自己評価の心理学: なぜあの人は自分に自信があるのか

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314008778

作品紹介・あらすじ

自分で自分のことをどう思っているか-すなわち自己評価は、恋愛、結婚、子育て、友人関係、仕事など、あらゆる場面で私たちの考え方や行動に大きな影響を与えている。あなたの自己評価は高いか低いか?安定しているか不安定か?それはどのように形づくられ、どのように言動に表れるのか?精神科医のコンビが、豊富な実例と図表を使いながら、そのメカニズムを平易に解説。自己評価を改善する方法も提示する。自分や他人への理解が深まると同時に、前向きに生きていく糧ともなる一冊である。

感想・レビュー・書評

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  •  一言で感想を書くのがすごい難しい本でした。隅から隅まで頷けることばかりで――欲しいな、この本。繰り返し読みたいです。クリスマスまでこの気持ちが続いていたら、買おう……かな。
     影響力が強すぎて、どんなことでも『自己評価』という軸でものごとを考えてしまいそうで怖い。っていうか、今ちょっとそうなりかけている。人を批判する人を見ると、この人はこれで自分の自己評価を上げているのかな、とか。人からけなされても動じない人、他人の意見を排しても自分の意見を主張する人を見ると、この人の自己評価は高いんだろうな、高くて安定かな不安定かな、と考えてしまう。

     とはいえ、この本のお陰で、自分が今持っている価値観を疑うということを覚えたので、ある意味契機になりえる本だったなぁと思います。
     まわりの目を気にしているということは、まわりの人に注意を向けているのではなく、自分に注意を向けているだけなのだなーとか。

     自己価値観が下がると女性は男性に口説かれやすくなるというのはちょっと笑えましたが。ほんのちょっとした出来事も、自己価値観という概念にするっと結びつけられるというその論法はすごい。
     もともとこの人の文章が好きで、内容がよければいうことはないけど文章の並びを見るだけでも楽しめるので、うん、いい本だったなと。

     自己価値観という尺度で自分を見直す生活は、きっとまだ続くでしょう。
     さしあたって――私の集中力のなさは、自己価値観のなさによる無力感が関係しているようなので、自分はできると暗示をかけると作業の進捗がよくなる(じっさいよくなっていると思う)のは、不思議な話だと思います。

  • 借りたもの。
    ポジティブに生きる事、ありのままを生きる事――そのために必要な自己評価について、健全で肯定的な自己評価の必要性と、その理由を、クライアントの事例から丁寧に解説してゆく本。
    これを読んでいると、最近はやりの「引き寄せの法則」などの自己啓発本の根底にあるものは自己肯定感で、それに起因する行動によって夢の実現等、「引き寄せ」ているのだと思った。
    また、自己愛性人格障害、コミュ障然り、その根底には自己肯定感が関わっていると思う。
    それらは親と子の関係から始まり、人間関係――ひいては人類の抱える大きな悩みの根幹となっているものではないだろうか。
    その先駆となったのはアドラー心理学だろう。「すべての悩みは対人関係の悩みである」とあるように。
    自己肯定感を培うには、養育者からの“無償の愛情”であることを、前半で語り、中程では自己肯定感の”バランス”の重要性、そして偏りに伴う傾向の分析などが語られる。
    やはり、親の影響というのは大きい……(「親が悪い」と言っているのではない。理由が分かったから、克服するのが命題だから)

    後半では、自己肯定感が乏しいクライアントが、いかにして回復していったか、様々な治療法の検討と、クライアントからの手紙という形で、何がきっかけで回復したかを端的に表している。(もちろんこれは一例に過ぎず、全ての人がこのように回復するわけではない)
    しかし、セラピストに関わるならば、どういう人が良いセラピストなのか、どの様な点に気を付けるべきか、ひとつの指標となると思った。

    この本は2000年に出版されたもののようだが、今、日本でもてはやされている心理学の考え方は、10年以上前に海外では語られていたと思うと……
    日本はまだまだ浸透していないのだろうか?

