(15-92) 年末の忙しい時期に手に取ってしまったが、面白すぎて引き込まれ、あっという間に読み終わった。
私が好きなタイプの主人公なのでたっぷり思いいれ出来たのも良かった。途中で主人公交代となるが、パッと変わるので戸惑っている暇もなかった。
明治の貴族のことが色々説明してあって、ミニ知識が増えたようなお得感。
山口恵似子さん、いい仕事してます。

カテゴリ 時代小説

(15-91) 私が宅配便と聞いて抱くイメージは、個人がダンボールに詰めて誰かに送るというもの。だけどそういうのはいまや宅配便のごく一部だと知った。料金表に書いてある料金で送られる荷物は個人が出すもの。ほとんどの宅配便は値引き合戦の挙句ぎりぎりまで値下げ。結局働いてる人にしわ寄せしちゃってるんだ。
人は楽をしたり安かったりを経験すると、もう元には戻らない。ほんとは適正な価格があるはずなんだけど・・・・。
ヤマトの人の雇い方には疑問だらけだ。教育もマニュアルもなしによくちゃんと荷物が届くなと驚いた。
私はアマゾンで度々買い物をするのだが、アマゾンのえげつなさに利用者として後ろめたさを感じてしまった。

(15-90) 初読み作家さん。
ブラウスの上から十二単という不思議できれいな表紙に惹かれ手に取った。
私立図書館の館長が小野篁!なんて私好みのお話。好感が持てたのは、邪悪な霊を調伏するんじゃなく、本当は善行があったから天道に行けるのにうっかり迷った魂を救う話だということ。だからどの話も読後感が良かった。
篁と姫の過去のいきさつも、ところどころに挟まれていてバランスが取れていた。満足です。

カテゴリ ファンタジー

(15-89) もう4冊目になるこのシリーズ。毎回ひどい目にあってる設楽だが、どんどんひどさが増してない?とても気の毒になった。
今回あまり好きなタイプではないのに気になる登場人物がいて、最初の頃はその人が出てくる章を読むのが苦痛だった。いや~な終わり方になったらどうしようと心配もした。でもラストのほうでなんだかすっきりしたのでほっとした。海月とかかわったことは不運なようで幸運だったね。

(15-88) こんな工夫をした仕掛け絵本を考える人がいるんだ!面白い。ただ一度驚くと大人の自分は何度も読みたいとは思わないけど、子供は違うかな。
図書館で借りるとき、本の材質のせいだと思うけどバーコードの読み取りに係りの人が苦労していた。うまく貸し出し処理が出来たか部屋の外へ本を持って出て確認してくれた。無断持ち出しで警告音が鳴るといけないからって。思わぬ落とし穴がある本だ。

カテゴリ 絵本

(15-87) 結婚はされなかった黒柳さん。でもユニセフ活動で世界中のたくさんの子供を救ってきた。いろいろな方と家族のように親密な付き合いをしてきたこともこの本で知った。きっと一つの家庭で収まるには大きすぎる方なのだろう。
長く生きてきたということは、多くの別れも経験するということなのだなあ。黒柳さんのおかげで、亡くなった方の人生がありありと見えてきた。
ちょっと湿っぽい話題が多い中で「世界ふしぎ発見!」のところはとても楽しい内容だった。スタッフとの攻防がこんなだったとは!

カテゴリ エッセイ

(15-86) 若い頃同じ道場に通っていた仲間が今は色々な立場になり、協力したり敵対したり・・・。これは畠中さんの作品に頻繁に出てくるお馴染みの設定だわ。まだ若いのだがほろ苦い思いを抱え、何とか世を渡っていく彼らの物語がとても良かった。
巾着鶉って初めて知った。丸っこい身体をしてるし、確かに懐いたら可愛いだろうなあ。今でもそうやって飼ってる人はいるんだろうか。

カテゴリ 時代小説

(15-85)  私はミステリで普通ではありえない能力を使うのはいやなのだが、一応(屁)理屈でも納得させてくれるんだったらOK。今回はまあ納得できた。
ただ登場人物たちにいまいち思い入れ出来なかったのが残念。その中で好感が持てたのは狂言回しみたいな役割の青江先生かな。
最後の方に出てきた、ある感情の欠損の遺伝まで踏み込んだことには抵抗感がある。それなしでも良かったのにと思う。

