- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001555
感想・レビュー・書評
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香川の離島の男木島でよんだ。
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2つの視点が徐々に下巻で交差していく。複雑で物悲しい世界が、少しずつ整理され前向きな形へと進む。読み終わった際に感じる余韻、ポジティブな印象が心地よい。
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#3315ー138
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この作品はきっと、恋愛における別れを知らないか知っているかでまったく違った見方ができると思った。
別れを知らなかったら、不思議なお話であるとか、文学のかっこよさであるとかに目がいくだろう。別れを知ってからだったら、佐伯さんと星野さんのエピソードなどから、色々な背景を模索し、物語の憶測を深めてしまうような気がした。 -
ー自我の在り方ー
少年は、15歳の誕生日を迎え、家出をしてからの旅を。中年は、失った自分自身の影を探す旅と、魂お入れ物としての半生の旅を。二人の主人公に寄り添った人物たちも、それぞれの人生の一つの章に幕を閉じる。
後半の記憶に新しいのは、ミスマッチ、セレンディピティだろうか。無学な肉体労働者が哲学に触れ、少年は自身のための暗示にむかってひた走っていく。
傷心の未亡人は、書くことを終え、役目を終えた中年は命を落とす。
中学生に読んだ時は、それはもう難解という認識すら持てず、ただ、訳の分からない世界の前に圧倒されるばかりだった。
初めて、モナ・リザを見て、ルーブル美術館の一室で立ち尽くす人のように。
次に読むときのためにこの感想とも言えない記憶の断片を残しておく。
2022.2.13 -
最後まで不思議だが、文章から力がもらえるようで癖になる。
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現実の世界や夢やメタファーがそれぞれ存在感を持ちながら物語はさらに大きく展開し、終結した。
この物語を読み終え、改めて、何が起きて私は何を感じたんだろうと考えるが、とても言葉にできそうにない。沢山の残った謎も、そのままにしておきたい。答えはいらないと感じている。
カフカが言った、「ことばで説明してもそこにあるものを正しく伝えることはできないから。本当の答えというのは言葉にはできないものだから。」と言う表現が相応しい。
カフカと呼ばれる15歳の少年が求めた強さとは、勝ったり負けたりする強さではなく、外からやってくる力を受けてそれに耐えるための強さだった。
この旅で、本当に強くなることとは、自分の中にある恐怖と怒りを乗り越え、明るい光を入れること。冷えた部分を溶かしていくことだと知る。
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上巻に続いてゆっくり読み進めた。
本の中の空気を味わって、
ゆっくりゆっくり。
読後は狐にはなをつままれた気分。
今度は書評や下敷きになっている本、
映画化舞台化したもの、
見ていこうかな。
結局、村上作品最初から見ることに
なるような。。 -
主人公の15歳の少年が、幼い頃、母親と姉に捨てられた記憶を辿り、繰り広げられる抽象的かつ象徴的なキーワードを並べつつ、村上春樹的非日常空間を描く。
ここに描かれている人物像は性格的にも性的にもマジョリティではなく、一貫して陰鬱でもの悲しい雰囲気が漂う。
人の内面の弱さを全面に出すことを意図しているんだろうと考える。きっと学生の頃に読んでいたとしても内容は理解出来なかったろうと思う。