ヒトはなぜペットを食べないか (文春新書 439)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166604395

作品紹介・あらすじ

本来、ヒトは雑食性。東洋西洋を問わず、さかんに犬や猫を食べてきた。しかも愛情、性欲、食欲は同類項。無意識の深層でつながっている。天使のような赤ちゃんに「まあ可愛い。食べてしまいたい」と頬ずりしたことはありませんか。膨張しつづける人類の欲望。そのなかで近親相姦とペット食は近代の二大禁忌に。どうして我々は丸々と肥えたペットに涎を垂らさなくなったのか。摩訶不思議なヒトの深奥をさぐるミステリーの旅へ、さあご一緒に-。

感想・レビュー・書評

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  • 解題が難しい
    食肉の歴史
    獣姦と インセストタブー
    贈与論と祭り
    擬似愛玩具のとして ペットの位置が確立した
    短小に製作する

  • 昨今の食糧危機を考えるとき、『もの食う人びと』のペット缶工場の話を思い出す。

    食べ物がないならペットを食べればいい、の前に人間が生き物を飼うのをやめればいいのになぁと漠然と思っていたのだけれど、ペットの歴史を紐解いてみても結局人間の文化的側面で動物を崇拝してみたり遠ざけたりしているだけなようなので実現可能性があるのでは?

  • しょうもない言葉遊び。
    科学的(生物的)な説明は一切なく(ネコは猫かぶりである、とだけ書いてたり)、たんに言葉遊びだけで大真面目に人類が動物と、どう付き合ってきたかを説いている。後半は禁忌というものそのものについて説いているが似たようものでお粗末でちょっとしたエッセイみたいなものだった。

  • <閲覧スタッフより>
    タブーとされる文化や歴史について言及した一冊です。なぜ動物へのタブーは誕生したのでしょうか。驚きのテーマによって解説される、私達の知らないあれこれ。犬肉食・猫肉食の背景、人間が動物と結婚した…!?など。現代に至るまでの動物観の変遷とはいかに。人と動物との関わり合いには、秘めた事実がありました。
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    所在記号:新書||389||ヤマ
    資料番号:20078296
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  • 題名を逆説的に証明するように、本書の半分以上がヒトの獣食(イヌ・ネコなどを含む)の歴史について書かれている。食文化の歴史の勉強、犬猫への神聖視とタブーの仕組みについての勉強になったが、ところどころオリエンタリズムの強い表現があるところが気になった。

  • カオスとコスモスとリーメン

  •  著者の博識さと本書の濃密さはたしかにすごいのだが、著者の持論というかコメントは総じてやや雑だ(以前の新書ほどではないにしても)。締切間近に遂行せずに書いたのでははいかと思うほど。


    【書誌情報+作品紹介】
    著者:山内 昶(やまうち ひさし、1929-2006)文化史学(食のタブー等)
    出版地 東京
    出版社 文藝春秋
    ページ数 200ページ
    判型・造本 新書判 軽装
    初版奥付日 2005年04月20日
    ISBN 978-4-16-660439-5
    Cコード 0295

    ◆人類、最後にして最大のタブー?
    本来、性と食には禁忌はない? 犬猫食いの人類が、いかに愛玩者になりえたか。摩訶不思議なヒトへの洞察が深まる破天荒な人文書!

    [担当編集者より]
    本来、人類は雑食性。洋の東西を問わず、せっせと犬や猫やヒトを食べてきました。周恩来も大の犬好き。田中角栄首相一行を迎えた人民大会堂での正餐にも、犬肉料理が登場しました。読者だって、例外ではありません。天使のような赤ん坊に「かわいい! 食べてしまいたい!」と思ったことはありませんか。欲望に忠実な人類が、いかにしてペット食を放棄し、愛玩者となりえたか。さあご一緒に、摩訶不思議なヒトの深奥をさぐるミステリーの旅に!(WM)
    http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166604395


    【目次】ルビは〔〕のなかに示した。
    目次 [003-006]

