スモールワールズ

著者 :
  • 講談社
3.87
  • (788)
  • (1403)
  • (884)
  • (132)
  • (25)
本棚登録 : 12278
感想 : 1127
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065222690

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトル通り世の中にある一つ一つの「小さな世界」がまとめられた作品。
    初めての作家さんだったのでとても楽しめました。
    多くの方から絶賛されている作品だったのでかなり期待して読んだからか、ちょっと物足りなさが。
    でも6作品一つ一つを読見返すとやっぱり面白い。

    『ネオンテトラ』
    『魔王の帰還』
    『ピクニック』
    『花うた』
    『愛を適量』
    『式日』

    どれも登場人物一人一人の姿、そして街の雰囲気を容易に思い浮かべることができ、没入感がとても高かった作品です。

    https://omiomika.com/smallworlds/

    この作品は2021年4月に発行されると書店を中心に様々なところから絶賛されました。

    第165回 直木賞は惜しくも受賞を逃しましたが、その後も読者層を拡大し、読んだ方々から「本屋大賞最有力の作品」との声が次々と挙がっています。

    そんな中で(ようやく)読んだ作品ですが、個人的にはそれら絶賛による期待値が高かったせいか、読後は「あれ...ちょっと期待はずれ?」と思ってしまいました。

    ただ、短編6作品の最後『式日』を読み、その中に最初の作品『ネオンテトラ』につながる場面を見てから、改めて全6編を思い浮かべると、たしかに一つ一つが個性を持っていて、世の中全体にとっては小さな出来事でも当事者にとっては大きな世界がたくさん動いている日常、まさにタイトル通り『スモールワールズ』だなと感じさせられます。

    読んで、間をおいて、一つ一つを思い返してみる。

    あぁ、やっぱり面白い。もう一回読みたくなる。そんな作品。

    確かに本屋大賞、最有力かも。

    1話だいたい30分~1時間で読めるので、多くの方にオススメできる作品です。

  • ゾッとしたり、ホロリと涙が浮かんできたり、なにそれ!って腹が立ってみたり…とにかく様々な感情にさせられる短編集。どの話もそれぞれ良かったが、読んだ後、ほわっと心が温かくなった魔王の帰還は魔王を主人公に続編出してほしいと思うほどお気に入り。

  • 一穂ミチさん、初読みの作家さんだったのでワクワクした。『スモールワールズ』を読んで、他にはどんな作品があるのだろうと興味が湧いた。 

    『ネオンテトラ』『魔王の帰還』『ピクニック』『花うた』『愛を適量』『式日』から成る6編の短編集。

    話の展開を何となく予想しながら読み進めるのだが、良い意味で裏切られ、驚くような場所に着地する6編だった。
    その着地点がイヤミス的な要素を含む話であったり、切なさを感じる話であったり、未来の見える話であったりと大きく印象が異なるので、感想を整理するのが難しい・・・。

    『花うた』と『愛を適量』が良かったが、ラストの1編が『式日』で終わる切ない感じが一番印象に残った。

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      reyoさん、こんにちは

      いつも、いいねをありがとうございます⸂⸂⸜(*^^*)⸝⸃⸃
      私もこの方のこの作品を先月初めて読みました
      ほんわ...
      reyoさん、こんにちは

      いつも、いいねをありがとうございます⸂⸂⸜(*^^*)⸝⸃⸃
      私もこの方のこの作品を先月初めて読みました
      ほんわかしているのかと思っていたら、予想外の展開、着地が多くレビューを書くのが難しかった記憶があります
      他にどんな作品があるのか楽しみですね〜♡
      2024/03/23
    • reyoさん
      ハッピーアワーをキメたK村さん、こんにちは♪

      装丁の可愛らしいイメージに騙されましたよね(笑)
      またオススメがあったら教えて下さいね(*^...
      ハッピーアワーをキメたK村さん、こんにちは♪

      装丁の可愛らしいイメージに騙されましたよね(笑)
      またオススメがあったら教えて下さいね(*^^*)
      2024/03/23
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      お返事ありがとうございます♪
      同じくオススメありましたらぜひお願いします
      (*ᴗˬᴗ)
      お返事ありがとうございます♪
      同じくオススメありましたらぜひお願いします
      (*ᴗˬᴗ)
      2024/03/23
  • 濃厚な短編集でした。
    特に好きな短編は、「愛を適量」でした。

    料理においてよく聞く適量ってこの言葉、本当に曖昧で難しい!
    しかも、適量が味を左右しがち。
    そんな風に、自分が好きな味付けだからと、自分が良かれと思って塩を多めに振ったら、相手の求めている味(こと)と違うってことを痛感するこの話。

    相手の求めていることは、相手への愛がないと気づけないというけど、それが出来る人ってどれだけいるんだろう。(私は自信ありません)
    私を含め、誰しも経験をしたことがあるであろうそうした気持ちのかけ違えに共感して、本作の中で一番心揺さぶられました。

