筋道がたった作品が好きな人にはオススメできないというのが感想です。

この本では、ありふれた日常の描写が多いのですが、他の小説と違ってその話が別のところにつながるということはなく、ありふれた日常はありふれた日常として終わってしまいます。だから、話がいろいろとつながっていることが好きな人は違和感を覚えると思います。でも、実際に考えてみると、全てが全て繋がっているということは普通に生きていればなく、繋がることもなく終わってしまうことの方が多くあると思います。そんなことを思わせる作品でもありました。

この本の終わり方に関しても、好きな人、好きじゃない人がはっきりわかれると思います。作者もそれを承知の上で書いたことはわかるのですが、私にとってはあまり好きじゃない終わり方でした。いろいろと矛盾と未解決の問題があるままに終わってしまっているので、綺麗な終わり方が好きな人には受け入れられないかもしれません。

それでも、この本に魅力があります。それは今までに読んできたことがないよな恋愛観だと思います。こんな恋愛、夫婦関係を望んでいる人は少なからずいるのではないでしょうか。少なくとも私はその一人なので、主人公にすごく共感しました。

2018年3月3日

読書状況 読み終わった [2018年3月3日]
カテゴリ 小説

今回はいろいろな場所に赴くのではなく、同じ場所でがむしゃらに戦っていました。

ランタは戦闘シーンの描写が鮮やかで、一つ一つの動作が眼に浮かぶようで、その臨場感に興奮しました。今後のランタの活躍に期待ができそうです。

対して、ハルヒロたちは戦闘をずっと続けているのですが、戦闘描写よりも、心理的な緊迫感の方が伝わってきました。今にも地獄に足を取られそうな、そんなギリギリの状態が伝わってきて、続きが見たいような、でも怖くて見れないような、そんなハラハラした面白さがありました

2018年2月18日

読書状況 読み終わった [2018年2月18日]
カテゴリ 小説

アニメを先に見てから、この本を購入しました。アニメ版との差はほとんどありませんし、気にならないほどです。もう少し展開的な違いが欲しかったとは思います。

いろいろなタイプの人間の不器用な恋を描いた青春ものです。登場人物たちが感情を言葉にできないことにもどかしさを感じます。しかし、登場人物たちは、高校生の浮き足立った恋愛を、よくわからない自分の中の感情に向き合い、ときには目を背けてながら考えていきます。それは誰にでもできることではないので、とてもすごいことだと思います。

私は個人的に小宮さんが好きです。彼女が一番もがいている気がするので

2018年1月12日

読書状況 読み終わった [2018年1月12日]
カテゴリ 小説

一途な愛を感じる作品でした。あらすじで紹介されているように、主人公で幽霊となる宗一は「生前にプレゼントしたものだけ触れることができる」という能力をもっています。まるで『ゴースト/ニューヨークの幻』を彷彿とさせるような設定ですが、こちらでは周りの状況の変化から主人公の中でさらなる葛藤があり、見応えがあります。最後にたどり着いた結論に対しては、この本を読んでいるだけの一介の読者ですぎない私でも、「主人公らしいな」という思いが芽生えました。

2017年12月31日

読書状況 読み終わった [2017年12月31日]
カテゴリ 小説

近未来情報社会はこうなっているのか?と考えるような作品でした。私たちは武力というと重火器や機械(ロボット)などを想像しがちですが、実際の世の中では情報を握っていることが強さになってきています。発電所などのインフラがクラッキングされた事例もありますし、これが核のボタンになる場合もあると思います。もしくは、ターミネータのような殺人系のロボットは情報技術の塊です。そう考えていくと、近い未来の戦争は物理的な能力ではなく、電子的な戦争になるような気がします。そんな近未来社会の1つの形を思わせられました。

恋愛面もありますが、私にはそれはあくまでも1つの要素で、情報技術のあり方が一番のグッときました。

2017年12月31日

読書状況 読み終わった [2017年12月31日]
カテゴリ 小説

謎に謎が加わって、ちょっと整理しないと追いつけないくらい濃い内容になってきました。変わらず戦闘描写の激しさが直に伝わってくるような感覚がありました。

ハルヒロたちの戦闘ばかりの日々にも少しの平穏があり、こういったまったりした空気も少し久々だなっとも思いました。終わり方が終わり方だったので時間に期待です

2017年12月31日

この小説では架空の病気の少女が取り上げられていて、その透明感があり、どこか悲しげな表情をしている姿を何度か思い浮かべました。

主人公が突如として自分の前に現れた苦悩に頭を抱え、しかし、その苦悩を楽しみ、徐々に大切なものを見つけて成長していく姿が印象的でした。

消えゆく命だからこそ、見つけられる世界があるのかもしれないな、と思う作品でした。とても、感動させられました。

2017年12月31日

読書状況 読み終わった [2017年12月31日]
カテゴリ 小説

家族の1人1人の葛藤や成長が見えてくるような本でした。特に双子の姉妹のところが印象に残っています。家族の絆の重みや、それがあることによって生まれる強さを感じました。

