御不浄バトル (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453706

感想・レビュー・書評

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  • 悪質な教育教材販売のブラック会社に勤めている主人公が、何とか会社都合での辞職にこぎつけようと、裏で奮闘する話。
    不正の証拠を集めたりと動いていきますが、正義感からという感じがなく、あくまで自分の為というのが逆に清々しい。

    タイトルの通り、ブラック会社の中で疲弊した主人公がトイレに癒しを求め拠点とする為、異様にトイレの中のシーンが多い。
    人と離れて遮断された空間が落ち着くというのはわかる気がするが、ご飯を食べるシーンは少し引いてしまった…。
    うーん、読んでいて気持ちが良くはないが、話の筋はそこそこ面白かった。

  • #読了。
    大学卒業後、新卒で入社したのは高額な教材を売りつける悪徳会社。経理への配属だったので、当初は半ば傍観者だったが、だんだんと風当たりが強くなり、会社都合退職を狙うが。。。
    彼が精神的に落ち着く癒しの場所がトイレ、朝は駅のトイレ争い・・・トイレでの描写がこれでもかと出てくるが、なんとなく笑ってしまう。ブラック企業からの脱出を狙う先の話より、次はどこのトイレ、トイレで何をするのかの方に、期待が向いてしまった。

  • 意外にも初の羽田さん作品です。読メで見かけて「どれどれ?」的なノリで手に取りましたが、う~ん・・・、何とも言えない作風ですね~。好き、嫌いでは分けれないスタイルかなと。合う人は合うし、合わない人はホント、合わないのかなという気がします。じゃあ、私はというと本作だけではなんとも判断しがたいですね。キライではないけど、次々と他の作品も読んでみたくなる作家さんかと聞かれると、正直自分の中では読むべき優先順位が高い方には位置しないかなと。どこかブラックユーモアみたいのがあるかと期待しましたが、残念ながら・・・です。

  • トイレの描写がこれでもかと出てきますが、何気ない日常を、ものすごく深く掘り下げられていて、不思議な感じがずっと続きます。

    でも、最後にあるカメラマンの笑顔が、世の中捨てたもんじゃないと、みんなを応援してくれてるようでした。

  • 初めて買った羽田氏の本。
    会社内でのこと、それを御不浄という場所を絡めて上手く描かれている、という印象。
    すごく読みやすい。
    他の作品もぜひ読みたい。

  • 2016*01*22読了。

  • ◎静かに繰り広げられるバトルが日本の縮図。
    御不浄=トイレ。
    トイレの中で行われるバトルを中心に据え、主人公渡辺が過ごす街が描かれている。
    渡辺が勤めるのは電信教育センターという、教材を高く買わせるいわば悪徳ブラック企業。営業職ではなく事務職として新卒で入社した。

    とにかく、トイレで過ごせるあの時間が何とも言えないのだ。とはいえ、朝のトイレは戦争だ。ちょっと遅ければすぐ他の人が使ってしまう。
    会社のトイレも天国のように感じる。横で聞いていると息の詰まるような、電話での指導。その裏には何人の母親たちが泣かされてきただろう。耐え切れず逃げ込む先はトイレだ。
    それでも嫌になった渡辺は、元同僚(だったらしい)山城に声をかけられ、後輩の直樹からもアドバイスもあり会社都合で辞められるような証拠を集め始める。すると・・・

    渡辺の抱える悩みはまさに日本の縮図。思わず入った会社がブラック、同僚ともまともに話せないからトイレにこもる。古市氏も解説で言っているように便所飯という言葉が近年流行っていることを先駆けで書いたような小説だ。
    そういう意味では社会の動きに敏感な羽田氏がまっすぐにぶつけた小説だと感じる。(羽田氏の特徴でもある気がするが)出てくる性描写がやや生々しく、でも若者らしいと言えばらしい感覚がある。

  • 又吉さんと一緒に芥川賞を受賞した作家さん、ということで名前を覚えて、テレビでたくさんおみかけするようになり、そのおもしろさにひかれて「本が読んでみたい!」と購入。

    こんな感じの文章書くんだ~と新鮮でした。

    しかしトイレ。
    ビロウな話で恐縮ですが、私は自宅か実家、または旅行に行ってたらそこのホテルとかでしか大きい方はしません。
    学校とか会社でもしたことない。
    なので駅の(この場合駅ビルのだけど)トイレでなんてもってのほか。
    朝トイレに並んでる人って本当にこんなにたくさんいるの? なんで家でしてこない!? と不思議でした。

    この主人公はトイレでご飯も食べてる。
    絶対無理。
    アメとかガムとかだって微妙なのに。

    こんな私なので、話は割とおもしろかったのですが、トイレの描写が受け付けませんでした……。

  • 最近、羽田圭介さんに注目していたけれども、本は初めて読んだ。なんというか、先にいろんなテレビ番組でご本人を見てから読んでいるからか、主人公と羽田さんがすごくリンクする、、。この人の思想を文字化するとこんなかんじなのかと。
    本は、毎朝駅のトイレの個室に入ることを日課としている主人公の、トイレの描写と、勤務先のブラック企業と彼女などの話。(テレビでみるかぎりでしか知らないが)羽田さん系統の変人が書かれていておもしろかった。まったく読みづらさはなかった。

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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