三国志 (1の巻) (ハルキ文庫 き 3-1 時代小説文庫)
- 角川春樹事務所 (2001年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894568686
感想・レビュー・書評
-
小学生の時に読んでた三国志。吉川verの7巻実家で読んでて帰宅。三国志気になってブックオフで北方ver大人買い。やっぱり面白い。あと12巻楽しみ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短文が気持ちの良い作品。聖人君子・劉備像は、関羽と張飛によるイメージ作戦という設定。曹操も心に期するものを持ちつつ、タイミングを見計らう。もしかしたら、著者は呂布が好きなのかと思うほど、力を入れて描いているように感じる。
それぞれが人間らしく描かれている。
朝廷はあまり詳しく描かれていないので、その辺の話の筋は分かりにくいかもしれない。 -
三国志は 子供の頃に読んで、
印象深い物だった。
オトコのもつ 強さや器量の大きさに
感心させられたことがあった。
中国を理解する上で やはり
三国志を 再読しておかなければ とおもって
北方謙三の 三国志を 読み始めた。
劉備 が 関羽と張飛に出会い、
その二人が、劉備の目的を聞いて、
兄弟の契りを結ぶ。
というところから始まって、
孫堅が 荊州を攻め、息子の策の初陣の活躍を
喜びながらも 矢によって 貫かれてしまう。
で終わる。
関羽と張飛の活躍は 言うまでもないが、
呂布の活躍が なんとも言えない。
黒装束に 赤いマフラー そして 大きな赤毛の馬。
人馬一体となって 戦う姿。
深くは考えないが 勇猛である。
瑤にたいする 想いが じつに すなおでいいね。
北方謙三って もう少しバイオレンス系に書くと思いきや
かなり抑制して 書いていることが 印象的です。
さて、これから、が 楽しみだ。 -
・読みやすい。読書が苦手な自分でも割とすらすら読めた。生きた文章、という感じでぐいぐいと引き込まれる。
・劉備三兄弟の始まり→黄巾討伐→霊帝崩御・朝廷に渦巻く陰謀→戴いた帝を盾に好き勝手する董卓に対し連合軍結成→動かぬ軍を嘆いた曹操・決死の戦い→洛陽を燃やし長安へ移動する董卓→孫堅の死まで。
・劉備が人間臭くていい。人並みに焦るし、怒る。情があっても徳一辺倒の人ではない。そんな彼の汚点を義弟達はひたすら背負い彼を徳の人にする。劉備の胸の奥に秘められた大なるものの輝きがそうさせてしまうのだろうな。
・張飛が良いなあ。兄に目をかけられる趙雲に嫉妬して泣きじゃくる。むしゃくしゃして人まで斬っちゃう。凶暴だけど純真。だけど嫉妬だけを剥き出すんじゃなくて、劉備軍に入りたいと縋るも拒まれ落ち込む趙雲に「戻ってこいよ」ってちゃんと言えちゃう。憎めない、愛すべき問題児。
・曹操の負け戦が熱い。ものすごく熱い。冷静に計算高く勝機の匂いだけを嗅ぎわけてきた曹操が、その冷静さをかなぐり捨てて剣を握った。曹操の背を押し、負けてもなお「無形の財産」と讃える夏侯惇。己を顧みず馬を貸す曹洪。兵達の揺らがぬ信頼に曹操は一言答えた。「生きている。また、闘える」――紳士な夏侯惇がかっこいい。命を懸けた曹操軍の戦に鳥肌が立ち、戻った曹洪と一緒に泣いた。
・マザコン呂布に萌える巻だろ、そうなんだろ北方先生
・戦馬鹿で、欲がなくて、奥さんと馬にはとにかく一途。そしてとにかく強い。なんか魅力に溢れてるじゃないか。
・孫堅の死がやばい。息子の雄姿を見届けた直後ってのがもうね、だめだ。きっと父ならではの感慨と、将としてのこれからの希望に満ち満ちていたんだろうなと思う。身体を貫いた矢が孫堅には「光」にしか思えなかったというところに、そんな孫堅の心情が滲んでいてやるせなかった。
・気持ち的には★5つだけど、初っ端から5つつけたら13巻までの評価が難しくなりそうなので抑えて★4つ。 -
吉川三国志とは違う展開が
ハードボイルド作家の書く三国志は、一人一人のキャラがものすごく立っている。
特に、曹操、呂布が男くさくてよい。
とにかく、読めば読むほどアドレナリンがどばどば出てくる感じがする。 -
曹操は小男だったのか?
劉備が単なるよい人として描かれなさそうな点、今後に期待できる。 -
文章がとてもいい。簡潔で、明瞭で。劉備、曹操、孫堅、呂布…。さまざまな男たちの行動や考えを、しっかり書き分けている。すべて読むべきか。そして、さらに水滸伝、さらに…と行くべきか。うれしい悩み。
-
公孫瓚の客将として、戦う劉備を見て、支えるべき大将と見定めた趙雲。
趙雲は、家来に加えてくれと劉備に懇願するが、断られ続ける。
そして、劉備は、公孫瓚と袁紹の講和調停を受けて、客将としての役割に見切りをつけ、再び流浪の義勇軍への道を選んだ。
陣払いの日、当然のように趙雲はそばにいて、劉備に従おうとした。
「さらばだ、趙雲」
劉備がそう言うと、趙雲だけでなく、関羽や張飛もびっくりしたようだった。
「家来にして頂けないのですか?」
「お前は、大将と言えば公孫瓚殿と私しか知らない。今この国に、大将は雲のごとくいる。それを見る為に、旅をしたらどうだ。少なくとも1年。それでも私がお前の大将に値すると思ったら、その時に、また私の陣へ来い。私は、どこかで戦っているはずだ」
「殿以外に、私の大将は考えられません」
「若いから、そう思うのだ。今お前に必要なのは、私以外の大将を数多く見る事だと思う」
「いやです。私を連れて行って下さい」
趙雲は、地面に座り込み、涙を流し始めた。
賭けだった。
1年の間、旅をすれば、従いたいと思う大将が出てくるかもしれない。どうしても欲しい男なら、今ここで配下に加えた方がいい。しかし、1年後にまた戻ってきたら、結びつきはもっと強いものになるはずだ。それに、純真なだけでなく、趙雲はもっと世間を知るべきでもあった。
「お願いします。何のために、常山の山中で10年も自分を鍛えたのか、と私は思ってしまいます。軍勢の端に、どうか私を加えて下さい」
「くどいぞ、趙雲」
「私のどこがお気に召さないのですか?」
「いや、お前のことは、高く買っている。流浪の身の私の軍に加わってくれるという気持ちも、ありがたいと思う」
「それなら」
「1年、旅をしてみろ、趙雲。旅をしながら、この国の姿をよく見るのだ。そしてその眼で、大将を選べ」
「待って下さい」
「くどい。男は、耐えるべき時は耐えるものだ。それが出来ぬなら、私の前から永遠に去れ」
趙雲がうつむいた。
土の上に、涙が滴り落ちている。
「進発」
劉備は関羽に言った。関羽は声を上げる。進み始めた。
さらば。
心の中で、劉備はもう一度言った。
軍が動き始める。
また、流浪の旅。千人の軍を受け入れてくれるところがあるのか。なければどうすればいいのか。劉備は、それを考え始めていた。
「戻ってこい、子竜。1年経ったら、必ず戻ってこいよ」
張飛が叫んでいた。
三国志 一巻 群雄の時より