さようなら、オレンジ (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 1743
感想 : 317
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804488

感想・レビュー・書評

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  • “私たちが自分の母語が一番美しい言葉だと信じきることができるのは、その表現がその国の文化や土壌から抽出されるからです。第一言語への絶対の信頼なしに、二番目の言語を養うことはできません。”(p.77)

  • 文学

  • 生後半年ほどのわが子が突然死したときの、大学に通う母親の罪悪感と後悔がひしひしと伝わってきて、そのシーンだけは読み進めるのがきつくていったん本を閉じてしまった。二度と読みたくない。心臓をわしづかみにされる。

    新聞書評を読んで、興味がわいたので借りた本。

    書評にも書いてあったが、どうしてこれを日本人が書くのか、日本語で書くのか、疑問だ。英語で書かれた外国人の作者の本を翻訳したものではない。れっきとした日本人が日本語で書いた本。でも主人公はアフリカの難民の女性。オーストラリアに避難してきて、子どもと生活している。

    そう、舞台はオーストラリアなのだ。日本じゃない。

    かろうじて、主人公の友人が日本人というだけ。この友人も、途中までアジア人としか書いてなかったので、私は中国人だと信じて疑わなかった。なぜなら、生後間もない赤ちゃんを英語教室に連れてきてまで学習するほどのガッツがある若い母親が、どちらかというとひ弱なイメージのある日本人だとは思えなかったから。なんとなくたくましいイメージのある大陸人(中国人)だと思い込んでしまった。

    作者も在豪20年のバイリンガルらしい。

    それだけ日本がグローバル化してきたということなのかなあ?

  • オーストラリアを舞台にした、女性が生きていくとはどういうことかを淡淡と描いた作品。
    途中辛いだけに、最後はすこしだけ幸せになれます。

  • 戦乱のアフリカからオーストラリアにやってきたが、夫に逃げられ、英語の話せないアフリカ人女性ナキチ。日本から夫婦で来たもと大学生で体の弱い女性さゆり。イタリアから来た老夫婦。それぞれに理由と悩みを抱えながら、語学学校で交友を深める。そしてオーストラリアで新しい人生を力強く歩みだす。短い小説ですが、生きるとはなにか、死とはなにか、を考えさせてくれます。アフリカ女性ナキチ(サリマ)が息子の小学校で、アフリカで過ごした厳しい「生」を短く、たどたどしく語る場面は感動的です。息子は母の「話し」を聞いて、変わります。「ことば」が「心」を伝える術であることを教える本でもあります。

  • 2014年 第11回本屋大賞 第4位

  • おすすめ

  • さくっと読み終わりました。
    あまり好きな感じではなかったので
    感想らしい感想を持たなかった。

  • 同じ国、同じ言葉。同じであることに安心し、生きる私たち。今使っている言葉が、アイデンティティだなんて思いもしない。だってみんな“同じ”だから。その言葉の中で守られて生きているなんて、気付きもしないのだ。
    そんな、自分を守ってくれる国を捨ててまで、異国に逃げなければいけなかったサリマ。今までの普通が、異質になる。不安。恐怖。それでも、生きるために、子供たちを守るために、立ち向かわなければならない壁。
    どれだけ高い壁だったのだろう。簡単に飛び越えられるものではなかったことは確かだ。それでもひたむきに母国と自分自身、そして今置かれている環境に向き合い続けたサリマの強さ。国に関わらず、誰しもに響くものがあったはず。
    自分の国を、日本の言葉を、日々大切にして生きていきたいと思った。

  • オーストラリアに移り住んだアフリカ難民・サリマ。人種、肌の色、言葉、これらが違うことで異国で普通の生活が出来ないつらさが溢れた物語で占められているような感じだったが、読み進めるうちに希望に包まれていき、心が穏やかになるのが分かる作品だった。
    特に、サリマが下の息子の授業でアフリカでの出来事を話すところから夫と離婚し2人の息子を連れて行く中、下の子がサリマのところに残った場面は涙と笑顔が込み上げてきました。
    2014年の本屋大賞ノミネート作品ということで読みましたが出会えてとても良かった一冊です。

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著者プロフィール

大阪生まれ。2013年『さようなら、オレンジ』で第29回太宰治賞を受賞し、デビュー。同作で第150回芥川賞候補・第8回大江健三郎賞受賞・2014年本屋大賞4位。2015年刊行の『Masato』(集英社文庫)で第32回坪田譲治文学賞受賞。他、『ジャパン・トリップ』(角川文庫)、『Matt』(集英社)、『サンクチュアリ』(筑摩書房)の著作がある。

「2022年 『サウンド・ポスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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