- Amazon.co.jp ・本 (28ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834001242
感想・レビュー・書評
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いつもの図書館の新刊コーナーにあった本書を見て何故と思ったが、奥付に記載された『2023年8月5日 第176刷』に大変驚き、1967年初版から約半世紀もの間、ずっと人気があることにも納得の、子ども心に優しく寄り添った、好きなものに憧れる気持ちを、愛らしくユーモラスに描いております。
ある日、ちいさい「だるまちゃん」と、ちいさい「てんぐちゃん」が一緒に遊んでいると、だるまちゃんがてんぐのうちわに興味を示し、それに惚れ惚れしただるまちゃんは、家に帰って、「てんぐちゃんの ような うちわが ほしいよう」と家族にお願いすると、おおきな「だるまどん(お父さん)」が、たくさん出してくれたものの、これといったものが無く、どうしようと考えている内に、だるまちゃん自身の気付きと素敵な発想によって、それに替わる物を見つけては、てんぐちゃんに報告するといった、その繰り返しが面白い。
その面白さは、家族の皆が息子のために、いろんな種類のものを出すけれど、どれも微妙に違っていることと、だるまちゃんが、てんぐちゃんの好きな物を、どんどん身に付けていくことで、だるまちゃんも嬉しいし、てんぐちゃんにとっても、まるで自分の存在を肯定してくれたような嬉しさを感じるだろうなと思ったとき、これって好きな人に対する気持ちと似通ったものがあることに気付くことで、二人が仲良く遊んでいる絵にも、より感情移入できる微笑ましさが芽生えてくるように思われた、そこには、子どもたちにとって、この上ない幸せの一つなのだろうと感じられた、しみじみとした普遍性があった。
加古里子(かこさとし)さんの絵には、シンプルで素朴な優しい雰囲気があり、その中でも特に、だるまちゃんの家族それぞれの顔を、少ない描き込みで明瞭にしている点に、オリジナリティを感じられ、職人気質の父、どっしりと構えた懐の深い母、お人形さんを背負った姿が可愛い妹、咥えたパイプが渋い祖父、和やかな表情の祖母と、そんな個性的で素敵な家族の絵には、これまでの繰り返しの展開から抜け出して、息子のために皆が一つになった、家族の素晴らしさを感じさせる終盤にもよく表れていたのが、友情の素晴らしさと共に印象深い。
それから、私にとって目から鱗だったのが、奥付に書かれた「作者のことば」であり、本書の日本的な、民族性に富んだものを作りたいと思ったのは、戦後の時代に無国籍の児童文化が多かったことに起因していたことであり、その中でも、日本ならではの印象がありながら、実はあまり良く知らなかった、「そもそも『だるま』って何?」といった疑問を、解決してくれた点にあった。
なんでも、だるまちゃんの元は、古代南インド香至(こうじ)国の第三王子で、中国の嵩山岩窟で九年間座禅をくんだ高僧達磨であり、日本に伝わると、その不屈黙思の精神が感動をよび、親しみあるひげの顔と、赤橙色の丸い僧衣の日本的な姿と心となって多くの玩具となった、その中の小さい幼児形のものと、当時の日本の子ども像とを重ね合わせて描いたことに、改めて、私もだるまへの思い入れが大きく変わるような、愛らしさと親しみやすさを感じることができた。
そして、加古さんといえば、なんといっても、その絵本の製作数の凄さで、600作以上もある、その子どもを楽しませたいという限りない気持ちの表れには、尊敬の念を覚え、本書の「だるまちゃんの絵本」シリーズも、あと12作あるそうなので(本書は1作目)、そちらも是非読んでいきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
可愛いなぁ。
だるまちゃんの我儘に付き合ってあげる大きいダルマも優しくていいなぁ。 -
いかつい顔の2人だが二頭身フォルムが可愛く、会話のやりとりも微笑ましい絵本。
だるまちゃんはてんぐちゃんの真似をしたくなり、てんぐちゃんと同じ「団扇・帽子・下駄・鼻」を、大きなだるまどんと一緒に探します。全く同じ物ではなく、少しズレた物を見つけ出してくるのがクスッと笑えます。例えば、お椀を帽子の代わりににしてしまうところなど。
お友達の真似をしたくなるところを読み、高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」の主人公が、友達と同じブランドの運動靴をお母さんにねだる場面を思い出しました。「よそはよそ、うちはうち」という考えもありますが、だるまちゃんのような笑顔になるになるなら、こんな真似っこを歓迎したい! -
10代の頃、急に仲良くなった友人がいた。
若い時によくある勢いのある距離の詰め方で、いつも一緒にいて
なんでも話した。親友のように、周りからは見えたと思う。
なんでも私の好きなものを「いいね!私も好き!」といってくれる彼女に対して
ある時から、あれ? と思い始めた。
服も、持ち物も、好きな食べ物も、すべてが私と同じなのだ。
特に服は顕著で、私が来ていた服とほぼ同じものを次に会う時には来ていた。
私が好きな芸能人を言うと、その人の髪型をし始めた。
私が彼女に言ったことは、彼女は自分の発言として他のクラスメイトに話していた。
