経済は地理から学べ!

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478068687

感想・レビュー・書評

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  • 私は歴史が好きです。世界がどのように発展したのか、覇権がどう推移したのか近代の歴史は全て記録されています。
    世界の国を旅するにあたりこの歴史を知っているかどうかで旅の深みが変わります。そしてその歴史と双璧をなすのがこの地理なのです。国と国の関係、産業の発展、気候、宗教、民族、移民、すべて地理に基づく理由があるわけです。
    自分もまだまだ知らないことがあってなるほどと思うと同時に世界への興味がさらに増しました。おすすめ。

  • 決して浅いわけではないのだけど、深くはないんだよね…。
    例えば、P52からのスペインに関する記述で、スペインは「ヨーロッパにおいて比較的賃金水準が低い国」だったから、「ドイツやフランスの自動車企業はスペインの低賃金労働力を活用すべく、生産拠点として多くの向上を進出させる」とあるのだけど、ではなぜドイツやフランスに比べてそもそもスペインは賃金水準が低かったかの説明はなし(解説がある国もある…P63でメキシコにはちゃんと「アメリカ合衆国ほど労働組合が強くないので、賃金上昇の抑制が働く」っていう解説があったりする)。
    また、2004年に自動車生産台数が減少した話からいきなり2015年の話にすっとんでしまい、その間の2012年の欧州債務危機でスペインが大変だったことへの言及がない。
    「経済」を掲げているのに、ちょっと説明が荒すぎるのではないのかな?という思いは、他の国の解説でもそこここに感じられた。第5章の「文化」のあたりになると、もう雑学本な感じが否めなかったし。参考になるところもあっただけに、残念な感じが強く残りました。

  • 高校生向け

  • 経済=4つの距離
    物理距離=出発地~目的地
    時間距離=移動にかかる時間
    経済距離=移動にかかる費用
    感覚距離=同じものを見ていても違う感覚を持つ

    地理=現代世界そのものを学ぶ科目
    地理&歴史=自動車の両輪/どちらも必要
    2022年度高校=地理総合&歴史総合/必修

  • 教科書のように硬い感じではなく、筆者のなかでの恐らく厳選したトピックスを紹介する内容でし。

    世の中の全く関係ない無さそうなことでも、実は繋がっているとことを書いてあり、それを紐解く補助線を筆者は提示します。

    気に入ったのはドイツの気候と料理の話。ジャーマンポテトとウインナーとビールには理由があったとのこと。
    気になる人は是非読んでみてください。

  • 高校時代から社会科の地理という科目が好きだった私は、本のタイトルにその言葉を見つけると、思わず手に取ってしまいます。この本は関東地方での三大予備校の一つである、代々木ゼミナールの講師をされている宮路氏によって書かれたものです。表書きに「地理とは、地球上の理(ことわり)」と書かれていたのが印象的でした。

    ニュースや新聞には毎日、経済に関する情報があふれていますが、その有名なものを「地理」という観点から解説をしています。地図で読み解く44の視点、面白く読むことができました。

    以下は気になったポイントです。

    ・自然地理を学ぶことは、地球が人類に与えた「土台」を学ぶことであり、ひいては経済活動の理解にもつながる(p14)

    ・スケール(規模)が異なれば見えてくるもの、見なければならないものが変化します、「スケール」を正しく捉えることで経済が見えてくる(p21)

    ・世界の包蔵水力を見ると、中国・アメリカ・・ロシア・ブラジル・カナダの上位5カ国で51%をしめる、上位10カ国で3分の2、水資源も世界中で一様に手に入らない(p23)

    ・経済は、人・物・金・サービスの「動き」といっても過言ではない、その動きの理解に、距離の概念が役立つ。物理距離以外には、時間距離、経済距離、感覚距離がある(p26)

    ・資源とは本来、付加価値がないので価格は安い、そのため輸送費が相対的に高くなり、飛行機で運ぶには割が合わない。地理学は、地政学を学ぶのに最も適した学問(p36)

    ・ライン川は北海へ、ドナウ川は黒海へ流れ込む、ライン川にはマイン川という支流があり、そのマイン川とドナウ川は、マイン=ドナウ運河で結ばれている(完成1992)、つまり、北海と黒海が1本の大動脈で結ばれている(p44)

