企業参謀―戦略的思考とはなにか

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833416948

感想・レビュー・書評

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  • 企業経営をやる上で、企業トップが持つべきマインドセットを教えてくれる本であり、小手先のテクニックを教授する類いのものではない。コンサルタントが根付いていなかった当時の営業的意味合いがあるのだろう。

  • 入門編では物足りなく、本編を読んだのだが、なかなか難しく読了までにかなり時間が掛かった。
    大前さんの思考法というのはとても新鮮で、70年代に書かれたものなのに全然色あせてなかった。
    戦略的思考を行うフレームワークとしては有効だと思う。
    ただ、表現が難しく、なかなか頭に入らなかったので、繰り返し読む必要があると思う。

  • 戦略本の決定版。何度も読み返す価値有り。

  • 1回目読み終わった。刺激は受けたが難しすぎる。戦略に至るプロセスへの考え方が大事なのは分かるがそれが難しい。勉強し直そう。何回も読む必要がある…。

  • 内容もさることながら、あの年齢でこの本を書いたという事実に驚き。

  • 大前研一氏と本書についてその高名をしらないものは、本書の題名「企業参謀」を見たときに、まるで小説のような題名であることから、一見自伝的書籍かと思うかもしれない。
    しかし、「企業参謀」の題名の横に「戦略的思考法とはなにか」と書かれているように、これは戦略的思考というものはどういったものであるのか、もしくはどのように思考する
    ことが戦略家であるのかという、くしくも洋書で翻訳された題名「Mind of the Strategist」に帰結される内容である。

    本書は、発行以来、数多くの言語に翻訳され著名なビジネススクールにおいても教科書的に機能している戦略的思考に関する書籍で、内容についてはあえて発行当時1975年当時
    から変更を加えていない。さらに大前氏は、本書を著作したときにおいて未だ30代前半であったということであるので、如何にその戦略家たらしめるゆえんやマッキンゼーという
    組織の強烈なまでの成長速度(当然、大前氏はその組織で十分に機能していたわけである)を促す環境であったかが伺い知れる。

    本書は戦略的思考法について、ビジネスにおける想定や実例、または国政への利用法と多岐にわたる為、書評として網羅的なものを作成することが非常に難しい。
    また、内容が安易ではないので、Amazonの書評にも多くあるように数回は読み込む必要がある。既に5回目という人物もざらにいる。

    1回目を読了した上で、直観的に影響を感じざるを得ない個所をいくつか紹介して初回の書評としたい。

    まず基本的なことではあるが、戦略的な思考を行うに至っては精緻で詳細な分析をもってそれのベースとしなければならないということである。他者に説明する段になって、それを
    気付き考え直すようでは戦略的思考法ができていないという訳である。
    また、戦略上仮説や仮定で設定した数値は、ある程度推定であっても現実の数値に近いものとする為には、その仮定とした数値をある一方向から算出するほかにもう一方から算出
    することで、その仮定した数値の蓋然性を向上させ大枠の事実と近似したものを取得する必要があるという。これには、思考と分析の”しつこさ”が必要で、おそらくこれをことある
    ごとに実践しているのとしていないのとでは、要求水準に対する結果つまりはアウトプットの質が異なるのであろう。
    こういった、実際にトップコンサルタントがどのような過程や結果をもって、サービスとしているのかを感じることが出来る事は大きいし、実務上求められる要件以上をアウトプット
    しようとする実務担当者には非常に有益なものであろう。
    これを端的に表現しているのが、著者自身がケーススタディを自ら構想し解決策を自ら提案する部分で、そのストイックさもさることながら、実例に基づく思考経路を理解するには
    もってこいである。このケーススタディを聞いただけで、本書への興味関心がわくと思うのでさわりだけ紹介すると、ニュージーランド沖に日本イカ船団が大量にイカがとれるという
    ことで大挙したものの時間経過とともに乱獲が原因でイカが捕れなくなった。さらにはニュージーランド側から日本政府水産省へ、漁船行動に対するクレームがあがっているという。
    この解決策とその導き方を戦略的な思考法で、考察しようというものである。

    こういった、ケース毎に解を模索していく中で、2,3度著者が注意喚起している事にフレームワークに関する事柄がある。
    課題解決や事業戦略に用いられるフレームワークは、他社の戦略で用いられていることを見た経験や実際に利用してみて間が抜けたものになった経験というのはビジネスに携わる場で
    は少なからずあると思われる。課題解決法には、あるパッケージ化された方法論というのは存在せず、基本的にはオーダーメイドで思考、分析されるものであることを著者は強調して
    いる。
    BCGの考案した、PPMについてもより詳細に説明し、如何に精緻で"しつこい"分析の上に利用する事が望ましいのかGEとBCGの採用事例から紹介されている。また著者(マッキンゼー)
    はこのPPMを2×2の4つの分類ではなく3×3の9つの分類にわけ、ポジショニングに対してそれぞれの戦略を当てはめるということをさらに製品系列毎に実践するような多大な労力を伴う
    うえに非常に精緻な分析がなされているものを紹介している。
    さらに、KFS(Key factor for Success:成功のカギ)というのが、新規参入や事業には存在し、多角的な視点がなくKFSを分析せずに安易な考察でもって失敗に陥った多角化における
    新規事業例をタービンメーカーの事例等を用いて紹介し、KFSをつかむことが大きく事業の成り行きを左右する事を知ることができる。

