神様からひと言 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334738426

感想・レビュー・書評

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  • 読書仲間からお借りした1冊。
    さらっと読める、なんとも痛快・爽快な物語でした。

    主人公は、失恋したての元マーケター・佐倉凉平。

    彼がとある社内でのトバッチリから、リストラ予備軍でもある、
    社内のクレーム処理係に飛ばされてから、物語が始まります。

    その係、どうしようもない連中ばかりかと思いきや、、
    うだつの上がらない先輩が、実は凄腕の処理係だったりも。

    クレームに対する対応も様々で、脅したり、なだめたり、
    そして、平謝りしたりと、、時々でいろいろ変わるのもまた興味深く。

    人の心を動かすには、、そんな視点で読んでも面白いです。

    ラスト、流行に敏感で、会社を“カイゼン”しようとしている副社長が、
    実は○○だったりとか、、なかなかのドンデン返しも楽しかったです。

    創業社長はひとかどの人物のようですが、
    周辺のアレな一族が、なんとも身をつまされます。

    凉平、最終的には会社を辞めるのですが、
    失ったものも、得たものも、それぞれにあります。

    人との距離感、なかなかに難しいなぁ、なんて風にも感じました。

  • 少々現実味に欠ける登場人物たちに、そんな上手くいくかな?と思いつつ、代理店側とクライアント側でプロダクトに対する考えや意思決定フローが大きく異なるというのを再実感させられた。恐らくその部分に関しては、リアルに基づいて書いているのではないかな。

    感情描写はかなり好みだった

  • なんか普通やなー。もう最後の方は飛ばし読み。面白くない訳じゃないんだけど、真剣に読むほどでもない。ボーッと読める本やね。現実味あってよかったよ。だけど、おじさんの世界すぎて、よく分からんかった。

  • なんで大人になればなるほど頭がかちかちになっていくんだろう、日本には地雷はない、仕事をクビになっても死なない。そうねえ確かにやめても死なないかあとちょっと現実から離れられる本でした。頭でっかちでいらっとする世界だけど、おかしいことはおかしいと言わなきゃいけない時だってあるさー

  • 荻原作品を初めて読んだのは「明日の記憶」だった。人は絶望を感じても明日に向かって前に進んでいくんだと教えてくれた本だった。そんな作家がこのような「ユーモア」な小説を書くのを知り驚いた。
    むしろ、この「ユーモア」なイメージの方が強いことも改めて知った。

    ピンチはチャンスに!

    どんなときも一生懸命に向き合っていくことが大切だと感じた。
    思わず苦笑いしてしまう場面もあり
    他の作品も読んでみたいキッカケになった。

  • 大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。


    色んなキャラの人達が登場して、
    すごく楽しかった♪

    ドラマにすると面白そうな展開&内容で
    (ドラマが中止になって残念…)

    最後まですいすい読めた。

  • お客様相談室でのドタバタ!お客様の声は、神様のひとこと。根幹が解決しないと終わりがない。神様はいつも見ている。何事も真っ直ぐな心でね。

  • 読み終わった翌日、不思議と心が軽くなっているのに気が付きました。
    主人公は、転職先のブラック企業で奮闘するサラリーマン。
    同じく会社員として働く立場から共感できる部分がありつつ、ずっと、根底にある「あなたは、何のために、どこを向いて働いているの?」という問いかけを感じていました。

    会社で嫌な人がいても、大変なことがあっても、人は簡単に会社を辞めたりしない。なぜか。
    それは、会社に人質を取られているからではないか、というのです。妻子を養わなくてはいけない、とか、家賃を払わなくてはいけない、とか、辞めない理由は人それぞれ。
    とても後ろ向きながら現実的にはそんなものかもしれません。

    それが、物語が進むにつれて、ちょっと風向きが変わってくるのです。

    主人公である涼平が配属されたのは、お客様相談室。
    実情は、クレーム担当どころか、苦情もみ消し係。
    でっち上げの苦情を言う人もいる一方で、真摯に意見をくれる人もいる。その声を聞かずして、存続できる会社はないんじゃないでしょうかね。
    自分がどこを向いて働いているのかを忘れてしまった先にあるのは、崩壊なんだと思います。何事も。
    決して周りの目を気にして従うのがいいとは思わないけど、受けた恩は返す、ベストを追い求める、相手の声をしっかり受け止める、そんな働き方ができたら素敵です。
    あまりに職人気質で若干抵抗があるものの、げんこつ亭のようなお店があったら行ってみたい。食べ物は、作り手の想いが伝わりますよね。

    それから大好きなのは、涼平と篠崎の絡み。
    じとっとした涼平の視線と、常に軽快な篠崎のやり取りはユーモアたっぷりで見ていてすごく楽しい。
    篠崎について深く語られることはなかったものの、彼の人生にも興味があります。いつか、第二弾として彼の物語を読める日を楽しみに待ってます。

    ずっと読みたかった作家さんだったので、読めて大満足です。

  • 実は悲惨な題材なのに、どこかおかしみがあるから、読んでいて嫌な気にならない。ところどころ、妙に心に残る一言があって。
    そういえば題名は、「神様にひとこと」ではなく「神様からひとこと」だったと、読み終わった時にふと思った。

  • 暴走系サラリーマンがクレーム処理係にまわされ、アクの強いキャラに振りまわされる。
    よくある設定のようであるけど、篠崎さんが良い。ギャンブル好きであるが、クレーム対応がしっかりできるところが気持ちよく爽快。
    またラーメン屋店主の光沢さんも、高飛車なだけでなく芯のある営業をおこなっている姿勢も格好良く見える。

    話の中で、何度も仕事を辞める発言があるのだけど、理由は違いつつも心境は理解できるのでサラリーマン世知辛いなあ、と共感してしまった。
    逃げ出して職を失っても本当になんとか生きていけるのだろうか?まあそんな覚悟はないのだけれども。人質を取られていると言う表現もなるほどです。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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