ほかに誰がいる (幻冬舎文庫 あ 29-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410770

感想・レビュー・書評

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  • 睡眠導入剤として何か読もうと思って手に取ったのに、
    怖くて苦しくて目がさえて一気読みしてしまった。

    また読みたいとは思わないけど、
    だんだんと狂気に支配されていく様子が恐ろしくてきれいで切ない。
    大変なものを読んでしまった、誰かに読んでほしいけど勧めることがためらわれる。

    朝倉かすみ、こんなのも書くのね・・・

  • 思春期にありがちな、思い込みの強さと独占欲と…。

    ものすごく怖かった!!
    新井素子の怖さに近いかな?
    一見穏やかに進行していくんやけど…
    「ミザリー」的な。。

  • 一目惚れ&女ノコ→女ノコのラブストーリー。
    主人公が精神的にもともとちょっと弱そうであることが、話をちょっと離れたところから、入り込みすぎずにみることができる。保護者のような心持ち。
    一目惚れといえば、私も一度それのようなものを経験した。思い出すと、確かにそれはそれは甘酸っぱい。普段は忘れているのに、もう手の届かない、しまっておくだけのものになったその瞬間の思いがみるまに最前列にきて、存在を主張するんだなぁ。
    江ノ島電鉄の駅員さん。どの駅で会ったかも忘れた。何か聞くのに声かけたのだが、すごく爽やかでかっこよくて。

    さて、小説は、びろうどに思いを伝えることもできずに、嫉妬に苛まれながらも彼女の幸せを願う主人公。
    まじないめいた儀式や占い、時に自傷行為。
    でもびろうどには好きなかれができたから。主人公が自分の思いを伝えて友情(びろうどからすれば)にヒビを入れることもない。美しい“わたしたち”はずっと思いでの中に残されて、主人公は自分の思いを違う形で叶えようとしていく。結果、努力もむなしく勘違いから大きな罪をおかしそうなところで終わるが…。
    傷ついていく主人公。
    恋だけれど、相手が同性であるゆえに「相手が幸せであればいい」という極地に至っている。自分の単純な幸せは、今相手が叶えようとしている幸せからは道が逸れるから。だから見ている。離れて遠くから。ただ、彼女とつながった何かを求めようとはするが。
    短編ではないけれど、あっさりとまとまって、短編を読んだあとのように頭が整理されておりました。スカッ。
    で、やはりこの主人公は統合失調症っぽいよねぇ。

  • 再読。

  • 主人公の女子高生が同性の同級生に恋をし、愛の妄想にとりつかれ、破滅していくお話。

    彼女の唯一無二の存在になりたいと願い、前半はひたすら病んだ愛の思考と行動がつらつらと続く。
    最初は世界がふわふわしていて、精神ホラーと百合小説に近い雰囲気。
    彼女が恋をし遠くに行ってしまって、
    主人公も彼女のいない人生を受け入れようとするけどやっぱりだめで、
    彼女への愛情を昇華させるとんでもない方法を思いついて実行に移す。

    思考が自分への罰という方向に向かうのが目新しいなと思う。
    大体こういう主人公は途中で邪魔者を一人、二人殺すものだと思っていたから。
    そして最初から最後まで病んだ視点というのも珍しい。
    でも確かにこの物語に論理的な正常な思考は不要かなと思う。
    ただただ「私」と「天鵞絨」(主人公だけの彼女の愛称)、二人だけの関係で世界だから、
    恋のライバルや自分を諭す人々への悪意なんて必要がないのだろう。

    すべてを賭して愛を貫く主人公に、病んでるなあと思いながらも、最後までぶれない彼女に腑に落ちるものがあった。
    そして意外に読後感も悪くない、不思議。

    『愛してる、愛してない』を思い出した。
    愛は狂気だ。
    気が狂うほど相手を思えないならば、
    その愛は本物の愛ではないのかもしれないとさえ思えてくる。


    冒頭、
    『十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている。』
    という一文がとてもよい。
    これがすべてを物語っている。

  • 朝倉かすみをありったけ読もうと思っているので、今回も図書館で借りてきた。

    朝倉かすみはどれも気持ちがほっこりする恋愛ものを書くから安定だなって思っていたのに…!
    桜庭さんがこういう話を書いたらうまそうだなって思った。

    めげずにまた図書館いったら朝倉かすみかりてくると思うけど…残念…。

  • よく若い女の子は女の子同士で平気で抱きしめ合ったり、手を繋いで人前を歩けたりする、不思議なことだなーと思う。

    えりは、天鵞絨と名付けた女の子に対して、自ら触れることが出来ない。それほどの強い憧れを抱いている。

    その憧れを払拭させるはずの存在はあっけなく退場し、彼女の狂気に身をもって制そうとする者は誰もいなくなった。

    ただひたすら天鵞絨との繋がりを持ちたいが為に、彼女は彼女を捨てて生きてゆく……。
    するすると読めるが、なかなか強烈な苦味を持った作品。

    若気の至り、とは口が裂けても言えない。

  • うん、なかなか狂ってますね。

  • 狂気的でありながら、真っ直ぐで純粋過ぎる心を描いた小説。
    穢さと透明が一緒にそこに息をひそめている、という感じ。

    外見を真似るだけでなく血のつながりを求めて人生も何もかも放り投げてしまう…
    愛のためならなんだって出来てしまうある種の強さ(?)を見た気がする。

  • 表紙に惹かれて購入。
    生々しくて痛々しい・・・
    でも読後せつなさが残った本

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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