    序章 読者のあなたへ 007

    I 章 イヌを食べた人々(ドッグ・イーター) 011
    ペットの王様と女王様/食文化の衝突/イヌは食用に飼い馴らされた
    一 日本の犬肉食 016
    古代と中世の禁食域/野犬は目こぼし/近世は貴賤を問わず/江戸、秋田、薩摩、伊勢の犬食い/男色と犬食い
    二 中国の犬肉食 026
    古代では魚より上位/犬肉食の衰退/なぜ食べなくなったか/犬肉食の復活/周恩来の大好物
    三 西洋の犬肉食 036
    古代ギリシアの聖と賤/中世以降は犬喰いに不利/飢えたら食べた?/クックの航海日誌/現代でもスイス、スペインに愛好家が

    II 章 ネコを食べた人々(キャット・イーター) 048
    一 ネコの飼い初め 048
    水鳥猟で活用/ネコの女神
    二 西洋の猫肉食 051
    なぜ古代と中世では忌避されたか/近世以降の料理法/魔性のネコ
    三 東洋の猫肉食 057
    ネコの東漸/猫と狸の化かし合い/ネコの来日/狸汁か猫汁か/日本のキャット・イーター

    III章 ペットを愛した人々(ペット・ラヴァー) 068
    一 獣姦の世界 069
    獣姦は聖婚/ヒトと動物は同類/浄めの機能としての獣姦/変りゆく動物観/西洋の獣姦裁判/東西の動物観の差異
    二 民話の異類婚姻譚 084
    カニと結婚した女(イヌイット)/サルと結婚した女(日本)/ガマと結婚した女(フランス)
    三 食と愛 091
    コンソメの話/有歯膣〔ワギナ・デンタータ〕の女神/金精神〔こんせいじん〕と剃刀婆〔ビータイボホ〕

    IV章 タブーの仕組み 100
    一 コト分けとしての文化秩序〔コスモス〕 101
    創世神話の理〔コスゴモニア〕/境界〔リーメン〕の不思議/タブーの暗号解読〔デコード〕/道祖神とヤヌス神
    二 境界〔リーメン〕上の存在 110
    境界の人々/境界の動物/『旧約聖書』の食タブー/カテゴリーの紊乱者
    三 タブーの構造 118
    食・性タブーの相同構造/食人のタブー/生命エネルギーの交換/インセスト回避のメカニズム/役に立つから食べないのか/牧畜民と農耕民の対立/世俗タブーの形成

    V 章 贈物と祭り 135
    一 贈物 136
    贈与は人類の黄金律/食物と女性の贈与交換/贈与交換と商品交換/未開社会はペット肉も交換で
    二 タブーの侵犯 147
    文明の狂宴〔オルギア〕/歌垣と五月祭/未開の狂宴〔オルギア〕
    三 祭りの文化的意味 154
    ケ・ケガレ・ハレ/カオスの活力/水のシンボリズム/箱舟は子宮の象徴/王殺しと祭りの両義性

    VI章 ペットと消費文明 163
    一 ペットは近代の産物 164
    ペットの語源/動物機械論/近代生活の反射鏡
    二 世俗化する現代 170
    動物の脱獣化/動物の脱聖化/祭りの卑俗化/百鬼夜行の食文化
    三 仮象の擬似世界〔ヴァーチャル・ワールド〕 177
    電子ペットの出現/消費財としてのペット/操作される欲望/ペット禁食は人類最後の砦か

    あとがき(二〇〇四年九月四日) [187-188]
    参考文献 [189-193]

  • 面白かった。文化人類学の観点から読み解く食肉文化史。

  • 秩序とそれを維持する為のタブーの生成過程、そして秩序を維持更新、再生していく為に用いられる混沌としての祝祭。
    近親姦・獣姦・食人などのタブーの歴史から見ていく。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。京都大学仏文学科卒業。同大学院(旧制)修了後、パリ大学高等研究院に留学。元・大手前大学教授、甲南大学名誉教授。著書:『食具』、『もののけ Ⅰ・Ⅱ』(ものと人間の文化史)、『ロマンの誕生』、『現代フランスの文学と思想』、『経済人類学への招待』、『タブーの謎を解く』。訳書:マンデル『カール・マルクス』、マレ『労働者権力』、サーリンズ『人類学と文化記号論』『人類学と文化記号論』、ゴドリエ『人類学の地平と針路』『観念と物質』『贈与の謎』、プィヨン編『経済人類学の現在』、ロダンソン『イスラームと資本主義』、トマス『人間と自然界』、アタリ『所有の歴史』、テスタール『新不平等起源論』ほか。2006年死去。

「2014年 『贈与の謎 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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