(15-84) 今、認知症予備軍がいっぱいいるとかどうやったら予防できるとかの情報が注目されてるけど、すでになっちゃってる人達にはその情報は逆につらいものがある。
いいじゃない、認知症でも。それを受け入れたあとに自分らしく生きる道があるよ!という力を与えてくれる本だと思う。
認知症になるのはいやだ、何とかならない方法はないかというより、一緒に生きようとする方法を探すことの方が大事だと思った。

(15-83) この子達なんでこんなに作り物めいているんだろう?堅そうだし。そう思って不思議だったが「走査型電子顕微鏡について」を読んで納得。つまりはく製みたいなものなのね。死んでるんだ。
私はこんなにくっきりしてなくてもいいから、生きて動いているところを切り取った感じの写真の方が好きだな。

(15-82) 明子さんの摂食障害について、今まで読んだり聞いたりしていたよりずっと詳しく書かれていた。なったきっかけや治していった過程など。その当時の記憶が飛んでいたこともあったのが、だんだん思い出せたことも多いのだとか。
今回初めて知ったことの一つが、治療途中で仙台に戻った彼女を助けるのに大きな力を貸してくれたのが、本郷理華選手のおばあさまだったということ。そんなつながりがあったんだ!理華ちゃんへの明子さんの力の入れ方はそれを知って分かった気がする。
いっぱい苦労をしてまた新しい挑戦をしている明子さん。きっと多くの選手を育てる人になるだろうと確信してます。

カテゴリ エッセイ

(15-81) 小説の形ではあるけれど、おそらくノンフィクションにとても近いのだろうと思う。カレー事件に深く関わった教授が克明に語る。テレビで大騒ぎをしていた時、警察に協力して苦労していた民間の方々がいたことは初めて知った。
小説では犯人を逮捕してそれで解決になることが多い。実際にはそこからまた裁判という大変な時間が始まるのだ。
著者は「カレー事件にいたった背後の事件を起訴しなかったことに対する抗議」を書きたかったのかもしれないと読み終わって思った。

カテゴリ 現代小説

(15-80) 『あしたの朝子』『食堂のおばちゃん』は、彼女の信念である「小説家の人生に失敗はない。全部ネタ」を実践したものだということが、この本を読んでよく分かった。そしてこの本もまた人生をぶち込んだ一冊。とても面白く読んだが、人生そのままを書くのはこのあたりまでだろうと思う。時代小説も一冊読んだが、ちょっといまいちの感じがあった。
今後は人生は下のほうに流れてはいても、もっとフィクションが多い小説を期待したい。

カテゴリ エッセイ

(15-79) 私はほとんどアニメを見ないしと思って読んでなかったのだが、皆さんが面白いと言ってるので図書館で借りた。お仕事小説としてほんと、面白かったわ!アニメ製作って大変だろうなとは思ってたけど、ここまで分業されてるんですね。監督とプロデューサーの力関係が、それぞれの組み合わせで違うのはきっと映画やテレビでも同じだろうな。
私が最近(といってもかなり前か?)見たテレビアニメは「氷菓」だけ。そのとき初めてネットで「聖地巡礼」を知った。自然発生的なものかと思ったが、いまや自治体が仕掛けることもあるのか。
小説は面白かったけど、二つのアニメが現実に放映されても私はきっと見ないと思う。そこがちょっと残念だ。

カテゴリ 現代小説

(15-78) オリバー・サックスとNHKのドクターGを混ぜたような感じの本だった。時間も患者もあちこち飛んで、え?その後は・・・とそれっきりになるケースもあり、たくさんの話がぎっしり詰まってややとりとめがない構成。でもすごく興味深い内容で、結構分厚い本だったのに読みきった。
患者のある一時期しか関われないことも多くて、現実の医者と患者はこうなんだよなとドラマや小説との違いを感じた。
脳死についても色々考えさせられた。読んで良かったと思う。

(15-77) 書店にフィギュアスケートムック本がたくさんあったので何か買いたくなってしまった。でも全部ビニールパックされてて中が見れない。一度ネットで評判をチェックしてからにしようかなとは思ったのだがついこれを買っちゃった。恥ずかしくなるほどの題名なのになんでかというと、たくさんの名前の中にペーター・リーベルスを見つけたから。へ~何で彼まで?何を思ってこの編集?興味が押えられなくなった。
中身はほぼ写真集という感じ。すがすがしいほど羽生選手が基準で半分以上は彼のページ。そして同年代、少し上の年代、少し下の年代、と3つに分けて一人1~2ページを使って写真と説明。楽しみました。