私は、自分がその子の影になったようでとても嫌だった。
距離をとるようになった。
子供の時に大好きだった本。だるまちゃんはてんぐちゃんがとても好きで
羨ましくて、なんでも同じになりたいのだ。
自分の真似をするだるまちゃんをてんぐちゃんは「いいの見つけたね!」と
褒めてあげる。そして一緒に遊ぶ。
てんぐちゃん、懐がでかい。大人になって思うことはそれ一択だ。
さすが神の化身(の子供)である。
表紙のイラストも、てんぐちゃんは笑顔。だるまちゃんは真剣(そして負けている)
これはじゃんけんの結果じゃなくて、二人の性格を表している見事な表紙だと思う。
どうにも器の小さかった私をたまに思い出す。
絵本のように彼女と遊んでいられたらよかったのかもしれないけど。
※これを書いた翌日、かこさんが亡くなったニュースが配信された。どうか安らかに眠ってください。 -
てんぐちゃん、だるまちゃんへの声のかけ方が穏やかで優しい。
だるまちゃんとだるまどんが帽子を並べて考え込む横で、いそいそと食卓を整えるお母さんが良い感じ。
加古里子の描く「ものづくし」は眺めているだけで愉しくなる。 -
同じくかこさとしさんの名作。
「からすのパンやさん」と僅差で4位の人気だった本。
小学生になっても、幼い日に読んだ本というのは安心感の固まりらしい。
表紙を見せたとたんに「あー、懐かしい!」と一年生に言われた時は吹きだしそうだった。
ちなみにアンケート用紙は全ての小学校共通。
各クラス30人ほどで、ひと月に7校ずつ回り年間12回。
「だるまちゃん」も「てんぐちゃん」も、今の子たちには本当に昔のもの。
それでも身近に感じてくれるのは、かこさんの描き方の素晴らしさだ。
てんぐちゃんの持っているものが、次々に欲しくなるだるまちゃん。
大好きなお友だちだもの、同じ格好がしたくなるよね。
だるまちゃんの家族は、子どものだるまちゃんのために毎度毎度大奮闘する。
欲しいと言われるたびに、おうちにあるだけのモノを並べてあげるのだ。
この、たくさんのモノの中から選ぶ時の楽しさと言ったら!!
そして、何とか形だけでも似せて登場しただるまちゃんを、その都度褒めるてんぐちゃんも、本当にやさしくて良い子。もう、なんて可愛い二人だろう。
かこさんて、子どもというものを本当に良く知っている。
うちわ→ぼうし→はきもの→鼻・笑。 この「鼻」が笑いどころ。
とうとう完成した(?)だるまちゃんと嬉しそうに手を繋ぎ、ふたりの笑顔で終わる。
初版が1967年だから、もう50年以上も前のお話ということになる。
でも古臭さは全くない。むしろいつの時も変わらない子供像を見るかのようだ。
天国のかこさとしさん。
あなたのお話は、これからもずっと子どもたちに愛されていくことでしょう。 -
この絵本は、私の母が孫(私の娘)の誕生プレゼントとして届けてくれた最初の配本絵本であった。何度も何度も読み聞かせた記憶があり、特別な思い入れがある。
今日の昼のニュースで加古さんの訃報を聞いた。最近、だるまちゃんシリーズの新しい絵本を出版されていただけに、心にぽっかり穴が開いたようで残念でならない。 -
3才~小学校初級
・絵の色がカラフルで、主人公の表情が豊かである。
・アットホームな食卓の絵が、心温まる。
・手作り感・素朴なものの良さを描いている。
・友情の大切さを表している。 -
かこさとしさんの代表作。
だるまちゃんがてんぐちゃんの持ち物や服を羨ましがり、真似をしていく。
子ども心をドンピシャに捉えた絵本。
【ママ評価】★★★★
かこさとしさんの超有名作ということで、読んでみることに。
他にないストーリーという訳ではないけれど、だるまとてんぐというキャラクターによって唯一無二の世界が広がっている気がする。
短いながらもキャラクターの個性がしっかり感じられるし、子どもらしくて愛らしい。
何より絵や色味がだるまやてんぐにピッタリな雰囲気だし、そういうところからもかこさとしさんの世界観は確立しているように感じた。
あと、小物がいっぱい描かれているのが可愛い。
小さい物がいっぱい並ぶとどうしてこんなに可愛いらしいんだろう。
サラッと読んでもいいし、子どもと「これは何かな〜」なんて会話しながら読んでもいいし。
絵本の読み方が広がるポイントとしてもグッド。
ちょっと気になったのは表紙のだるまちゃんとてんぐちゃんの配置。
逆だったらタイトル通り、左にだるまちゃん・右にてんぐちゃんなのに、なんでわざわざ逆に配置されているんだろう。
子どもにもわかりやすいと思うし、そういうところも考えて描いてそうなのにな〜、不思議。
【息子評価】★★★★
予想以上に繰り返し読みたがった。
「てんうちゃん(てんぐちゃん)」は覚えていたけど、なぜかだるまちゃんは一言も発せず。
話の内容がわかっているかは微妙。
だるまとてんぐ自体よくわかっていないと思うし、登場する小物も馴染みのないものが多い気がする。
そういうはじめての世界に触れる絵本として良いと思うし、よくわかっていないのなら尚更絵本に魅力があるということかな。
息子は細かいところには食いつかずペラペラ読み進めたがっていたけど、読めば読むほど味が出る絵本なのかも。
読んでいくうちに理解できたり、小物に興味を持っていったり。
もうちょっと読んでみて、息子の反応の変化をみてみたい気もする。
2歳5ヶ月 -
子どもの頃、お帽子などを選ぶのが好きだった。実家においてくれているので子供にも読み聞かせたい。