何のために「学ぶ」のか:〈中学生からの大学講義〉1 (ちくまプリマー新書)

制作 : 桐光学園  ちくまプリマー新書編集部 
  • 筑摩書房
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689313

感想・レビュー・書評

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  • ・「頭がいい」とは努力の仕方を知っていること。勉強だけではない。優れたアスリートも、生まれつき才能があるのではなく、努力の仕方を知っているのだ。生まれつき頭のいい人も、頭の悪い人もいない。脳科学の言葉で言い換えれば「ドーパミンによる強化学習のサイクルをたくさん回すこと」。そのためには、自分にとって無理めの課題を自分で設定し、それをクリアして喜びを感じる、という経験を日々続けることが大切。

    ・もう一つ大切なことは絶対に他人と比較しないこと。劣等感こそ最大の敵。ドーパミンが出るのは「自分にとっての進歩」があったとき。「誰かと比べて優れていた」ときではない。優れたアスリートは他人と比較しない。100mを何秒で走れるかは自分の問題であって他人が何秒で走っていようが眼中にない。イチローは首位打者争いに興味なかった。なぜなら、他の選手の打率なんてコントロールできるわけないから。自分がコントロールできることだけを見つめていればいい。

    ・よく「何時になったら勉強しよう」「このドラマが終わったら勉強しよう」などと言い訳をしている人がいる。ハッキリいって、それは甘い。勉強しようと思ったら1秒後にもうトップスピードで集中する。余計なことを省略してやるとなったら1秒後から実質に入る。思い立ったらすぐ机に向かおう。

    ・もちろんがんばって志望校に合格することは大切だが、それがゴールだとはくれぐれも思わないでほしい。
    クリアすべき第一関門でしかない。逆に言えばその程度のことはとりあえずクリアしてほしい。

    ・君たちの世代で「文系」「理系」という言葉を死語にしてほしい。大学時代は文系・理系どちらかを選んで勉強したって構わない。でもそれはたった4年間の話。最先端の学問であればあるほど、文系・理系なんて分け隔ては意味がない。哲学だってもはや脳科学を無視して研究することはできない。この世界を理解するのに文系も理系もない。大学を卒業して「私は文系ですから」「理系ですから」なんて言い訳しているのはちゃんちゃらおかしい。

    ・白洲次郎はケンブリッジ大に留学し英語がペラペラだった。当時GHQのホイットニーが「英語うまいですね」と言ったら「あなたももっと努力すれば私のようになれますよ」とアメリカ人に向かって言い返した。圧倒的に立場の強い相手に対しても決してペコペコせず正しいと思ったことは主張し、言うべきことは断固としていう。こういう日本人は当時も今も珍しい。今なお白洲次郎が人気なのは今の日本人にないまぶしさと情熱があるから。なぜそんなに情熱があったのかといえば、苦労したから以外の何物でもない。

    ・脳のうまい使い方とはできるだけドーパミンを出すこと。そして自分にとって無理めの課題を設定してそれをクリアすること。劣等感は持たない。模試の判定や偏差値は他人と比較するための物差しではなく、自分の進歩の目安として使う。そして情熱を持って苦労する。それさえ忘れなければ、未来は明るい。今この国に足りないもの、それは理想と情熱だ。

    by茂木健一郎氏

  • ぼくにはちょっと早かった。

    もうちょっと大きくなってから読もうと思う

  • 大学入学前の高校生におすすめしたい図書。
    中学生向けなので平坦な言葉で書いてあるが、中身はしっかりしている。

    共著なので、コラムの寄せ集めみたいになっているのだが、先生によっては「何を言ってるんだろう」という主張もあり、飛ばし読みした。個人の好みだと思うが。
    先生がそれぞれおすすめの本を紹介しているので、本選びに困った時にこの本を読むのも良いと思う。

  • 展示期間終了後の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号 002//To79

  • そうだ!そうだ!と拍手して言いたくなり、自分が学生のときに読みたかった!と思った。
    そして、そうだ、大人になっても学び続けねば、学びは楽しいことだ!と思わせてくれた。

    とくに、外山滋比古さんの話がすごくナットク。100点をとることに何の意味があるんだ、個性は失点部分にあらわれる、というのは本当にそうだと思う。
    上手に忘れること、頭のゴミ出しというのもステキ。

    結局のところ、人から与えられるものではなく、自分で発見して、カラをやぶっていくことが必要なんだな。

    全体的におもしろかったし、なるほどと思ったけど、読書案内はちょっと難しそうな本だった。
    たしかに古典をよむのは大事だと思うけど、読んでみてつまらなかったら、もう本なんて読むのやーめた、と思いかねない。
    「これを読まなければいけない」、ということはない。
    茂木さんが書いてるように、自分の野性のカンで、そのときにこれだ!と思う本を読むのが結果的にはいいんじゃないかな。

  • <閲覧スタッフより>
    大学教員が学びのおもしろさを語った本、学生がゼミや授業で学んだ成果をまとめた本を集めました。大学での学びがよく分からない方、さまざまな学びに興味のある方、ぜひご覧ください!
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    所在記号:新書||002||ナン
    資料番号:20103247
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  • 002

  • オムニバス系の本。5巻までのシリーズの第1作目。中学生向けに書いてあるため、非常に読みやすい。
    個人的には外山さんが書いた知識が増えすぎると良くない、的なことが心に残った。他にもいろんな人の話を少しずつ知ることができ多角的な方面から「学ぶ」ことについて考えることができる本。

  • 【収録作品】外山滋比古「知ること、考えること」/前田英樹「独学の精神」/今福龍太「学問の殻を破る」/茂木健一郎「脳の上手な使い方」/本川達雄「生物学を学ぶ意味」/小林康夫「学ぶことの根拠」/鷲田清一「『賢くある』ということ」

  • 三葛新書002||CH||1

    学校で正解のある問題について「学ぶ」ことはあるけれど、
    人生で正解のない問題に直面したときに
    私たちはどのように思考し、対処していくべきなのか。
    そのことを各分野の達人たちがわかりやすく教えてくれます。
    頭の良さ=賢さではない事を感じることが1冊です。
    みなさんも達人の声を聴いて、人生における学びとは何かということを
    一緒に考えてみませんか?
                                  (うめ)
                                
    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=79864

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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