    ・オランダがロシアの最大貿易国である理由は、欧州市場へ供給する玄関口がオランダだから(p45)

    ・イギリスがECに加入した1973年当時、オーストラリアの最大貿易相手国はイギリス、イギリスが欧州に経済的な意味を見出したことから、オーストラリアは近隣のアジア・太平洋諸国とのつながりを重視せざるを得なくなった(p50)

    ・インドは1991年より市場経済を導入し開放経済となった、2000年以降は外国企業の参入が増えた(p59)

    ・インドの中間層は25%程度であるが、母数が大きいので人数は3.3億人であり、これはアメリカ合衆国の人口に匹敵する(p60)

    ・メキシコは45カ国以上(EU含む)とFTAを締結している、日系企業は日本で作ってアメリカに輸出すると関税がかかるが、メキシコで作ってアメリカへ輸出すると関税がかからない(p64)

    ・輸出統計で、1位機械類、2位自動車となっている国が多い中で、そうなっていない国は、中国・フランス・インドなどがある(p66、71)

    ・ダイヤをダイヤで磨く方法はベルギーで発明され、それ以降、美しくもないただの石が宝石として価値を持つようになった(p70)

    ・2009年3月(CIS脱退した年)に、グルジア政府は日本政府に対して、国名表記をジョージアにするように要請、日本政府は2015年4月の法改正で、そのように呼ぶようになった(p78)

    ・パイプライン建設は2003年から始まり2005年に完成、バクー・トビリシ(ジョージア)・ジェイハン(トルコ)の頭文字をとって、BTCパイプラインと名付けられた(p83)

    ・河川水は、陸水(全体の2.5%)のうち、0.006%である。現世界では約7億人の人たちが、水不足の生活を強いられている、水不足は食料不足に直結する(p87)

    ・国土全体において水道水を安全に飲める国は、世界に15カ国しかない、フィンランド・スウェーデン・アイスランド・アイルランド・ドイツ・オーストリア・スイス・クロアチア・スロベニア・アラブ首長国・南アフリカ・モザンビーク・オーストラリア・ニュージーランド・日本である(p88)

    ・鉄鉱石は先物市場がないので、最大の購入者である中国の需要と、鉄鉱石採掘業者との交渉によって価格が決定する(p93)

    ・鉄鉱石の生産は、オーストラリアのBHPビリトン、リオティント、ブラジルのヴァーレの3社で世界シェアの6割を占める(p94)

    ・白金族とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の総称でレアメタルの一種、酸塩基に侵食されにくい性質がある。この産出は、ロシア・南アフリカ・アメリカ・カナダ・ジンバブエで100%を占める(p98)

    ・チェチェンは1859年にロシア帝国の支配下にはいるが、ロシア革命が起こる際に、自治権と引き替えに、ロシア共産党に味方した(p108)

    ・原油の埋蔵があること、パイプラインがチェチェン領内を通過することが、チェチェンの経済的自立を後押ししている(p111)

    ・ブラジルは、埋蔵されている原油は、94%が海底油田(80%はリオデジャネイロ州の沖合)であるので、問題が山積みである(p115)

    ・ノルウェーは、1814年からスウェーデンとの同君連合となり、1905年まで続いた、実に400年近くの連合状態から自由を勝ち取った。それゆえ他人から支配されることを嫌い、EU不参加に繋がっている(p118)

    ・ノルウェーの一人当たりの原油輸出余力は、14.9トンであり、クウェートについで多く、アラブ首長国やサウジアラビアに匹敵する(p122)

    ・ボツワナの経済の多角化が難しいのは、1)ダイヤモンド産業により国民賃金が高い、2)内陸国で輸送コスト大、3)人口が266万と少なく国内市場が小さい(p126)


    ・トランプは、レーガン元大統領と同様に、規制緩和、減税、アメリカ軍の増強を掲げているが、小さな政府と自由貿易には否定的で、大きな政府、保護貿易主義、公共投資の拡大を掲げている(p132)

    ・ブラジルは輸出入ともに最大相手国が中国で、関係が緊密化している(p163)

    ・ナイジェリアにとってアメリカが最大の輸出相手国であったが、アメリカがシェールオイルの生産量を増加させたことで、得意先の変更を迫られた(p175)

