は秀逸。清水俊二訳と比較すると、大変面白い。
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音楽にしろ、絵画にしろ、時代の転換点となるものにはたしかな手応えのようなものがあると思う。特に期待して読んだわけではないが、こんな本は読んだことがないという実感がある。それが技巧的な描写に依るのか、物語の構成に依るのか僕にはわからないけれど、どうしても忘れ去ることのできないなにかがこの小説にはある。スコットフィッツジェラルドとかサリンジャーとか、アメリカ文学特有の退廃的な締念の中心にあるなにかに、いままで感じ取ることのできなかったなにかに触れた気がする。
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初めてこの本を読んだのは高校生の頃だった。ハードボイルド物の推理小説を読んでみたかったらというのがその理由。感想はこれを機にチャンドラーのファンになるほどではなく、最後にあっと驚く犯人とトリックが明らかになる本格物のほうが自分には合うようだという結論になった。
それから十数年経て、村上春樹の再翻訳で読めるようになったということで再度手に取る。内容はあやふやになっていたが、不思議と最後のエンディングだけはよく覚えていた。全く別の本を読んでいる感覚ながら、その場面を目指して読み進む。翻訳が変わって文体が慣れ親しんだものに変わったからだろうか。フィリップ・マーロウが生き生きと蘇った。なかなか楽しい経験だった。 -
高校生の頃、旧訳の文庫で読んだ時は、とてつもなく感動した。読み終わった後、興奮が醒めやらず、夜中にもかかわらず家を出て、近所を彷徨したくらい。住宅地で周りに民家しかないのに(笑)。
積読していた新訳版を、ようやく読み終わった。
もはやティーンエイジャーの時と違ってそれなりにスレているので、今読むと、マーロウなんか格好良すぎない?、という気がしないでもない。
しかし適確で気の利いた比喩を散りばめた、端正な文体の格好良さは流石。
新訳者の村上春樹の文体に与えた影響も確認できる。 -
大学生の頃、長いお別れを読みましたが、それほどの印象は残っていません。今回、村上訳であらためて読んでみて、前半はどうも冗長な感じが抜け切れませんでしたが、後半は一気に引き込まれました。ゆっくりとディティールを味わいながら読むとより楽しめる作品ですね。
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絵と小説は似ている。どちらも純粋に直感的に好き嫌いが出る。しかし、生み出した人物の像、意図、時代背景、生きた土地、そういうものを知るとまた違って見えてくることもある。
本書とティム・オブライエンの『世界のすべての七月』は村上春樹氏のあとがきを読んで、より理解を深めるところの多い作品だった。
主人公であり物語の目となるフィリップ・マーロウ。
私は読み初めからこのマーロウに違和感があり、どうにも居心地が悪かった。それは私が普通の人物としてマーロウを捉えようとしていたからである。普通に読むように、知らず知らず主人公マーロウの人柄や考え方に共感したり思いを寄せる何かを見つけ出そうとする読み方をしていたから、マーロウという人物が掴めないというのは些か心地が良くなかったのだ。
マーロウは主人公であり語り手である。しかしマーロウは
実在していないし、実在できない。彼はひとつの行動の人格化で、ひとつの可能性の誇張である。
あくまでも「視点」であり、生身の人間というよりはむしろ純粋仮説として、あるいは純粋仮説の受け皿として設定されている。(あとがきより引用)
このようなあとがきを読んで(本当はあとがきを全部抜粋しないと分かりにくいかもしれないのだが)それですっかり納得し、さらには興味深い良い作品だという感想になった。 -
私はこの時代のアメリカの雰囲気が大好きなんです。
例えば映画ならアルフレッド・ヒッチコックだったり、ダーティハリーだったり。
ワクワクさせられながら一気に読み通してしまいました。
ハードボイルド作品の金字塔。
村上春樹氏の訳も秀逸。