スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765572

感想・レビュー・書評

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  • 私が読んだ本の中で一番、とびきり、大好きな本。
    一度読んでから是非とももう一度読んでほしいなと思います。
    実はたくさんの伏線があって、再読するとそれに気が付いて「ここでも実は!」という場面が多々ありました。

    最終章はもう何度読み返したか分かりません。全ての愛情がこの章に込められているような気がします。愛は執着、その言葉がずっしりと心に響きました。愛の形は人それぞれだけど、確かに執着しない愛は少ないかな、と思います。

    コウちゃんは相変わらずかっこいいなあ。

  • 私は本を読むのが好き。映画を観るのも好き。絵画や音楽も好き。大切にしている作品もいっぱいある。
    だけど、ある作品(本であったり、映画だったり、絵だったり、歌だったり)によって、自分の人生を左右された憶えはほとんどない。もちろん、『あの年齢』のときに『あの作品』に触れていなければ今の自分は存在していないという、そんな思い出がある筈もない。
    作品に触れて感じるのは「好きか嫌いか」「面白いか(印象的だとか、魅力的だとか、興味深いとか、感動したとか、そんなものみんな含めて)否か」それだけ。
    理由を考えてみる。私の感性が鈍いのだろうか。冷めているのかもしれない。そしてもうひとつ。それは、私が何かに救いや心の拠り所を求めなければならないほどの辛い思いをしてこなかった。家族やまわりの環境に恵まれ、平凡ながらも幸せな日々を送ってきた証なのかもしれない。この本を読んで、ふとそんなことを思った。

    構成・展開もうまく、良い作品だ。
    丁寧に綴られ、そしてクライマックスに近づく第12章~最終章では、コウちゃんと環の互いをそっと思いやる深い想いに、心が震え、胸が熱くなった。
    いつか再び、今度はもっとゆっくり読みなおしてみよう。
    この本を読むきっかけをくれたのはブクログのお陰。感謝!

    • koshoujiさん
      なかなか意味深いレビューだなあと思いながら拝見いたしました。
      『スロウハイツの神様』、作品世界に入りにくかったとは思いますが、最後までお読...
      なかなか意味深いレビューだなあと思いながら拝見いたしました。
      『スロウハイツの神様』、作品世界に入りにくかったとは思いますが、最後までお読みになられ、なんとかご満足いただけたようで、とてもうれしいです。(^_^)
      (追記)
      初めての有村浩作品、「三匹のおっさん ふたたび」を読んで、久々に嵌りそうな作家に出会いました。。
      2012/06/09
    • koshoujiさん
      コメントありがとうございました。
      辻村深月さんの最新刊がおそらく来週か再来週には図書館から連絡が来ると思うので、楽しみに待っているところで...
      コメントありがとうございました。
      辻村深月さんの最新刊がおそらく来週か再来週には図書館から連絡が来ると思うので、楽しみに待っているところです。
      お薦めいただいた「永遠の0」ですが、実はあの本、半年ほど前、チャレンジしたことがあるのです。
      ただ、冒頭部分で物語に入りきれず、途中で挫折し、図書館に返却しました。
      でも、みなさんの評価は高いですよね。
      私は、子供の頃(小学校高学年時代)実話の戦記物(『実録太平洋戦争全八巻』とか『山本五十六その生涯』とか)が大好きで、相当数読んだ過去があり、太平洋戦争の話に関しては、おそらく他の人に比べるとかなりの知識があると思うのです。
      ガダルカナルの悲惨さとか、シンガポール死の行進とか、アッツ島・キスカ島玉砕とかの実話を読んで、あまりの悲惨さに、子供ながらに涙が止まりませんでした。
      それらに比べると、体験者の語りの導入部分が淡々としすぎて、少しばかり物足りなかったのかもしれません。
      でも、そこを堪えて「スロウハイツ」のように、挫けずに最後まで読み切れればよいのかなあ、と思っているところです。
      今はとにかく、発売前や直後に予約した本が、雪崩を起こしたように図書館に到着している状態で、それを読みきるのにヒーヒー言っています。
      こういうのを“うれしい悲鳴”と言うのでしょうね。
      新刊の予約本は後ろがつかえており、延長できないので、落ち着いたら再チャレンジしてみます。
      2012/06/10
    • sorairokujiraさん
      私も、こちらにお返事させていただきますね。メッセージボックスとかがあればいいのにですね。
      『夏天の虹』楽しみですね。次が出るまでが長いのでと...
      私も、こちらにお返事させていただきますね。メッセージボックスとかがあればいいのにですね。
      『夏天の虹』楽しみですね。次が出るまでが長いのでとても待ち遠しいですよね。

