- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804488
感想・レビュー・書評
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2014.5/15 戦火に追われ母国ではない地で生きるしかない主人公の姿は、日々精神的な異邦人感とでも呼べばいいのか、そんなものを感じている自分と重なり、のめり込むように読まされた。
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岩城さんの作品、おもしろい。もっと読みたい。
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最初、背景がよくわからず、半分くらいまでは読むのに苦労したけど、後半は一人一人のキャラクターも、彼女たちの力強さも加わってよかった。
タイトルと本の厚さからは想像できない内容ですが、なかなか良い本でした。
2017.12.24 -
難民サリマの悲喜、厭世、矜持、希望を織り交ぜて、彼女が心理的葛藤の中で自分を見出し、成長していく姿を著す。新たな環境に放たれて、女性として自活することの困惑が自信へと変じていく様が心に響く。対して、サユリの手紙は何なんだろう。家庭生活の愚痴、夫への半端なわだかまり、そんなのを長々と記した手紙を頻繁に読ませられるジョーンズ先生は、真にお気の毒である。自己研鑽するに決して不幸な立場とは思えません。単純にサリマの物語で良かった。
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2017.10.31
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太宰治文学賞受賞作。
オーストラリに移住してきた難民のサリマと、サリマも通う語学学校の生徒たちの物語。
言語という壁の屈強さがすごい。縁もゆかりも無い土地にやってきて、その国の言葉が話せない、分からないというのは途方も無く孤独なことだと改めて思う。
そして話すことと、読み書きもまた違う。
結局は言葉なのだから、誰だってできるようになるっていうのは確かにその通りなんだけど、それがいかに大きな壁かということなんですよね。
そしてこの本では同時に母親としての強さも描かれていました。
異国で神経を尖らせながら子育てすることってどれだけの苦労があるんだろう。
赤ちゃんを亡くしてしまった日本人女性(ハリネズミ)が先生に宛てた手紙で述べた「深い悲しみのあとには、生きることへの強い願望と希望がその人の心のなかに必ず訪れる」という言葉には胸を打たれました。
深い悲しみを知っている人は強くなる。太陽が昇る限り生かされ、必ずまた立ち向かえる。
私も英語勉強しなきゃな…。
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形式が面白かった。同じく在外の身で、色々と自分自身と重ねられるところもあった。今住んでいるカナダはシリアなどからの移民を多く受け入れているし、アジアの移民も多い。一人一人の物語を伝えてあげたい気持ちになる。