  • 愛肯定自信三本柱

  • 自分の自信のなさはどこからやってくるのか、
    どうしたら自信をつけられるのか知りたくて、本書を読みました。
    著者たちの元を訪れる患者のエピソードを交え、
    自己評価が低い人の特徴や、自己評価が低くなる要因、
    どうやって自己評価を高めていけるかについて、書かれています。

    自分はどんな人間で、自分のどこが好きでどこが嫌いか。
    自分自身を評する「自己評価」は、
    「自分を愛すること」「自分を肯定的に受け取ること」「自信を持つこと」
    これら3つの価値観が土台となって形成されていくものだ、という前提から、
    話が進んでいきます。

    自己愛、自己肯定感、自信、どれも同じような言葉に見えて、
    それぞれ別の価値観かつ、相互に深く影響し合う考え方です。
    どんな強み・弱みがあっても自分をありのまま受け止め、
    失敗してもいつか立ち直ることが出来ると確信し、
    どんな状況であっても自分を愛することが出来る。
    こうした心の安定が整うことで、
    人はあらゆる事に挑戦し、失敗を受け止め、
    また行動を積み重ねて、自己評価を育むことが出来る、といいます。

    自己評価は、日常における様々な行動や小さな成功によって維持され、
    高められるものですが、そもそも、自信がなければ
    人は行動することが出来ません。
    「自信」は自己評価のための重要な土台であり、
    物事の捉え方や自己理解を正しく行うことで、身につけていけるものだ、
    というのが、本書で特に注目する点かと思います。

    どういう物事の捉え方をすれば良いかは、
    本書の11章で9つのテクニックを紹介しています。
    個人的にも取り組みたいと思えた内容だったので、備忘録として以下に記します。

    ・自分の長所、短所、能力、限界を知る。
    ・その上で、自分を受け入れる。
    ・自分の中にある否定的な感情をちゃんと認め、状況に忍従しない。
     自分の本当の思いを押し殺さない。
    ・行動して、自分の得意分野を伸ばす。
    自分が夢中になれることに取り組んで、
    能力が上がれば、自ずと自信が付いて自己評価も上がる。
    ・自分を批判する心の動きに敏感になり、打ち消す言葉を心の中に持っておく。
    「よくなかったよな」「駄目だったな」と感じた時点で自分にストップをかける。
     具体的な解決策や学びに繋がりそうにない、苦痛な批判にしかならないなら、
     自己批判及び悩むのはやめる。
    ・成功・失敗の2元論で物事を見ない。失敗は誰にでもあり、
     学びの宝庫でもあるので、悪いこととしてとらえない。
    ・自分を抑えすぎるとストレス増大。我慢せず、自己主張も行う。
    ・人の立場、気持ちを理解することに努める。
     共感性は、他者との結びつきを強め、後に述べる社会的サポートの一助にもなる。
    ・社会的なサポートを持つ。
     家族、友人、知人、医者・・様々な支えの存在がおり、
     最終的にどうしようも無くなったら、他人を頼る手があるということを知る。

    このような自己内省的な取り組みを通し、
    自分がどのような人間で、どんなことをストレスと感じるか知ることで
    ストレスコントロールが出来るようになるのかな、と感じました。
    また、
    「自己評価の低い人は、自分のことを知らない
    (自分の能力や性格を知らない)せいで、何らかの問題にぶつかっても、
    解決策が自分の中にあるとは思えないため、
    他の人がどうするか見極めたりして時間がかかってしまう。」
    という一節も含め、
    1つ目に挙げた、自分の長所、短所、能力、限界を知るという点は、
    特に重要だと思います。

    私自身、これまで、失敗や損することが嫌で悩むだけで終わったり、
    何かしら理由をつけて決断出来ないことが多く、
    「慎重な性格だから」、「大人しい自分だから」と見過ごしてきました。
    でも、人や周りに合わせることで自分は本当は何をしたいのかわからなくなり、
    行動できずどんどん自信がなくなり、
    失敗で自分が傷付くことを恐れるあまり、
    「失敗する自分」を当たり前のように想定する癖もついてしまいました。
    (セルフハンディキャッピング効果、というそうです)
    自分が慎重で物事を決めるのに時間がかかること、
    人の意見に左右されがちなことを、「性格だから」と看過せず、
    自己評価の低さが影響している行動では?と問いかけてみて、
    改めて自分のことを振り返る必要があると感じました。

    そもそも、何故自己評価の高低差が生まれてしまうのかについては、
    幼少期の環境や親との関係性が深く関っている、というのは通説であり、
    本書でも述べられているとおりです。
    ただ、他の主張と違うと感じたのは、
    「自己肯定感は子供の時の影響だけで決まるものではなく、
    大人になってからも恋愛、仕事、勉学など様々な場面で変化し、
    また、状況に応じて安定にも不安定にもなるもの」という点です。

