- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344040649
感想・レビュー・書評
-
三國さんのドキュメンタリーを観て、三國さん本人がどのようにご自身のことを語っておられるのかを読みたくなり手に取った。「事実は小説よりも奇なり」という言葉が浮かぶ。とても読みやすく、面白く、心が熱くなる自伝。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みながら、三國さんの半生を伴走したかのような気分。この本を読んで、良かったと思う。そして、オテル・ドゥ・ミクニで食事できた体験が一生の思い出になった。
-
行動する勇気 寝る間を惜しむほどの努力
-
貧しい家庭に育っても努力と根性でフレンチの一流シェフになった三國さん、凄いです。私の母と同年代ですが、今もなお新しいことに挑戦し続ける三國さんを見習って私も色んなことに挑戦していきたいと思います。
-
三國清三フレンチシェフの自伝本。
読み始めたらぐいぐいと引き込まれ、あっという間に読み終えた。
とてもこんな行動的な生き方は真似出来ないが、勇気もやる気ももらえる本だ。
ひとつのことにここまで情熱を捧げられるということは、うらやましくもある。
ここまで好きなことを突詰められる生き方をしてる人は一体どのくらいいるのだろう。
毎日をひたすらに生きていれば不安を感じることもない。
私も日々を精一杯生きたいと思った。
仕事や生活に悩んでいる人にはオススメしたい良本だ。
「大波が来たら逃げるな。船の真正面からぶつかってけ」
逃げようとして、波を横腹に受ければ船は沈むのだ。
舳先を真っ直ぐに波に向けて思いっきり漕いで乗り越えろ!
★4 -
セ・パ・ラフィネ。良い言葉をもらったもんです。
見城本は、すぐ読める。面白いから?中身が薄いから?また読みたいです。 -
時代は違うけどなるほど、情熱。
-
これは、ボンボンにはできっこない。
本当の地頭の良さがなくては。
今の偏差値エリート官僚や世襲議員には絶対ないもの。
彼がチャンスゼロの世界でどうやってきっかけをつかんでいったか、
それを読むだけでワクワクする。
今の日本にないもの。
金持ちは金持ちを引き継ぎ、貧乏人は貧乏人のまま。
立ち上がれない。
そんな国はおしまいだよ。
それだけに、70歳になろうとしている彼の最後の挑戦は凄い。
大繁盛の店をたたんで、本当にやりたいことをやる。
「三國」
行ってみたいなあ。カウンター8席だけのお任せの店。 -
フレンチの巨匠である三國清三氏の自伝。三國氏がどのように今の地位に至ったのかがよくわかる。北海道の増毛で過ごした幼少期の貧しく厳しい生活から得たものが大きかったのだと思う。札幌グランドホテルや帝国ホテルに無鉄砲に飛び込んでいき、労苦を厭わず下積みの仕事を黙々とこなし、上司に認められてたことも、フランスで次々と三つ星レストランに入り込んで店主に認められ、腕を磨いていくことができたのも、幼少期の体験で得たタフな人間性があってのことだと思う。帝国ホテルの村上信夫総料理長が、当時洗い場にいた三國氏をスイス大使館料理長に推薦したところが面白い。とても興味深く読めた。なかなか真似できない、すごい人だと思った。
「料理店というものは、お客様に育てていただくものだと思う。親から子、孫へと何代にもわたって通ってくださる常連の方たちも、今日初めていらした若いお客様も」p7
「親たちは一年中働き詰めだった。自給自足、自然の恵みで生きる、と言えば理想の暮らしみたいだけれど、実際にそれをやるには四六時中なにかしら手を動かしていなきゃいけない」p21
「料理人の世界は、学歴も年齢も関係ない。仕事ができるかできないか、できさえすれば、どんどん重要な仕事を任されるようになる」p69
「(札幌から東京へ)上野の駅に着く前からずっと東京だった。列車の窓から見る東京の街は、四方八方東西南北見渡す限り続いている。行けども行けども東京だった。その東京の街に降り立ち、文字通りビルの谷間を歩くのは、ヒグマのいる増毛の森を歩くより空恐ろしかった」p81
「(総料理長には会う機会がない)相手が他の人なら、ぼくの性格からしてずけずけ近づいた。人づきあいの秘訣はニコニコ笑いながら遠慮なく近づくこと。窮鳥(きゅうちょう)懐に入れば漁師も殺さず。懐に入るのはぼくの特技だ。人が大好きだから。そして人は、自分を好きな人を好きになる。子どもの頃からその調子で、誰とでもすぐ仲良しになれた。村上総料理長が相手では、そういうわけにはいかなかった」p88
「(帝国ホテルでの先輩との喧嘩)助け舟を出してくれたのは、総料理長の村上さんだった。ある日、いつものように厨房で先輩方と「髭を剃れ」「いえ剃りません」と押し問答していたときのことだ。総料理長がそこを通りかかった。一瞬にして静まり返った厨房で、料理の神様はひょいとぼくを見て笑った。「髭をのばしましたね。似合ってますよ」その日から、誰もぼくの髭をとやかく言わなくなった(当時三國氏は、村上氏のテレビ出演(NHK「きょうの料理」)時のアシスタントを勝手にやり、村上氏の信頼を得ていた)」p96