2017年12月31日

読書状況 読み終わった [2017年12月31日]
カテゴリ 小説

映画『言の葉の庭』が好きで小説も気になっていたので、読みました。

まず、目次を見て「秋月孝雄」「雪野」以外の名前が並んでいることに驚きました。てっきり、秋月君と雪野さんの2人の視点を書いているのかと思っていたので、目次を見ただけでワクワクしました。

映画は何十回と見ているので、秋月君と雪野さんに関しては、小説の掛け合いを見ながら、こんなかけないなかったなとか、こんな思いだったんだと新しい発見がありました。特に、雪野さんの心理描写は少し意外だな思い、でも雪野さんも普通の人間なんだなっと気付かされました。映画では謎めいた女性像が最後までつきまとっていて、どこか違う世界の住人のようなところがありますが、小説版を読んですとんとはまりました。

映画では語られていない部分も多くありました。特に、伊藤先生、相澤先輩は映画で憎まれ役となっていますが、小説版を読んで、自分が同じ状況下におかれたら彼らと同じ選択肢をとる可能性もあるなと思い、少し見方が変わりました。人の不器用さと、人と人とで伝わらないことの多さを思い知らされました。

「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから」、そんな人間味がないようで、すごく人間味がある言葉が、言の葉が心にしみる1冊でした。

2017年1月14日

読書状況 読み終わった [2017年1月14日]
カテゴリ 小説

書店で目に止まって、『天才ハッカー安倍響子』と作者が同じだと思って書いました。

あらすじだけを見ると、女子高生が主役の物語なのかな?と思うのですが、物語として世界線が前作の『天才ハッカー安倍響子』とつながっています。登場人物やラスクのこともわからないので、前作を読んだ方が内容の理解が深まります。

内容としては、昨今のセキュリティ問題に対して扱っていて、それを初心者の方にもわかるように解説されています。私自身も情報系ですが、用語解説されている解析ソフトの存在をしらなかったので勉強にもなりました。再びラスクが登場して来たことは嬉しかったですし、安倍と青山の恋がカメさんペースで進んむのはもどかしいけど、見守りたいという気持ちになりました。女子高生側は、恋愛の発展はあれど、青山たちのようなお堅い話もなく、2人が技術的に成長した様子はあまりなったのは少し残念かなっと。技術的な面は吉沢氏が全て持っていている感じがしました。

とても楽しく読んでいたのですが、ただ文章が読みづらかった。章がきちんと区切られておらず、ページが変わったり、1行だけの隙間を挟んでどの登場人物の主観にいるかが変わるという構成で、自分が今どこにいるのかわからなくなるようなことが多々ありました。物語があっちに、こっちにと移り変わるからしょうがないのかもしれませんが、もう少し構成がわかりやすいと★5にできました。

2017年1月14日

表紙買いをしました。はじめは恋愛小説なのかな?と思って手に取ったのですが、ミステリーというか、ホラーというか、何か別のものでした。

物語自体は読んでいるときは、得体の知れないものの怖さを感じました。最後で話が終局するのかなっと思えばそうでもなく、ちょっともやっとしました。物語には引き込まれて、いつの間にか自分も夜行の世界の迷路に入っていたような感覚を味わいました。

2016年12月30日

読書状況 読み終わった [2016年12月30日]
カテゴリ 小説

第1部が完結する巻でした。いろいろな思惑が混ざり、ぶつかり合い、ようやく決着がつきました。アルスラーン出生の秘密についても明かされますが、個人的には既に本来の王太子が誰なのか伏線が貼られているように感じます。このような展開になるとは...と最後まで目が離せませんでした。

2016年12月30日

読書状況 読み終わった [2016年12月30日]
カテゴリ 小説

2016年11月現在、荒川弘の絵でアニメ化されたのはこの巻までです。「風神乱舞」はアニメのサブタイトルにもなっていました。

ギランの街に移動したアルスラーン一行の話に関しては、アニメと比較するととですが、シャガードの人間性がさらっと書かれているように思えました。もしかしたら、アニメで見ていた分、新鮮味にかけていたのかもしれません(あまりアニメとばかり比較するのも良くないですが)。