      私が本を選ぶ方法は色々あるのですが、ひとつはこのブクログ。
      honaoさんも含めて、お気に入りの人は、読む本が似ているので、レビューを見て参考にさせてもらってます。ブクログさまさまです。
      図書館や本屋で表紙や帯を見て、選ぶのも普通ですが、ネットで「泣ける本」とか検索をかけて読んでみたりもしています。
      笑いのツボはそれぞれに違うので、笑える本は、当たり外れがありますが、泣ける本はあまりハズレはないので、参考になりました。
      こんな感じです。

      honaoさんとは好きな本が結構似ているので、嬉しいです。
      これからも、よろしくお願いします。
      2012/06/18
  • 「なんなんだこの本は!!!」
    というのが読み終わった直後の感想。

    悔しい。本当に悔しい。

    この本でこんな感動が待っていたなんて(>_<)!!

    涙が止まらなかった。

    人はこんなにも誰かを思いやることが出来るんだって温かい気持ちになれた。

    感動させられて、涙が止まらなくなって、切なさと優しさ・温かさをくれた本でした。

  • すっごい良かったです!!
    ってかこういう話だったんだ ってびっくりしましたけど・・・
    こんなに泣ける話なの?聞いてない~(ノ◇≦。)

    これは、伏線たっぷりで、読み終わってすぐにもう1度読みたく
    なるタイプのお話ですね~。
    「あ~、あの時のあれはそうだったの!!」
    「その時も??」みたいな楽しさが満載です。

    みんな素敵だわ~。
    残虐な事件から始まり、辛い出来事や悲しい出来事もたくさん
    書かれています、でもこれは優しさのいっぱい詰まったお話でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「これは優しさのいっぱい詰まった」
      辻村深月の優しさって、心に沁みてくるよね。
      「これは優しさのいっぱい詰まった」
      辻村深月の優しさって、心に沁みてくるよね。
      2012/09/06
  • 上巻で深められた登場人物達がどのような結末を辿るのか期待しながら読んだ下巻。
    まさかのスーと正義が別れる所からスタート…変わらないことなんてないけど、スーと正義のカップルを推してたから少しショック。
    でもそこから正義が覚醒し映画監督として花開く展開は納得した。

    正義や狩野が物語に与えた意味について、私はコーちゃんとの対比というか、ひとつの創作者の在り方の提示かなと感じた。
    正義は現実世界で感情を閉じ込めないとそれが作品に出てこないつくり手だった。
    同じく狩野も闇の引き出しを持ちながらもそれを作品に昇華することを拒んだ。一方で闇の引き出しをもって活躍のきっかけを掴む。
    その一方で、コーちゃんは書き続けた。スロウハイツの生活という幸せの中でも。コーキの天使ちゃんという光をもって。

    コーキの天使ちゃんの正体含め、これまで謎だった部分が綺麗に回収されてさすがだと思った。
    纏めると盛大な両片思い。エピローグの満足感がすごかった。

  • 上巻をサラサラっと読んでしまった事後悔しました。
    下巻の後半からもうみんなの事が大好きで…
    究極の愛かな、素敵な話でした。
    余韻が残ります。切ないけどとってもあたたかで涙が溢れました。

