イノセント・デイズ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206912

感想・レビュー・書評

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  • イントロから引き込まれました。
    章ごとに視点が変わり、登場人物各々にとっての田中幸乃さんへの印象が手に取るように分かり、人物像が分かりやすく、やり切れない気持ちになりました。
    死刑とは何か、情報とは何か、正義とは何か。
    誰が救われたのか。
    考えさせられました。
    (辻村先生の解説文も必読です!)

  • 主人公は死ぬために生きていたのかと思った。
    翔と慎一は翻弄しただけで終わってしまった。

  • 幸乃の幼少期から大人になるまでに積み重なった絶望が立ち直らせる事を考えなくなった結果。読んでいてずっと苦しかった。周囲の環境が身勝手で世間から貼られるレッテルも章を重ねるごとに虚しさが積もる。八月の母同様、読了後に溜息が出るものの読み応えが好き。

  • イヤミス
    内容がかなり重たい、読んでいて苦しい。

    あっと言わせるような伏線回収もなく、この人こんな人やっけ?ってなるような場面もあって、話が綺麗にまとまっていない。
    暗い印象もあって何度も投げそうになった。

    鬱物が読みたい人にオススメ。
    ☆2.3

  • 死刑囚である幸乃さんの生涯を彼女に関わった人達、それぞれの視点で語られる作品。
    悲しく重たいテーマでしたが、読んで良かったです。
    自分の中に残る一冊になりました。

    生まれてきてごめんなさい...切なすぎです。

  • ダンサーインザダーク感がすごい…

  • この作品を読んだ多数の読者が幸乃のラストにやるせなさを感じたと思うし、私もその一人です。

    慎一によって真実が明かされてからは、死刑執行までこれで間に合うはずと期待感も生まれたし、間に合って欲しいという願いも加わって最後はどうなるかハラハラして読み進めました。
    それだけに最後の展開は賛否あると思いますが、私には喪失感の大きいラストだったように感じます。

    仮に冤罪だったことが明るみになって死刑執行を止めることが間に合ったとしても、それで幸乃が幸せだったかは分からないし、それによって苦しむひとも出てしまうのだろうけど、真実を知ってしまうと、やはり何とかならなかったのかという後悔のようなものが残ってしまう。

    実際にも同じように誤認逮捕のようなものがあったり、メディアの報道や自分が知り得た情報だけで、誤った解釈をしている事件はたくさんあるのかもしれない。そんなことも感じた作品でした。

    幸乃と慎一を繋ぐに至った幼少期のエピソードがもう少し強くてもいいかなと思いつつ、久々にラストが気になって夢中で呼んでしまった面白い作品でした。

  • 評判がいいみたいだし、辻村深月さんの解説だし、知らない作家の慟哭ミステリか。 読んでみるかなと予約して待っていた。日本推理作家協会賞受賞作、なのだが。


    ※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

    多くの方が推薦しているので大っぴらには言えないがいってみる、期待外れだった。でもラストの衝撃で☆3を付ける。

    冒頭から死刑判決が下されワオと度肝を抜かれる。
    この薄幸の主人公、田中幸乃がなぜ死刑になるのか。控訴もしないでやすやすと死を受け入れたのか、というのがメインストーリーで、読みようによっては慟哭尽きないのだ。
    ところが醒めて読めば冤罪臭はふんぷんだし、そう思うと仕組まれ感も顕著だし、純真無垢のマリア様だってもう少しは運命を受け入れ、祈りつつも正しく自分を大切にするでしょう。
    これだけ書けば、本当に外れ感でがっかりしたかなと歯切れが悪くなってしまうが。

    ストーリーは主人公側に肩入れすれば哀しくも美しい。

    子供時代から恵まれず、人恋しさで出来た友達に裏切られ鑑別所に入れられる、親にも見捨てられ、不幸の深い穴の中で生きてきた。自分で死ねないなら死刑でもいいと思ってしまった、という救われない生き様で。
    クズのような男に貢ぎ感謝もされず、ついにはよその女と一緒になるために無理やり引き離され、雲隠れされ、居場所を突き止めてみると男は双子の子供と妊娠中の女のいる家庭を持っていた。

    悪意はないものの周りをうろつき、ストーカーにされる。
    男のアパートが火事になり双子と妊婦が焼死した。世間は死んだ親子に同情し、周りをうろついていた幸乃が逮捕される。

    意地悪い読みだろうかと思うのだが、やはりこの幸乃さん死ぬしかないかもと思ってしまう。

    幸せだった子供時代の友達だけは理解してくれているようだが、弁護士になった男は、正義感も上滑りで事件から手を引いてしまう。このあたり不幸を際立たせるリアルな描写で現実にひき戻される。
    不幸のせいで流れに逆らわず生きるのが楽なのか、そういう投げやりな生き方しかできなくなった女は、哀れだが流されていきつくところは自分で死ねないなら殺してもらうと思い詰めてしまって上告もしない。

    イノセントなのか無智なのか、それが罪だったのだろうか。

    死刑台に向かう途中で、持病の失神状態に陥りそうになる。女の看守は「倒れろ、倒れろ」と祈るように思う。心身喪失を理由にすれば彼女は助かるかもしれない。
    だが幸乃は生きるより死に執着し、つよい意思で階段を上る。

    意地悪くありきたり感を持ったが、この衝撃的なラストが受賞につながったのかもしれない。
    奔走した幼馴染が無実の証拠をつかむが彼女はすでに柩の中、という幕切れも、いっそ助かっていればと思うが、生まれ変わらない限り幸乃の不幸が続きそうで、残酷この上もない物語だった。

  • こんな孤独があるのかと…何とも言えない気持ちになりました。
    理不尽な世の中だけど、救われることもあるはずで…
    助けられなかった 幼なじみの気持ちを考えてほしかった。
    傲慢だ!ホンマにその通りやと思う。
    悲しかった。。

  • 死刑制度についても考えさせられる一冊。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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