- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833419369
感想・レビュー・書評
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生き残りと差別化を求められる現在のビジネス。「上質と手軽さの両立という幻影を追わず、いずれかの頂点を目指せ。」が骨子。トレードオフの曲線自体をシフトするような力を生み出すには?
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本書の内容は、「手軽」か「上質」かのどちらかを極めないと成功には至らない。また、テクノロジー(イノベーション)により、「手軽」と「上質」の領域は絶えず変化してしまうことにも留意する必要があるといったもの。
事例豊富にさまざま書いているが、本書の序段だけで、本書の述べんとするところは分かる。
50ページくらいからほぼ事例の紹介となっており、ほとんど新しい情報は出てこなかったため、読んでいて疲れた。とはいえ、興味深い説を主張しており、事例についてはこの説をきれいに展開して説明している。 -
タイトルにあるように、トレードオフがテーマの本。
全編を通して訴えているのが、上質さと手軽さはトレードオフであるという1点のみ。
そのコンセプトを多数の事例を紹介することで説得力を高めている。
上質さと手軽さの両方を満たすサービス・商品は存在しなく、この領域を幻想(ミラージュ)とまで言い切っているのが面白い。
企業はよくこの領域を狙いがちなので、それは辞めた方がいいと警告している。
スターバックス、ティファニー等の有名企業だけでなく、ビル・ゲイツなどの著名人が投資した鳴り物入りのベンチャーやセグウェイ等がダメだった例なども紹介されていて、面白い。
逆に、手軽さ、上質さのいずれもない場合は不毛地帯と読んでおり、ここにいる場合はいずれの価値を高めるか、やめてしまうという選択になる。
本書はジャーナリストによって書かれたものであるせいか、このコンセプトの紹介にとどまっているのが残念。
こうした2軸で考えるという、ざっくりとしたコンセプトは非常にわかりやすくて重宝する反面、同一ドメイン内に複数の商品ポートフォリオがある場合に、それらをこの2軸だけで解釈しようとすると難しい。
また、どのように、コンセプトを磨いていくか、その実践方法については特に記載がないので、従来のマーケティングの本を参考にした方がいい。
以下メモ
「上質と手軽」の選択を見誤らないための5ヶ条
1、テクノロジーの進歩を見落としてはならない
2、商品・サービスの成否は、目新しいかどうか、時流に乗っているかどうかよりも、上質と手軽のさじ加減で決まる
3、上質と手軽のどちらをどれだけ重視するかは顧客層ごとに異なる
4、商品やサービスを小さく生むと、小回りがきくため、テクノロジーの進歩や競合他社の動きに対応しやすい
5、新しいテクノロジーは必ずといっていいほど、不毛地帯で産声を上げる -
2009年に書かれて2010年に翻訳版。
上質と手軽さのどちらかに徹底することが成功に繋がる。
中途半端な状態を不毛地帯と表現している。ここから抜け出せないブランド、商品は市場から消えていく。
上質と手軽さはセグメント毎に考えなければならない。
個人の仕事にもトレードオフの概念は適用できる。
巻末の内田和成氏(早稲田大学ビジネススクール教授)の解説を読んでから本文を読むのもいいと思う。 -
自社の製品、サービスを上質と手軽に分けることで、ポジショニング戦略を明らかにした著書です。
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企業が生き残り、繁栄するには2つの道しかないと説く。顧客にとって上質であるか、手軽であるか。
上質とは愛されることであり、手軽さとは必要とされること。もっと言えば必要とされなくても愛されればよく、愛されなくても必要とされればいい、と。たとえば前者はルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドであり、後者はマクドナルドやウォルマート。どちらにも属さないのが「不毛地帯」であり、そこに陥ると衰退の一途を辿る。
論理がシンプル過ぎてつい鵜呑みにしてしまいそうだが、多くの実例が示されており納得せずにはいられない。また、企業のみならず一個人にも当てはまりそうな論理だ。 -
皆さんのレビューにも書いてある通り、本の内容は最後の解説を読むだけで充分かもしれません。
ただ、私にとっては、色々なアメリカの企業のエピソードが知れて良かったです。
また最終章の自分自身は上質と手軽のどちらを目指すのかという問いかけも考えさせられました。他の人々にはない自分ならではの持ち味や強みをはっきり自覚できるように頑張らないと。 -
分析視点が興味深い本。
上質さと手軽さという分析視点を提示し、それを基軸に事象を解析するところがおもしろい。
ただ、悪例のようにならないようにするための具体的な方法は述べられておらず、あと一歩踏み込んでほしいところ。また、本書では、縦軸に上質さを、横軸に手軽さをとるグラフを用いて説明されているが、なんとなくしっくりこない。象限を用いるなどの方がしっくりきそう。
ともあれ、ビジネスにおいて起こったことに対するのみならず、自分が行動するときの分析視点としては参考になろう。