  • 届きそうな月。
    クリエイティブの卵たち。

    優しい神様の眼差し。
    不器用な神様の贈り物。

    下巻までなんとか辿り着いて
    最後に自分にまで贈り物をもらったような
    温かいお話しが隠れていました。

    痺れました、思いっきり。

  • チヨダ・コーキしか勝たん。

    の一言に尽きる。
    いや嘘、登場人物みんな好きなんだけど、チヨダさん。ちょっと反則ではないかい。

    圧巻の伏線回収。予想通り一気読み。
    伏線張られてるって聞いてたし、身構えてたのに、やられた。ちょっと悔しい。
    この小説の後の展開を想像してついにやけてしまうくらい、爽快なエンディングだった。

    登場人物が全員クリエイターっていうのもあるけれど、なんというか、創作することで他者に与える影響の大きさっていうのを改めて痛感したし、刺激を受けた。これは小説だからというわけじゃなくて、現実でもそうなんだろう。
    何かを生み出すって、やっぱりすごい。

  • おいおい、辻村深月、やってくれたなーヽ(;´ω`)ノ
    (↑呼び捨て、ホントすみません。)
    上巻では、登場人物紹介のような長い話で
    心が動かなかったけど、なんだこの下巻は!!!!
    もぅ、このやり方は「名前探しの放課後」と一緒ではないかー!?
    最後の「二十代の千代田光輝は死にたかった」で
    いろんな伏線を回収されたー!!!!
    もぅ、ホント気になり過ぎて一気読みでした。

    環が上巻で受け取っていた荷物は、幹永舞が書いた
    「ダークウェル」原稿。
    それがスロウハイツに届いたということは、
    幹永舞はスロウハイツにいる誰かということ?
    環は住人全員を呼び出したが誰も名乗らない。

    そうこうするうちに、環は海外を視野に活動しようとする。
    スロウハイツから出ていく。
    そして、スロウハイツの住人もそれぞれの場所で
    活躍するために退去していく。

    いろいろな人物が考えている中、最後はチヨダ・コーキの
    話となる。
    コーキの天使ちゃんなる人物に自分は救われたこと、
    その天使ちゃんを自分なりに探したこと、
    天使ちゃんがいたから、小説をまた書けたこと。
    それが、すごくよかった。
    コーキの天使ちゃんの手紙の内容もよかった。

    私が書いてる感想が飛び飛びしてるから、
    「えっ?これのどこがおもしろいの?」と思うだろうけど、
    私は良かったなー!!
    今、学生さんだとなんか響くものがありそうー!!

  • 後半、コウちゃんのいろんな愛と気持ちが伝わってすごく感動した。というか、きゅんとした、というか。でもそんな陳腐な言葉では表せない感情の高まりが、読んでいて止まらなかった。人一倍優しくて人の気持ちに気付く鋭さをもっているコウちゃんがまさか、最初から環を想っていたこと。陰で環のためにしていたこと。その行動全てが愛で溢れてた。本当に心から環のことを願って、自分を助けてくれた「コーキの天使ちゃん」に恩を返す気持ちで。途中から、それがどんどんコーキの希望に、幸せを祈る気持ちに変わっていくところがすごく、すごく感動した。いろんなところに小さな伏線が散りばめられていて、あぁあれはそういうことだったのかと後から気付くのがとても楽しかった。しかも、鋭い二人は自分が気づいていることをお互い言わない。そして、そうやって距離を保って生活してきた二人のことを思うと…。環の強がりの中にいる、子どものままの心は、きっと真実を知らないまま、人をまだ信じていられる理由をくれる素敵な思い出として残っていくんだな、と切なくて嬉しい。「お久しぶりです」そう言った時のコウちゃんの手が、泣きながら家に帰った環の頭を撫でた手が、震えていたのはそういうことだったんだなと。温かい気持ちにさせてくれて、ありがとう。コウちゃん、環、スロウハイツのみんなが、葛藤を抱えながらも、幸せに生きていけますように。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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