- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163915371
作品紹介・あらすじ
英雄とは、天に臆せず胸を張って生きる者。
彼らの義は、天に通じるのか――。
唐・玄宗皇帝の時代。皇帝は政治を疎かにし、宮廷では佞臣が暗躍していた。身体を欠損し失意のうちに従軍した崔子龍は、権勢を振るう宦官・辺令誠の非道に憤り、天童と謳われた真智は、義父の遺志を継いで皇帝を糺そうとしていた。そこへ、安禄山挙兵の報が届く。彼らの闘いは、この国をどこへ導くのか――。
大注目の清張賞作家が描く、胸を熱くする圧巻の中国歴史長編
感想・レビュー・書評
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名前が覚えられなくて何度も戻りながら読みました。
色んな意味で良かった。 -
中国の歴史物は残酷な事をさらっと書く。
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唐、玄宗帝の時代。
安禄山の乱前後の話。
時代のうねりと共に、人々もうねる。
この作品での敵役は、玄宗帝に仕えた宦官の辺令誠になると思う。この人がとことん嫌な奴で、これほど非道なことをよく考えつくなあと呆れるほど。
しかしこの人もまたしんどい過去があって、酷い言動の中に凄みがある。
権力やその周辺とは、英雄とは?
一面では英雄だが、他の視点でみれば、ただの掠奪者にもなる。
その辺の複雑な感覚が折り重なって、描かれる。
うーん、と唸って読み進めていくと、不意にとても単純な人助けの場面が現れて、ころっと強い感動を覚えた。
作品の半ばまでが少し読みにくかったが、人々の関連性がわかってきてからは、怒涛のように動く事態に流されてどんどん読み進めてしまった。
結果…。
感動をありがとう!
途中まで読んで挫折するのはとてももったいないので、がんばって最後まで読むべき。
「わたくしはあなたと一緒に走れます」
この言葉と、それを発する人物が、たまらなくかっこいい。
義侠心とはこういうことか、などと感じ入った。 -
デビュー作の『震雷の人』で松本清張賞を受賞した千葉ともこさんの新作は、玄宗皇帝時代の唐を舞台にした英雄譚だ。
名家の嫡男・崔子龍と幼馴染みの王勇傑、杜夏娘の3人に加え、“天童”と呼ばれる若僧・真智の運命が複雑に絡み合う。玄宗は楊貴妃にうつつを抜かし、権力を握った辺令誠や楊国忠に好きにされている。そんな折、安禄山が挙兵し唐は窮地に陥る。
崔子龍はその名前から三国志の趙雲を連想させ、そんな描写もあるが、むしろ劉備のように優柔不断で苛々する。真智は切れ者だが武力はない。裏切りや絶望の果てに彼らを待つものは……。 -
宦官の隊長と若僧と婢が「天」に挑む――。前作と同様、「熱い」作品。さまざまな制約のなか、己をどう貫き通すか、という物語として読んだ。凄かった。
舞台は唐・玄宗皇帝の時代。楊貴妃、安禄山といった著名な人物も出てくるが、物語の軸にあるのは「宦官」達の闘い。
華々しい闘いとはまた別に、歴史上悪しき存在として扱われがちな宦官たちが、存在意義を賭けて闘いに身を投じていく。独特でありながらも、読み手の心を揺さぶる煌めきがあった。凄い作品だ。 -
子に対する愛著は、枝の茂った竹が互いに相絡むようなものである
筍がいかなるものにも纏わりつかぬように、犀の角のようにただ独り歩め
P,354
孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように。
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ダヴィンチの特集と、クロワッサン・ブックガイドから。唐の時代とか、漫画も含めてほとんど触れたことないな、と思って。中国史となると、つい三国志とか水滸伝を思い浮かべてしまうから、スケール感の点では物足りなさを覚える。一方で、魅力的な登場人物が織り成すドラマの観点で見ると、色んな感情が揺さぶられる。
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情景描写があまり多くなく、セリフを中心に展開する物語にはじめの方は置いていかれかけた
ラストの流れるような展開はとても良かった