インザ・ミソスープ

著者 :
  • 読売新聞社
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本棚登録 : 635
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784643970999

作品紹介・あらすじ

子どもの殺人に原因はないよ、幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ、親が目を離したから?それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つにすぎない。村上龍最新長編。

感想・レビュー・書評

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  • あまりの恐怖で駆け足読了した後フウようやくフランクから解放されたと安堵しながら初めて表紙をまじまじと見てしまい悲鳴をあげながら本を投げました

  • 女子高生たちがポケベルを持っていた頃。いまより少し前の東京。
    外国人相手に風俗アテンドの仕事をしているケンジ。
    年末に3日間のアテンドを依頼してきたフランクのおかしな態度にケンジは不信感を抱く。ケンジの悪い予感は的中し、フランクは大量殺戮を行う狂った男だった。

    --------------------------------------------

    最近よく聞くサイコパスとフランクは違う。サイコパスよりももっと人間味がない、というかフランクは人間なのだろうか。
    頭がおかしい殺人者というだけでも恐ろしいのに、ケンジのアパートのドアに人間の皮膚を貼りつけたり、おじさんの顔をライターで焼いたりするのに、除夜の鐘に興味深々になるフランク。彼はただただ気味の悪いモンスターだ。ときおり見せる人間味もウソなのか。恐ろしいけど、それだけではない。

    フランクとケンジの会話のなかの日本批判に少なからず共感を覚えた。年末に読んでよかった。名作。

  • そこらのホラー映画よりよっぽど恐怖を覚える。
    表紙が怖すぎる

  • 村上龍の小説。

    日本人は、日本は海外から見るとおかしな国に映るのかもしれない。
    何となく、周りに合わせたり、ふらふら自分探しとか言って甘えたり、そういう人は確かに多いのかもしれない。
    これは海外の実際を知らないため、厳密にはわからないけど、身の回りや、ニュースを見ているとそう感じる。

    日本人は日本のことを知らな過ぎる。
    そして海外の文化に憧れてどんどん輸入してくる。
    宗教も無いようなもんだ。
    神様にしかすがるものがないという状況に歴史的に陥って来なかったためだ。

    なんとなく、というのは罪かもしれない。
    世界のたくさんの人は、リスクを取って生きている人がおおいのだから。

    日本人の大多数の人は、日常に行なっている行動の理由に答えられるのかな?
    説得力のある答えを持っている人は少ないように、思える。

    随分適当に書いた。
    もっと社会に目を向けないと、実際のところはわからないですね。自戒。

  • 村上龍初読。
    もう十年以上前の、このなんともいえない日本の閉塞感が妙に生々しい。
    フランクが怖い。
    後半のシリアルキラーなフランクより、前半のまったく得体の知れないかんじの方がやたらリアリティがあって怖い。
    会話が噛み合わない、ちぐはぐなコミュニケーション、なのに「こいつはやばいぞ」という雰囲気がすごく伝わってきて怖い。

    結局彼は何者だったのか。
    そのへんについてはぼかした書き方になっているので、尻切れとんぼ気味。
    それもまたフランクという怪物を際立たせる。

    この時期、10代の少年たちがクローズアップされたけどそんな彼らも不況の波と戦うアラサーになってる。
    何が異常で何が正常か、判断するのは難しい。
    時の無常さを感じた一冊。

  • アメリカからやってきた殺人者のガイドをすることなった青年の物語。
    映画化の話があったなんて驚きだ。しかも監督がヴィム・ヴェンダース! フランク役をウィレム・デフォーが演じる予定もあったとは… 幻の企画に終わったようだ…

  • ゲテモノ好きな悪趣味連中が評価してるようにしか思えない

  • どっぷりと物語のなかに入り込んでしまって一気読み。
    サイコパスがでてくる小説は好きでいろいろ読んでいるのですが、フランクの気味の悪さは群を抜いていました。
    外国人だから、というのではない、もっと人間の本質が腐敗しているような、それでいて新鮮味のある生臭さ。
    それに加えて残虐的な描写が続くのに、やはり文学としての気品をどこかに感じてしまう。
    世界が自分の足許にあるという全能感と、自分だけが世界から切り離されているという不安感。

  • フランクがとにかく怖かった。
    ずっとこの状態なのかと不安だった。
    殺戮を繰り返した場面では本当に怒っているのかという気がしていた。
    リアルでドキドキする描写!
    日本とアメリカの違い、日本の特有なところが良くも悪くも描かれていて視点が面白かった。
    ミソスープのくだりも、たのしかった。

  • 情緒不安定な外国人と過ごした数日の話。日本人に対する批判的な意見が面白かった。日本人は自分自身を見つめていないとか、本当に必要なものをわかっていないとか。ただの猟奇的な小説だと思ったがこのような面もあって面白かった。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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