    どうにかしてトラウマから抜け出したいと思うのに、
    親を理由に自分の自信の低さを正当化してしまう。
    過去に引っ張られ続けることに、長年苦しさを感じておりますが、
    人によってハンデはあるものの、
    誰もが状況と人間関係次第で高低差が変わるものなのであれば、
    自分にもまだ努力余地はある、と勇気付けられました。
    基本的には、自分のように自信がない患者のエピソードが
    だいぶライトに取り入れられ、論拠となる話もだいぶ端折られているせいか、
    こういった耳が痛い話も、だいぶポジティブに読み進めらることが出来ます。

    他にも、自己評価の低い人の特徴に関する話は、
    まさに自分、といった内容ばかりでした。
    特に、「空想、妄想する人が多い」にはギクリとさせられました。
    自分の心を守るためには必要な行為だけど、
    空想の世界の理想が高すぎると、今度は現実とのギャップに打ちのめされ
    行動のハードルが上がってしまう、という内容には頷かざるをえません。
    自分の日々の何気ない行動が、色んなチャンスを逃していたのかもしれません。
    本書で挙げられていた「中間目標を持つ」テクニックは、
    小さな工夫なのですが、私のように空想の世界に逃げがちな人間には
    取り入れやすい行動だと思います。
    理想の一歩、二本手前の小さな目標を日々積み重ねていく、
    というものですが、
    大きな要素(理想、目標)を小さな要素(日常の取り組み)に分解し、
    自分に出来ることから取り組んでいく、という行いは、
    自己評価の低さ高さに関わりなく、誰もが取り入れるべきテクニックだなと
    感じます。

    特段難しいことは書かれておらず、
    「言われてみれば、確かに大事だよね」ということが沢山書いてある本書、
    図書館で借りましたが、自分のお守りのように家に置いておきたい、と
    思える内容でした。

  • 「自分に自信がない」「行動できない」と悩む多くの人におすすめ。
    抽象的な自己啓発書とは異なり、精神医学の面から「前向きになる」ための具体的なアプローチが記された良書。

    「自己評価とは何か」「自己評価の形成と影響」「自己評価の改善方法」の三部構成で自己評価が考え方と行動の全てに影響しているということが理解できる。

    個人的に重要と思った一文。

    「自己評価が低いと行動ができない。しかし、
    行動しなければ何も起こらない。そして、何も起こらなければ自己評価は改善されようがない。したがって、自己評価を改善するにはまず行動を起こすことが必要。行動を起こして、その結果をうまく受け止める、これが大切。
    というのも、自己評価と言うのは行動を出発点としているものだから。」

    実際に行動起こすには気力がいるが、そのためのステップも記されているので、ページ数は多いがセラピーを受けるつもりでじっくり読めば、自己評価を改善するための一助となるに違いない。

  • 自己評価が高い/低いと、どんな時にどんな捉え方をするか
    その自己評価はどのように形成され、何に影響されるか
    自己評価を改善するには
    といったことがわかる。

    改善方法についての言及がもっと欲しかった。また改善方法については、これができるなら、その人の自己評価は十分高いだろう、と感じた。

  • 世の中には1.自己評価の高くて安定してる人、2.高くて不安定な人、3.低くて不安定な人、4.低く安定してる人の4つに分類されるそうだ。一般には2と3が圧倒的に多数だろう。
    それに、自己評価が単純に高ければいいという問題でもない。
    高くて、非常に安定している状態が理想かもしれないが、それは何事にも動じず、常に冷静、前向きな考えを持っているということか。
    本の内容はフランス人が書いた内容にしてはわかりやすいものであった。訳者の力量もあってのことだろう。

  • 自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか。クリストフアンドレ先生の著書。自己評価が高くて自信がある人のほうが、自己評価が低くて自信がない人よりも、社会生活でも人間関係でも成功することが多い。そして自己評価は安定していることが何より大切。自己評価や自信、自己肯定感を子供の時から身につけることの重要性を学べます。

  • 読み終わりました。

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著者プロフィール

【著者】クリストフ・アンドレ : パリのサン・タンヌ病院に勤務。フランスで人気の精神科医で、本書はフランスで32万部のベストセラーになっている。著書に『自己評価の心理学』、『他人がこわい』(以上、共著)、『自己評価メソッド』(すべて紀伊國屋書店)など。

「2015年 『はじめてのマインドフルネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

クリストフ・アンドレの作品

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