    最後に、本書を読んでいて非常に気付きが多い事がわかるのであるが、これをもって思考法の練習が開始されるのであって膝を叩いて終わるのではないことは言うまでもなく、それを
    考えると数回読み込んで実践に移していかなければ身に付かない内容であるのは明確である。

    よく大前研一氏自身がかつてメディアへの露出も多く、思想が合わないので本書を手に取ることを躊躇される方もおられるかもしれない。
    実際に、大阪市長である大阪維新の会が参考にした、大前研一の平成維新の会の根源的な思想である小さな政府を論じる片鱗が本書においても見え隠れする。
    企業においても、戦略的思考に基づく戦略立案集団は特に実践的で有能な集団にのみ携わらせるべきであるといった個所は、特にそうなのかもしれない。
    しかしながら、大前氏は政治的な思想は別として戦略立案の側面ではプロフェッショナルであることに違いはない。
    そのプロフェッショナルに触れることは、間違いなく自信を磨き上げることの手助けとなるであろう。

  • 読み終わるまでにちょっと期間をかけてすぎたので、記憶がかなり薄れてはいるけど。とりあえず。
    初めて大前研一の本を読んだ。ありがち、といえばありがちな洞察を加えているのかもしれないが、この本が書かれた年代を考えると恐ろしく先見の明があると思う。ありがち、と感じるのはむしろこの本を元にしている本が多すぎるからなのかもしれない。
    自分がなんとなく読んでいた本は、この本を元にして簡単に書いてあったからわかりやすかったんだなぁ、と思う。原著?だからかやや硬い表現があったりして読みにくかったりするが、面白い。
    次は、きちんと時間をとって短期間で読み直してみたい。

  • 大前研一先生の名著の1冊だと思いました。企業の何たるかが理解できた気がします。

  • 10年以上も前に書かれたとは思えないクオリティの大変素晴らしい本。大前研一氏の完成度と洞察力をもってして生まれた本。名著以外の何物でもないと思う。素晴らしい。

