空の拳

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.37
  • (29)
  • (71)
  • (116)
  • (20)
  • (9)
本棚登録 : 610
感想 : 112
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171155

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 爽やかな読後感が残る素敵な作品。
    ボクシングの試合の描写に、「人生で対峙するその決断の時にどう対処するか」、「勝ち負けではなく自分のスタイル(信念)をもってどう戦うのか」が大切であると感じた。
    結果は今でなくてもよい、信念を持って続けていれば、目標の形は変わっていたとしても必ずモノになると信じていたい。

  • 人とのコミュニケーションが上手くなく本を読むことで人生の全てを体験したことにしてきた文芸部希望の編集者が希望叶わずボクシング誌に配属され、そこで出会ったボクサーや経歴詐称問題やなんやかやありながらも最終的には希望の文芸部へ転属され懇意にしたボクサーともボクシングという競技とも心身ともに離れていくまでのお話。

    長い!
    そしてボクシングの試合の件とか興味が持てない!

    20ページ程読むと丁度眠くなるのでナイトキャップに調度良かったですw
    ボクシング好きな方なら楽しめるとは思います。

  • 主人公、空也の他人と自分とを見つめる距離感や観察眼が良いと思った。


    ひとつ刮目したのは、「みんなが正義になっちゃたんだよ」という言葉。登場するボクサーの経歴詐称についての反応で「嘘は絶対ダメ」の糾弾一色に対して、「みんなが正義に…」の考え方、視点の置き方によって、自分自身、体の中から何かが抜き取られ、清々しい気持ちにさせられました。
    物語に織り込ませたこのエピソードが、目に見えない何かを追って生きている事、気づかずにも追い生かされてる事を、若いボクサー達と絡めながら、人生というものを浮かび上がらせていると思った。

  • 角田光代が、何故にボクシング?
    と、読み始めて借りたことを後悔した。
    出版社勤務で、文芸部配属を希望していたのに、ボクシング雑誌に配属されて落ち込む主人公空也同様、私もボクシングには全く興味が無い。
    むかし、具志堅用高の試合を見たぐらいで、例えビッグタイトルであろうと、ボクシングのテレビ放送もすべてスルーして来た。
    だから、空也と全く同じペースで、少しずつ少しずつ、結構面白いかも、と読み進め、中盤ぐらいからグイグイとグラスを傾けるが如く読み終えた。
    そして、今度ボクシングの試合をテレビでやったら見てみようかな、とまで思うほど興味が無い湧いて来た。
    さすが角田光代である。
    ヒールキャラのタイガー立花、爽やか青年の坂本、途中から挫折した中神、すべての登場人物がキラキラとキャラ立ちしている。

  • 角田さんは、ボクシングをやっていたそうな(誰かのレビューに書いたあったけど)
    どうりで納得。
    試合のあの迫力、描写は、作家の想像力だけでは描けないと思う。
    (作者に失礼?)
    とにかく、試合の会場にいるような、圧倒的なエキサイトに堪能しました。

  • 期待しただけに少し残念な感じがしたまま終わってしまいました。

    著者は女性なので綿密な取材を元に書いたのでしょうが、結局女性の視点から飛躍できなかった気がしました。

    しかしその分、ボクシングに興味のない人や女性は分かりやすく読めるのではないかと思いました。

  • 久しぶりの長編!っというのに興奮しながら、手に取りました。角田作品のスポーツものって、初めてかも?
    時間の流れがゆっくりで、基本的には穏やか。プロボクシングの底辺を見れたのはおもしろかったです。アマチュアものと違うところも。
    試合は…うーん、実際に見る気にはなかなかなれないなぁ。
    2013/4/14読了

  • ボクシング雑誌の編集部に異動になった文芸青年から見た、ボクシングの世界を描いたスポーツ小説。
    ボクシングがメインテーマとなるとスポコンものになるのかと思いきや、スポーツマンを見つめる青年の視点というのが程よく熱く、程よくクールで、普段スポーツに思い入れのない私としてはとても読みやすく感じた。

    あと、試合中の描写の細かさなんかはさすが角田さんだなと。
    ボクシングの試合なんてさらっとテレビで観たことしかない私でも、文章を読むだけで光景がリアルに思い浮かんだ。
    筆力がすごい。

    強いから勝つんじゃなくて、勝つから強い。
    この2つは同じなようで、まったく違うんだなぁ。

  • 日経で連載されていたボクサー小説の単行本化。

    元々が連載なので仕方がないかも知れないが,展開が早すぎる。
    大戦中の描写もイマイチで気持ちが入らない。
    登場人物が多すぎて,どの点を強調するのかがぼけている。立花を中心とするならば彼の描写がもっと多くてよい。彼の言動も中途半端になっているのが残念。

    ボクサーの孤独,気持ちの大切さに触れているのでもう少し深く書いてほしかった。

  • 文芸志望の編集者が、畑違いのボクシング雑誌に配属されて、自らもボクシング始めながら入り込んでいく…

    少し前に読んだ百田尚樹さんのBOXを思い出しますが、あちらは青春小説っぽく、空の拳は編集者の立場で俯瞰的要素もありながら、練習や試合の描写はかなり細かいです。

    最後に分ける違いは何か。

    角田さんはボクシングをやっていると聞いたことがありますが、だからこその描写でしょうか。

    ボクシングを生で見たくなります。

全112件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

角田光代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×