ほかに誰がいる (幻冬舎文庫 あ 29-1)

著者 : 朝倉かすみ

• 幻冬舎 (2008年2月1日発売)

感想・レビュー・書評

[hitomimimimimiさんの感想 · 2013年12月28日]

狂おしいほどの純愛物語。破滅への疾走は魂の純化に比例。自己完結の自傷行為。ありえない！と思いながらもそのスピードに引き込まれた。好きな人に天鵞絨（びろうど）と名付けちゃう感性や、ブランキーの歌詞にリンクしちゃう衝動に共感。

[iwanoaidaさんの感想 · 2013年9月12日]

相手を想うせつなさ３割と、執念深さ（気持ち悪さ）７割
を、詩的な文章というコップに入れて飲んでみた
というような感じでした。
結果はちょっと胸焼けしました。

出だしの文章が素晴らしいです。
「あのひとのことを考えると、わたしの呼吸はため息に変わる。」
こういう透明感のある言葉で描かれていきます。ただ、内容である主人公の言動が常軌を逸しているので、素直に「きれいだなあ」とはあまり思えない仕様になっています。抵抗がすごいです。
想い人である「あのひと」を「天鵞絨」と呼んだり。
ロマンティックの箱詰めで途中「もう勘弁してほしい」と何度か思いました。

でも、あまりにも常軌を逸しているので続きが気になり、
いっきに読むことができました。

これほどまでに「あのひと」を想いながら、そんなことはおくびにも出さず、偶然に見せかけて、友人になり、親友になり、あわよくばその先までいきたかった主人公。
「あのひと」との関係の進展を、あくまで「偶然」に求めているところだけ、共感できました。

[依汐さんの感想 · 2013年5月23日]

物語の前半は、森見登見彦の小説にでてくるような、悲壮と滑稽を煮詰めたような主人公の行動にハラハラするのですが、
中盤に差し掛かった辺りから、いよいよ後戻りできなくなってきて、もう何というか…ドン引きです。
張り裂けそうな愛情を胸に抱いたまま、自ら作り上げた繭の中に籠もり、
時々、下界に出ては自らの脚に縺れて転び、追い詰められていく様は胸が締め付けられる…のでしょうけど、
普段、恋愛小説を読まない私には、主人公が気持ち悪くて仕方なかったです。
ひたすらに美しく愛を育む親友のカップルとの対比が悲しくなるほど醜いです。
と、けちょんぱんに言っているようにみえるかもしれませんが、
個人的な好みとしては大きく外れているので★2付けても、作品自体は良いと思います。

[茶虫さんの感想 · 2013年3月15日]

ひたすらにどろどろ。

[umeさんの感想 · 2013年3月13日]

怖いなこの小説(･_･;

[小春さんの感想 · 2013年2月26日]

えりの玲子に対する思いは…
それを言葉にしようとしてはたと立ち止まる。

それを「恋」と呼ぶのはどこか違う気がする。
たぶん、恋ではない。
もしも恋だったら、話はもっと簡単だったのではないだろうか。

思春期の女の子なら、一度くらい恋ではなく、同性に心が惹かれる思いを経験したことがあるのではないだろうか。
でも、それはえりほど強くなくて、いつの間にか消えてなくなっていて…

執着と執念、思い込み。
恐いと思いながらも目が離せない強烈な小説だった。

[ひあすさんの感想 · 2013年2月5日]

最後迄主人公は狂気だったけど…一気に読んでしまいました！
私は前半パートの方が好きでしたね…

[bobさんの感想 · 2012年12月30日]

―――「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」
本城えりが電車の窓越しに、賀集玲子の姿を見初めたのは、高校一年のことだった。
玲子に憧れ、近づき、ひとつになりたいと願うえり。
その強すぎる思いは彼女自身の人生を破滅へと向かわせてゆく。
読み始めたら止まらない、衝撃作。


みおからの借りもん

裏表紙を読んで想像してた以上にダークな感じやった
わりとポップな文体から
ときどき見え隠れする剥きだしの狂気

安易なハッピーエンドじゃなく最後まで救いがないのがまたいい

初恋の一目惚れのまま全力で走り続けるのは怖いな

[オジギさんの感想 · 2012年12月19日]

思春期の淡い同性愛？と、思って読んでいたら、意外な結末でびっくりしました。

ほかに誰がいる。あのひとのほかに。
あのひとのほかに、いったい、誰がいるというのだろう。

恐ろしいような…でも羨ましいという気持ちも。
こんな形でも人を深く愛することが出来るなんて。

[uninigohanさんの感想 · 2012年9月17日]

朝倉氏の小説にしては、めずらしくシュール。最後もいわゆるハッピーエンドではないし。
誰かを、こんな風に偏狭的に愛するということについて考えさせられる。
私は、愛しているのか。それとも、執着しているのか?

著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」