    名言
    ・理想を頭に描くことで、制約条件が理想に向けての障害物に変わる。

    ・ラインの短期利益追求から中期的利益の追求へ。
    ・スタート時点で大切なこと「設問のしかたを解決策志向的に行うこと」そもそも論を問いにしてみる。どうしたらよくなるかではなく、そもそも人は足りてるのか、そもそも仕事の量と質に人材の能力がマッチしているのかなど。
    ・問題点の絞り方を現象追随的に行うこと。ブレストなどで現象摘出→同類項をまとめる。→さらにまとめ共通する問題点をさがす。(「抽象化プロセス」)これを行わないと、Q&Aの短絡した表層的な解決にしかならない。現象の問題点が何に帰属する問題であり、何に深い関わりあいがあるのか。これを理解しないと新の解決策はない。
    本質的問題解決のプロセス 現象→グル―ピング→抽象化→アプローチ設定→解決策と思われる仮説設定→分析により仮説の立証・反証→結論の導出→具象化→実行計画立案→実行
    ・中期経営計画戦略立案プロセス 
    明確な目標値の設定→基本ケースの確立(現状そのままやるとどうなるか)→原価低減改善ケースの算定(コスト改善ケース)→市場・販売改善ケースの算定→戦略的ギャップの算定(オペレーショナルな努力の限界値と目標値の差)→戦略的代替案の摘出→代替案の評価算定→中期経営戦略の実行計画
    ※どんな仮定を置いているかは明確にすることが必要
    →その部分のみを変更して処理できる。
     ・戦略的代替案例①新規事業参入、多角化②新市場への転出、海外市場など③上方、下方へのインテグレーション(垂直統合)石油だと情報は輸送、採掘、下方は有機合成化学、ガソリンスタンド
    ④合併・吸収 ③のためや製品系列の拡充、マネジメント強化など
    ⑤業務提携 販売網共有化、部品共同購入、技術提携など
    ⑥事業分離 別買者設立による専業化による効率経営
    ⑦撤退、縮小、売却 事業の切り売り、退却、全体のために部分を放棄する
    ワクを狭くすると抜本的戦略が出てこない・広げるとリスク現実性が発散する。称事業部からバラバラに出てきた寄せ集めはだめ。
    ・SBU事業戦略ユニットを作る際はKFSを共通項として構成するべき。
    ・多角化は多様化、新市場、地固め以上に必要な時に初めてするべき。
    ・製品、市場戦略策定のためのプロセス
    ①市場性の動的把握(市場のサイズと動態、成長性を知ること)→②内部経済の分析(売上高、前者に占める割合、限界利益、商品別限界利益→傾向とその理由の把握。損益分岐点、付加価値分析→どの工程の付加価値が高いか。)→③競合状態の把握(商品サイズ別のシェア)→④KFSに照らしたわが方の強さ、弱さの客観的理解→⑤改善機会について仮説の抽出評価→⑥改善実施計画作成、実施→⑦モニター、必要な軌道修正
    ・戦略実践時には具体的なタイムスケジュールの作成が大事。
     思考力を極限まで用いて、相手の動きを予測して戦略を立案する。
    ・参謀五戒 ①ifという言葉に対する本能的恐れを捨てよ。
     ②完全主義を捨てよ。相手よりほんの一枚上をいく戦略をタイミングよく実施することが勝利のカギ。③KFSについては徹底的に挑戦せよ。常にKFSが何であるかという認識を忘れない。全面戦争ではなく、KFSに対する限定戦争に徹底的に挑む。④制約条件に制約されるな。理想を描くと制約が障害に変わり、どう取り除けばいいかを考えるようになる。⑤記憶に頼らず分析を。しょうがないことを週1つ取り上げて、自分ならどう「しようがある」ようするかという策(概念)を展開してみる癖をつける。
    玉石混交の問題。
    負け戦をしているのに、ホッケースティックで「善戦している」と通報すると誤った判断に陥ってしまう。⇒妥当性の検証が重要。善戦からの情報に常識のスクリーニングにかける。
    高速道路の鹿
    早く走ると視野がどんどん狭まってしまう。経営者はごめんなさいを言った後の状況の方が、破局に至った後の断頭台よりいいと考えないといけない。
    日常生活における絶え間ない空想力と、論理を組み立てる訓練に裏打ちされたものでなければならない。
    製造の中心が移っているのであれば、そこに資本を投入しておくべき。
    低成長⇒判断ミスの融通性が失われてきた。分析を重視し、個人の情や勘の入る余地を
    少なくして、分析に携わった全員の責任になるようにする。
    財力が強い会社の特徴
    ①安定したプラスのキャッシュフロー②外部資金調達能力が高い③自己資金比率が高い
    市場競争力の強い会社の特徴
    ①市場占有率が高い②コスト管理がうまい③生産体制に柔軟性がある④特殊技術や独自の販売網を有する
    競争相手との相対的力関係を変化させる方法
    ①経営資源配分において、相手より濃淡をつけ、シェア収益性で優位にたつ。
    KFSに基づく企業戦略
    ②競争条件が違うため優位に立つ 技術、販売網、収益、資産内容の相対差
    相対的優位性に基づく企業戦略
    ③新機軸を貫き相手に追従させないことで優位。
    新機軸展開による企業戦略
    新機軸を求める方法
    ①考え方の転換②戦略的自由度③技術的ポートフォリオ
    ①常識を疑い、疑問に結び付ける。
    最も本質的とされている仮定を列挙し、仮定が依然として正しいか、仮定がなければ事業が成り立たなくなるのか考えてみる。
    戦略立案の底流となる思想
    ①戦略的に意味のある計画はひとたび目的地に達した場合、守りぬけるものでなくてはならない
    (プロテクション)
    ②いかなる勇者といえども、市場の構造変化を予知し、対処するために己の強さと弱さを常に知りぬいていなければならない。
    ③真の戦略家はリスクを避けるのではなく、リスクをあえてとる局面がなくてはならない
    ④最後に戦略に魂を吹き込むのは人であり、マネジメントのスタイルである。
    先見性の四つの条件
    ①事業領域の定義が明確 
    ②現状の分析から将来の方向を推察し、因果関係について、きわめて簡潔な論旨の仮説が述べられている
    ③選択肢のうち少数のみが採択されている。
    ④基本仮定を覚え、状況が変化した場合を除き原則から外れない。
    世の中の力の動きを見通し、提供すべきものを考えるヒント
    ①自ら定義した事業領域で対象ユーザのトータルエコノミクスを徹底的に分析する
    ②サービスでは時間、手間、便利さの分析
    既存のものをなるべく活用。規模の経済の閾値以上に一気にもってく
    ③既存システムの存立要因を理解し、これを揺さぶるか活用する。

    先見性のある経営者なら、自分はどのような顧客のためにどのようなサービスを提供し、
    どのようなメカニズムで収益をあげているのかを忘れない。

  • 自分の時間を占有する業であるということ。その業を徹底することが人生の喜びにあることに違いない。
    ん〜。その通りなんだろうな。大前さんすごい!

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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