    ・土地も資源もない日本が経済大国になれた理由は、教育水準の高さ、人口の多さである(p181)

    ・欧州は、連作障害が起こりやすい畑作を中心としているので、人口支持力は高くない。水田は常に水を張った状態であるため、ほとんど連作障害は起きない(p181)

    ・東京、大阪、名古屋には大きな城郭があった、江戸城は武蔵野台地の東端、大阪城は上町台地の北端、名古屋城は熱田台地の北西端にあった(p201)

    ・中国の一人っ子政策(1962年から都市部に限定、1979年からは全国)には特典があった、1)月収の1割を子供が14歳になるまで追加補てん、2)学費免除、3)優先入学、4)医療費支給、5)就職優先、6)都市部における住宅優遇配分、7)年金加算、一方、二人目を設けた家族には罰金(年収の数年分)があった(p215)

    ・2002年には一人っ子同士の夫婦は第二子認める、2013年にはどちらかが一人っ子であれば可能、2015年10月29日に一人っ子政策廃止が発表された(p217)

    ・インドでは多くの農民は、多額の資金を必要としない牛の飼育を始める。牛乳の生産が飛躍的に確立し、栄養状態が良くなった、白い革命という(p249)

    2017年6月19日作成
    2017年9月10日作成(再読)

  • Yotsuya

  • 大きな括りで束ねた短い話が詰まっている。ちと物足らない。さほど掘り下げていない内容、「なるほど!」と思わせるヒントもあまりない。
    この手の話が好きならベストセラーになった「銃・病原菌・鉄」がマクロ的な地理と経済の関係を知ることができる。

  • 代々木ゼミで地理を教える著者による地理の見方を教えてくれる一冊。
    歴史に関する本はよく読むのですが、地理は学生時代からあまり好きになれませんでした。覚えることが多いだけで、広がりがあまり感じられなかったからだと思います。
    しかし、最近は、竹村公太郎さんの著書や「ブラタモリ」を見ていると、地理の重要性が今になってわかってきます。歴史と関連付けて覚えていけば、きっと歴史ももっと面白かっただろうなあ、と少し後悔しています。

    もう少し地理の知識を身につけ、いろいろな角度から歴史に限らず見ることができればなと思います。


    ▼地理=Geography
       =ラテン語の「Geo(地域)」+「Graphia(描く)」からなる合成語
       =「地球上の理」
    ▼経済とは、土地と資源の奪い合い
     土地と資源には限りがある。有限だからこそ、需要と供給によって価値が決まる
    ▼自然環境に最適な形で、人間の文化が発達する
    ▼経済は「4つの距離」で動く
     「物理距離」「時間距離」「経済距離」「感覚距離」
    ▼20世紀は「石油の世紀」、21世紀は「水の世紀」
     水道水が飲めるのは世界で15か国。日本は水資源が豊富な国
    ▼日本が持つ「2つの強み」:教育水準の高さ、人口の多さ
    ▼人口の増加に欠かせない2つの要素:就業機会と食料供給量
    ▼地理とは「現代世界そのものを学ぶ科目」
     自然環境がわかれば、それを背景に展開される人間生活が見えてくる。人が集まり地域が形成され、そこに経済が生まれる。そして地域は結合して国家となる。

    <目次>
    序章 経済をつかむ「地理の視点」
    第1章 立地:地の利を活かした経済戦略
    第2章 資源:資源大国は声が大きい
    第3章 貿易:世界中で行われている「駆け引き」とは?
    第4章 人口:未来予測の最強ファクター
    第5章 文化:衣食住の地域性はなぜ成り立つのか?
    特別付録「背景がわかれば、統計は面白い」

  • 最近の情勢も踏まえてあるのがよかった。また、予備校講師の書いた本ということで、面白さを伝えるとはどういうことか、参考にしたいと思って読んだ。自分はこの内容を面白いと思う。しかし、この本を手に取る時点で、元から地理か経済に興味を持っているか、学ぶべき目的意識を持っている人だろう。面白さを伝えるということ、一つの答えとしては、営業と同じで、人間を売るということか。何かこの人に学んだら面白いものが見えてきそう、と思わせること。

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著者プロフィール



「2023年 『現代史は地理から学べ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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