- Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334772734
感想・レビュー・書評
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清々しさと温かさを含む読後感だった。
まず主人公の雅雪に同情してしまう。
自分の恋人が犯した罪を背負い、周りに起こる衝突や災いを自分のせいだと捉える自責感と、庭師という職人気質の性格に、何もそこまで背負い込まなくても、と思ってしまう。
優しく接してくれる人達と事件の背景を知る文枝さん。
どんな過去があったのが気になり、どんどんと読み進めてしまう。
過去の全貌が明らかになった後も、いや、明らかにされたからこそ、皆の幸福を望みたくなる。
そして最後には、、、
こんなに次を読みたくなる、本を開きたくなる小説はなかなか思い出せない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それでも前をむこうと、雅雪を理解しようと葛藤する遼平の内心を思うだけで、胸が詰まる。
中学生という多感な時期であるだけに尚更。
ついには、気持ちの落としどころをみつけて、彼なりに終止符を打った。物語終盤の一連の行動には震えた。彼の未来があかるいことを、願わずにはいられなかった。 -
とてもよいお話だった。映像化してほしい。雪雅と少年の関係性がとてつもなく素敵。
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遠田潤子さん初読みです。出先で気まぐれに購入した小説でしたが、出会えて良かったです。素晴らしい長編でした。不幸な主人公雅雪が何故そのような境遇にいるのかがなかなか語られず、苦しい読書でした。理由が分かってからも繰り返す不遇に、神様どうか彼を助けてください…と最後は祈りながら読んでいた気がします。ギリギリと締め付けられるような緊張感が読後ふわっと開放されるような、すっかり嵌り込んでしまえる作品でした。とても面白かったです。
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ヘヴィだし、主人公へ周りの人が言う言葉はごもっともで主人公が必ずしも正しいとは思えないけど、最後に2人が一緒に食卓を囲むことができて良かったと思うし、遼平が、この子は本当に偉いと思うけど、自分で前を向いて進もうとした姿がとても良かった。
決して明るくはないが登場人物の幸せを願わずにはいられない作品でした。
2017.3.5 -
主人公は33歳の若き庭師。かつて恋人が犯した殺人事件の巻き添えとなり両親を失った少年を懸命に育てている。その渾身の償いは一向に理解されることなく、寧ろ凄絶さを極めていく。そして、まもなく服役を終える恋人…。
恋人と再会は果たせるのか?その7日間の話なれど、回想の中で、事件の真相・主人公の祖父・父親との確執・庭師として生きる情熱・会食不能症の精神疾患の深刻さ・作庭や釣忍の情景の美しさなど、ふんだんに盛り込まれた濃密な小説。
過剰とも言える愛憎劇が巧みな構成により展開され、果たして主人公の魂が救済されるのか…その思いに牽引され、ひたすらページを繰ってしまう、ぶっ飛びエンタメ小説。