カテゴリ 解説本

(15-76) もし私が一人暮らしで近くにこの食堂があったら、家で料理しないと思う。一日一食しっかりここで食べて、後は適当に・・・。
食事シーンがたくさん出てきてともかくおいしそうなんだ。作る時からすでにおいしそうでわくわくしちゃう。全然気取ってなくてレストランじゃなく食堂。どんなに年をとっても食堂ではおばあちゃんじゃなくおばちゃんって呼ぶのね。
この一家と回りの人たちのこれからも知りたいんだけど、続編はあるのかなあ。

カテゴリ 現代小説

(15-75)上・下巻をまとめて。
私はシリーズに出てくる子供たちは皆好きだが、ディックとドロシアのカラムきょうだいが特に気に入っている。街育ちなので他の子たちよりキャンプや帆走の技術は劣るが、頭が良く冷静に対処できる長所を持っている。この巻では彼らの力が充分発揮されるのでとても楽しく読んだ。そして大おばさんのマリア・ターナー、私は結構好きだな(友達にはなりたくないけど)。それぞれの子供たちの親とは全く違う「ザ・大人」という人種。この人が出てくるので物語がすごくリアルになったと思う。

カテゴリ 児童書

(15-74) 俳句甲子園って聞いたことはあったが、こういうものだったのか!競技として行うなんて俳句にはそぐわないと思ったが、読んでいるうちに「それもアリだ」と考えが変わった。子供の頃から親しんでいる子も中にはいるだろうが、ほとんどの高校生にとって俳句を作ることは授業くらいしか経験が無いだろう。超初心者でも参戦できる大会のやり方は良く出来ている。ふと連想したのが東大野球部のこと。彼らはどうしても技術ではかなわないので、知識と作戦で何とか他校と対戦しているらしい。文学としてこのまま進めて良いかは異論もあるだろうが、高校時代の体験として素晴らしいと思った。

(15-73) 最初は連作短編かと思ったけれど、これは長編になってた。時代小説だけど、最近お客が減ってる商店街って今あちこちにあるね。
風が通らないから「風待ち小路」という名前もやや景気が悪い。でもそこで何とかしようとする年寄り連中と若手経営者たちの様子に頼もしさを感じた。
ラストのあたりはちょっと都合が良すぎ?という気もしたけど、いやな読後感よりはそっちの方がいいから良しとしよう。

カテゴリ 時代小説

(15-72) 私にとって初読みの作家さん。連作短編集。最初の一編を読んだ時後味が悪くて、これはいやな読後感になるのでは?と心配した。読み進めると良い感じのもあるし、次の作品はちょっとだけ前のとリンクしてる構成なので興味を引かれてどんどん読んだ。連作だけどぐるっと回って帰っていく話は私の好み。
読み終わって・・・、哀しいけれど良い話だったと思う。

カテゴリ 時代小説

(15-71) そういえばあったなあ、ネパールの事件。新聞で読んでも、なんなんだ?って訳が分からないうちに報道もされなくなったようだった。
万智はジャーナリストになったんだ。そして苦悩してる。でも止めないのは知りたい気持ちを抑えられないからかもしれない。知って伝えたい。私はその恩恵を受けている。万智のような人が伝えることをちゃんと受け止め、サーカスとして消費しないようにしたい。

(15-70) 神様みたいな良い人が亡くなって、嘆き悲しむ人ばかりのお通夜。でもこの題名だものなにかあるよね。で、やはりぽろぽろと出てくる。
いや~面白い!期待を裏切らない展開で事件なのにユーモアが散りばめられてるから重すぎず、するする読める。そしてまた一転、さらにまた。そういう二転三転は大好き。
だけど最後20ページも使って真相を語るのが惜しいと思った。あそこは2~3ページで読者に「あれ?あれれ?そうだったんだ!」と一気に悟らせ終わってしまう書き方にしたほうが良かった。まあデビュー作だし今後に期待かな。

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(15-69) 「王とサーカス」を読む前に再読。私はこれが米澤さんとの出会いで、この後「氷菓シリーズ」など読んだ。先日インタビュー記事で、実はこの小説は氷菓のシリーズとして準備したものだと知りビックリ。諸事情あって別の出版社で、単独の話になったとか。そう思って読むと登場人物たちに氷菓の面影が見えてくる。
出版時すでに過去が舞台。そして今読むとまた違うことを思う。クロアチアは現在素晴らしい観光地としてテレビでよく取り上げられている。マケドニアは難民を出す側ではなく、難民が押し寄せている。マケドニアを目指しているわけではなく、陸路を更に北を目指しているのだが。
そもそもユーゴスラビアとして一つの国にしたのは良かったことなのだろうか。この本を読んだことで、またいろいろ振り返って考えている。

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