それぞれの内心が垣間見えるのが小説の良いところですが、アルスラーン達よりも、個人的にはキシュワードやギルカールの内心が読み取れるのが凄く良かったと思います。アルスラーンと道は違えていますが、彼らは彼らなりの葛藤があって、人間らしいといいますか、アルスラーンにとっては味方といえる立場ではないのでしょうが、彼らに同情をしてしまいました。一方で、アルスラーン達は純情に進んでいるように思えました。

この間ではザッハーク側の陰謀も見え隠れするので、その点も今後どうなるのか気になりました。

2016年11月26日

読書状況 読み終わった [2016年11月26日]
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医学的な知見に根拠のあるような作品というものに、出会ったことがなかったので新鮮味がありました。推理小説のジャンルとしては新しさがありましたが、推理の内容自体としては簡単に推測がつくことが多かったため、内容的な斬新さを感じませんでした。「あーやっぱりそうなのか」という感じです。それと他の小説と比較すると、キャラの確率がきちんとなされてないように感じたため、「これは本当にこのキャラなのか?」と感じる部分がありました。その点に関しては、続編が出ているので、そちらを読み進めていく中でキャラが確率されればいいかなと思います。

話はのめり込めりこめましたが、少し内容自体の厚みにかけるため、続編でどうなっていくかを見守りたいと思います。医学的な知見が入る点では非常に面白かったです。

2016年11月26日

読書状況 読み終わった [2016年11月26日]
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帯には伊藤計劃さんと円城塔さんの合作と書かれていますが、私には死の描写が伊藤計劃のそれとは異なるものに感じられたため、この作品は円城塔さんの作品という認識をしました。

この本を読んでいて人間とは何なのか、生きているとは何なのか、自分とは何なのか、屍者と生者の違いは、他者と自分との違いは、精神と肉体は分離可能なものなのか、魂は存在するのか、そんな多くの問いを考えさせられるような作品でした。私は、この物語の中ではその答えは見出せていないように思います。ひとえに、これは人間にとって永遠の問いであり、1つの物語のなかで結論づけられるものでもなく、それは個人個人が見つけるべきものなのでしょう。

この作品の主人公ワトソンには、常にフライデーという屍者がついています。フライデーの存在があるからこそ、生者が際立ち、ワトソン自身もその違いに疑問を持ち続けられるのだと思います。特に後半でのフライデーを通して行われることがありますが、これがフライデーを単なる物として捉える、それとも生者の果てとして捉えるのか、ささいなことですが、物語に対する感じ方が大きくことなる気がします。ワトソン自身がフライデーに問う場面がありますが、そこでどう感じるかは読み手によって大きくことなるでしょう。

私はこの物語に、これまで上げたような問いの解を求めてはいません。この物語は、生と死に対して新たな1つの視点を手に入れるためのもと私の中では位置付けています。ワトソンのように、それを問い続けること自体が私には生きている証しに思えます。

2016年11月26日

読書状況 読み終わった [2016年11月26日]
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今回はパーティのみんなの思っていることが見えてくる回でした。今までほとんどハルヒロの一人称視点で物語が進んでいたので、なんというか違和感のようなものを少し抱きました。ハルヒロを通して見ていたランタ、ユメ、シホル、クザク、そしてメリィが自分の中のみんなと違ったのかもしれません。それと、今回はいつもよりも話が進まなくて、みんな足踏みしているような印象を受けました。

2016年11月6日

読書状況 読み終わった [2016年11月6日]
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私の頭の中にはどんな「虫」がいるのだろうか、そう考えさせられる作品でした。

私たちが生きている現代、特にスマホの普及によって誰もがインターネットに接続できるようになったここ数年は人と人との繋がりが変わりつつあると思います。そんな中、人嫌いというかたちで高坂と佐薙は、そんな社会と距離を置いています。人はつながりを求め、つながりの中に身を置くことで自分の価値を見出す生き物です。その性質から離れた2人はある意味、人らしくないと言えます。そんな2人(もしかしたら佐薙は違うかもしれませんが)は、社会復帰をして人らしい生活をしようとします。しかし、そんな2人こそが私には人間らしく思えました。社会復帰を目指して行動していく中で、心の深いところで繋がっていく2人は、現代の上部だけの人間関係を気づいている人々よりも、よっぽど人らしいと思います。

私には2人が羨ましく思えます。上部だけの人間関係、それから離れて1人になれたら、どれだけ幸せでしょう。しかも、そんな状況下で何も変えがたい大切なものを見つけられたら、どれだけ幸せでしょう。しかし、そんなことはできない。2人のように1人になる理由もなければ、私たちは繋がりが消えることが怖い。そんな風に、2人の物語を読みながら、自分自身のつながりについて考えていました。難しい問題でしょうし、答えなんてどこにもないことは分かっていながら。