「(小木曽スイス大使夫人)「私たち最初は村上さん(帝国ホテル総料理長)にお断りしたんですよ。三國さんが二十歳だと伺って、あまりにもお若いので無理だろうと思いました。三國さんは私たちの息子と同い年ですからね。二十歳の若者がどんなに頼りないかはよく知っていました」そう言って笑うと、奥様は表情を改めた。「ですけど、私たちがお断りしたら村上さんが仰ったんです。『あの若者なら大丈夫です。私を信じてください』と。村上さんがそこまで仰るので、それ以上断れなかったんです。三國さん、日本に帰ったら村上料理長を生涯大切にしなさい」」p119
「帝国ホテルには料理人が520人もいたのに、村上さんはなぜよりによって洗い場の僕を選んだのか。(村上氏は亡くなってしまい、理由は今もわからない)」p120
「(村上氏から言われた3つ)大使を閣下と呼ぶこと。十年修行すること。収入は自己投資に使うこと。「十年修行しなさい。そして働いて得た収入は自己投資しなさい。美術館に行き、音楽を聴き、なによりもいいレストランで食事をしなさい。辛抱して勉強しなさい。十年後には、必ず君たちの時代が来ます」」p120
「(村上氏の長女)「家では料理の話も仕事の話も一切しない父が、あなたのことだけはよく話てたのよ。三國さんが初めて帝国に来た時も、「すごいやつが入って来た」って」p121
「「皿洗い一つとっても要領とセンスが良かった」と、村上さんは自伝の中でぼくのことを書いてくださっていた。「ちょっとした雑用でも、シェフの仕事の段取りを見極め、いいタイミングでサポートする」「彼は素材に合わせて、じつに巧みに塩をふっていた」と。そんな素振りは少しもなかったけど、ずっと見てくれていたのだ」p123
「(スイス大使館に着任1週間後のアメリカ大使を招いての晩餐会)それがぼくの初仕事だった。本格的なフランス料理を作るのも、フルコースの料理を作るのも、12人分の料理を一度に作るのも、なにもかも初めてだ」p129
「フランス料理は案外論理的だった。理屈っぽくて、議論好きなフランス人らしい」p132
「料理の基本は、どこでも一緒なのだ。日本にいたとき、フランス料理は遠い外国の特別な料理だった。ここでは、ただの料理だった。ただの料理である以上、大切なことも同じだった」p132
「鍋はぼくの幸運の女神だ。おしかける、洗い物をする。休日も働く。子どもの頃から、同じようなことを繰り返している。行動がワンパターンだ。当時は、そんなこと思いもしない。夢中でやっただけだ」p143
「(勝手にやりはじめる鍋洗い)鍋洗いが許されたのは、誰もやりたがらない仕事だからだ。苦労する覚悟さえあれば、どこかに居場所は見つかる。見つけた場所で、一生懸命にやれば道は開ける。自分にそれしかやれることがないなら、楽観的にやり続けるしかないと思っている」p144
「誰もがやりたがらない仕事を楽しげにやってる人間がいたら「おかしなやつだ」って言う人もいるだろうけど、少なくとも嫌われはしない。誰もがやりたくない仕事をやってくれるわけだから。そのうち顔見知りになって、挨拶くらいかわすようになり、やがて軽口を言い合う仲になる。そこから始めればいい」p144
「フランスでは一流の店ほど個性的だ。料理はもちろんだが、シェフは輪をかけて個性が強い」p172
「武道家は一度手合わせすれば相手の実力がわかるというけれど、料理人も包丁を握らせれば実力は一瞬でわかるのだ」p175
「(大事なこと)自分の働きに見合うだけの、正当なギャランティを要求しなきゃいけない。あの時代、フランス人の一人前の料理人なら1カ月に5000フラン前後の報酬を得ていた。ぼくは最低でもそれ以上のギャラを要求した。それで不採用になったことはない。実力主義だから、仕事に見合った報酬をきちんと払ってくれる」p176
「彼らは安い給料で働く人間には、重要な仕事を任せない」p177
「自己主張しないのは自分に自信がないと言っているのと同じだ。いつまで経っても、彼らと対等に仕事ができるようにはならないし、本当の意味で信頼されることもない。便利に使われるだけで、なにもいいことはない」p177
「相手の痛いところを突いて優位に立つのが目的だから、肌の色だろうが背の高さだろうが、やつらはなんだって嘲笑の種にする。言われたら、言い返せばいいだけのことだ。ただし言い負けしないってことは大切で、ぼくが平気でいられたのは、そういうことが得意だったからかもしれない。だけどまあ、それは些細なことだ」p178
「日本の社会には、周囲と違うことを嫌う傾向がある」p243
「どんなに巧みにフランス料理を作ろうと、そこになにか新しい価値が加わっていなければ彼らは認めない。腕のいい料理人として認めることはあっても、本物のシェフとは認めない。シェフは新しい価値の創造者であり芸術家でなければならないのだ」p244 -
有名なフレンチレストランシェフの自伝。
そんな高級な店に行ったことはないけど、どういう経緯でシェフになったのかなど興味深い。
海辺の漁村で育ったことや、北海道のホテルで働いたり、外国での修行時代など、まるでドラマになりそうな展開で、あっという間に読みおえた。
ご本人の人懐こい人柄とバイタリティがすごい。
文章もとても上手くて読みやすかった。