    スモールワールズってゆうタイトルは、短編の主人公達のそれぞれの家族に、それぞれの物語があることを感じさせました。
    街ですれ違う人たちみんなにスモールワールズがあることに、人間が複雑な世界に生きている怖さとグロさのようなものを感じました。

  • 期待せず、最初の短編「ネオンテトラ」は漫画っぽいと思いながら読んでいた。
    「魔王の帰還」で、うるうるとなり
    「ピクニック」の怖さに叫びそうになった。
    (死んだ娘の視点で描かれていて最後に真相がさらりと明かされ警告で終わった)
    「花うた」はまあまあ。
    「愛を適量」「式日」はまた漫画っぽいと思いつつも読後感はさらりと心地よかった。

  • 「ネオンテトラ」「魔王の帰還」「ピクニック」「花うた」「愛を適量」「式日」の6編の短編集。

    「ネオンテトラ」の不幸な少年が「式日」の後輩君なのかな。「ピクニック」が重苦しくて中々読み進むのがきつかった。一般的には不幸な家族の救済の物語ってところなんだけど、何となく既視感を感じてしまう。
    何なんだろう?

    夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

  • ネオンテトラ
    水槽の中
    家族という小さな世界
    母になる
    適量

    初めての作家さんでした。
    短編集ですが、ほんのりと流れている同じものがあります。
    小さな世界で何かしらの大きなものを抱えて生きている。
    図書館本

  • 家族言う6つのスモールワールズ短編集。

    根底はずっしりとした内容の章です。
    小さな窓の家族と言うブラックボックスで、大きな世界で生きていく感動や共感を覚えました。

    どの章も深く重いが、読後、爽快感があります。(ピクニックの章は除く。笑)
    けど、一番好きな章は『ピクニック』でした。
    イヤミス好きの自分には、この喉に来る後味が刺さりました。笑

  • 前後の話でさりげな〜く人や場所が繋がっていて面白かった。世界は狭い。(“スモールワールズ”はここにもかかっているのかな?)
    特に、最後の「式日」を読み終わったとき、また最初の「ネオンテトラ」に戻って読みたくなった。

    心がザワザワするような話と、ほっこりするような話が6話収録された短編集。
    中でも、「ピクニック」の結末はゾワッとした。現実にあり得てしまいそうで怖い。

    お気に入りは「花うた」、「愛を適量」、「式日」かな。

    「花うた」
    淡々と続く手紙の文面と、加害者である秋生と被害者遺族である深雪の少しずつ縮まる距離。

    「くだらないと切り捨てたら何も残らない。何もかもが大事で、なくすと取り返しがつかないと思うと生きるのが恐ろしくなる。でも、あなたや、他の受刑者の人に必要なのは、その恐ろしさを思い知ることじゃないでしょうか」

    秋生が最後に完成させた物語もすごく良かった。


    「愛を適量」
    FtMの娘(息子)と、父親の話。

    「あいつらがあんなこと言ったせいだってなっちゃうだろ。理由とか原因を他人に紐づけてると人生がどんどん不自由になる」
    「言う側の意識なんてそんなもんだよ」

    佳澄の言葉がすとんと落ちた。
    そうか、“自分を大切にする”って大切だなと思った。


    「式日」
    先輩と後輩の関係が良かった。
    一穂ミチさんの作品を読むのはこれが初めてなので分からないけれど、もしかしてこういう雰囲気のお話は得意分野なのかな?

    穏やかで柔らかくて、でも悲しさが横たわる静かな時間が流れている。
    すごく好きだな・・・

    「あの時、本当はここまで打ち明けたかったのかもしれない。わだかまった短い沈黙で心得たふりをして「そっか」と会話を打ち切って、それが配慮だと勘違いしていた」

    「気持ちを、口に出したことはもちろんない。行動で表したつもりもないが、いつの間にか伝わってしまっていた。眼差しだったり、ふと交わした「おはよう」の抑揚だったり、割り勘のお釣りを渡す時の指先のためらいだったり、たぶんそういう儚い気配の積み重ねで。」

    人間関係を築くことって生きていく上で基本避けられないけれど、本当に難しい。なかなかうまくいかないなあ。

    「大人になればどんどん自由になれると思ってたのに、逆だったな」

    この台詞を“後輩”に言わせてしまったことが切ない。。。


    「――誰の人生だって、激動だよなあ。」

  • 思い通りにはならない人生が6通り、淡々と語られる。
    部外者には測り知ることのできない当事者の想いや覚悟が、
    じわっと滲み出てくるような作品たち。
    素敵だなと思ったのは、4作目の「花うた」。
    3作目の「ピクニック」は怖い物語。

    特別ショートストーリーとして刊行された「回転晩餐会」はとてもよかった。
    でも、この本編に関しては期待が大きすぎたかな、というのが正直な感想。
    Amazonのレビューでは、とても評価が高かったのだけれど・・・。
    読書というのは、極めて個人的な行為なのだなあと思った一冊でした。

全1127件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

一穂ミチの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×