私の中の「虫」は捻じ曲がっているに違いありません。でも、「虫」と生きる以外に道はないのでしょう。

2016年10月17日

読書状況 読み終わった [2016年10月17日]
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苦難を乗り越えて異世界からグリムガルに戻ってきたと思ったら、またハルヒロたちに壁が立ちふさがりました。なんか苦労して異世界から戻ってきたのに、また別の異世界に飛んでしまったかのような印象を受けました。

これまでもハルヒロたちのパーティには、たくさんの苦悩がありました。今までは一緒に乗り越えてきたのに、今回ばかりはそうもいかなくて、パーティのメンバーが各々に悩んで、考えていました。やはり特に主人公のハルヒロは翻弄されてばかりです。

今回は分岐点の1つになると思います。今後どうなるのか、不安もあって色々と仮説を立てたりしますが、彼らにどんな物語が生まれるのか期待しています。

2016年9月10日

ハルヒロたちの異世界生活、まさか異世界から更に異世界に飛ぶとは…予想できませんでした。グリムガルやダスクヘルムよりも手探りで生活、狩りをしていく様子は新鮮味があって凄くいいです。仲間の中にも変化が生まれてきます。こういった人間模様を見ると、パーティのなか、いつも顔をあわせる相手との距離感て難しいんだなと思い知らされます。もちろん、主人公のハルヒロもどんどん成長していきます。

2016年9月7日

私は映画を見てから小説を読みました。個人的には、映画を見てから読んだ方がいい小説だなて思いました。映画を見てからの方が、新海誠さんの映画の特徴でもある美しい風景描写が浮かび上がってくるし、あのとき瀧は、三葉はこんなことを思ってたんだて気づくことができます。あとがきで新海さんは、小説は二人の一人称、映画は第三者の視点も入ると書いています。ここを読むと、映画での視点てどうだったけ?と気になって、また映画館に足を運びたくなりました。

星が1つ欠けているのは、普通の小説に比べて文量に物足りなさを感じたからです。映画を見てからじゃないと、情景描写が浮かび上がりにくいかなっと。

2016年9月6日

読書状況 読み終わった [2016年9月6日]
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話がぶっ飛んできましたね。嫌いじゃないです。この巻で、ソウマとアキラの実力が垣間見えますが、想像するだけでカッコイイです。巨大な敵に立ち向かっていく姿は、大きな背中がカッコイイです。ハルヒロの内心が凄く揺れ動いていて、頑張れって応援してしまいます。これだけ内心が揺さぶられているのに、客観的に自分すらも見ているところは共感してしまう部分があって、ハルヒロが主人公で良かったなと思いました。

2016年9月5日

読書状況 読み終わった [2016年9月5日]
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アメリカ映画の『ゴースト』を彷彿させるような作品でした。恋愛メインの小説なので、少し辻褄というか、理論が話のなかで合っていないなと感じるところがありました。最後が含んだ終わり方になっているのですが、短編小説なのでもっとスッキリさせても良かったのかなと感じます。著者の価値観は面白くて、新しい見方だなと感じました。

2016年9月5日

読書状況 読み終わった [2016年9月5日]
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この本の初版発行は6月25日ですが,表紙通り春を感じさせる作品でした.一概に恋愛小説ということはできませんが,そういった側面が大きかったように思います.登場人物の6人,それぞれに個性があって,それぞれに物語があるので,作者(天沢夏月さん)はどんな人生を歩んできたんだろうと気になりました.

十年前の自分を考えてみて,自分は十年先のことなんて考えていなかっただろうなってそう思います.この登場人物たちの高校での状況は,自分の分岐が違えばそうなっていたかもしれないようなものばかりです.だから,自分がこんな状況ならどうするだろう?自分は前を向いて歩けるだろうか?そう思いもしました.

本を読んでいるときは楽しかったし,物語にのめり込みましたが,ふとその集中が途切れると,自分はどうなんだろうと考えされられていました.自分を振り返ったり,自分の未来を考えるのにも良い作品だと思います(こんなこと感じたの自分だけでしょうが).

2016年8月22日

読書状況 読み終わった [2016年8月22日]
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ハルヒロたちがここまで力をつけるなんて予想外でした.チームトキムネが個性的で,いろいろな変わり者がいて,真面目な場面でもアクセントがありました.この巻はハルヒロの心情が今までの巻よりも,より鮮明に描かれていて,リーダとしてどう成長していくのか楽しみです.私はミモリ好きなんだけどな…

2016年8月22日

読書状況 読み終わった [2016年8月22日]
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