イノセント・デイズ (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206912

感想・レビュー・書評

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  • 最後の章の一文で、なんかこう頑張れって思ってしまった。
    なんかこうなにを考えさせられるのかわからないけど、色々かんがえる。

    読みやすくてあっという間に読了。

  • 愛に飢えて、裏切られることが耐えられないからあえて自分を捨てる、そして他人からのいいなりの人生を歩むことを良しとし、自分には守るものがないという理由だけで他人の罪をかばう薄幸な幸乃を中心に物語は展開します。

    彼女の幼馴染たちは、小学生のころ「丘の探検隊」をつくりお互いを大切に守り抜くことを誓う。

    でも、小学生のころの約束なんて、多くの人間にとってさほど重要ではなかった、幸乃を除いては・・

    幸乃は人との争いが嫌いで、自分が悪者になることでその場が収まるのならあえて反論もせず従容と受け入れる、そして、周りからすればそんな都合のいい女を利用しようとする人間の方が多くて、彼女のガラス細工の心はズタズタにされていく。

    しかし、彼女はそうした自分を利用する人間を恨むのではなく、とことん信じようとする・・別れがつらいから。

    そして、関係のない罪で死刑宣告された彼女を知ったかつての幼馴染たちは、遅まきながら彼女の力になろうとするが・・

    この小説を読み終えて、思ったことがあります。

    心優しい人間の方が損をする社会って何だろう?

    現実には、要領の良くて自己主張の強い人間の方が社会では重宝されています。

    他人の痛みや悲しみに心を痛め、争いを好まない人は、往々にしてその存在感すら消されてしまいます。

    弱肉強食が野生動物世界の掟だとすれば、霊長類最強の人間は、力ではないもう少し違った評価尺度を持つべきなのでは?

    心優しい人たちだけが住める純粋培養的集落は無理だとしても、そうした人たちだけが繋がるコミュニティみたいなものがあればいいのに。

    でも、子羊を食い物にする悪い狼たちはどんな手段を使っても近づいてくるのでしょうね。

  • 早見和真さん、初読み。リーダビリティがすごい。
    文庫は外出時に持ち歩いて読むようにしてるのに、読み始めたら続きが気になってしまい、積んでる単行本を尻目にほぼ一気読みw

    はっきり言って、きれい過ぎるし、こんな女性がいるわけがないとも思う。というか、いて欲しくないし、肯定もできないし、受け入れたくもない。

    ・・・すごい婉曲な、死刑廃止論だったりして?w
    死刑になりたくて人を殺したっていう人もいるわけで、そういう人には、延々と苦しみを与え続けて、生かし続けさせたいとも思うしー。

    ま、いろいろ考えちゃうという意味では衝撃的でもあったかな。暗いとも、救いがないとも思わないし、田中幸乃にとっては救いだったわけで、それより「筆舌に尽くせぬ孤独」というほどのこともなかったようなー?

    いやいや、いいんです。一気読みできるような小説が好きなんですから、批判じゃないですよw
    こういう感じが好きな人には、おススメしちゃうと思うし、なかなかステキな読書時間でしたー♪


  • 彼女は何故、死刑囚となったのか。
    女性死刑囚に関わった人々から浮かび上がる彼女の人生、彼女の人となりを描いたフィクション。
    熱のある一冊となりました。
    松本清張の「砂の器」を読んだとき、まだ、携帯もFAXもない時代に信念をもって事件の真相を暴こうとする刑事が日本中を駆け回る姿に感じたような、登場人物たちの田中雪乃死刑囚に対する「熱」がおみごと。
    元恋人の家族を放火という残忍な手段で死に至らしめたことで死刑囚となった田中雪乃。
    読み進めるうちに、判決理由と相対しない彼女の人生に違和感を覚える。
    まさに〝イノセント・デイズ〟としか言いようがない。
    先へ先へ…読み出したら止まらない。
    人は人によって1人の人となる。

  • 面白くて…というのは語弊があるかもしれないが、あっという間に読了した
    幸乃に救いはあったのか?
    みんなの決めつけによってなくなった命
    本当の事を何も知らない人たちが、勝手に思ったことを発信するこの時代…自分も気をつけなければ

  • ストーカー放火殺人の犯人として、逮捕された整形シンデレラ。幼少期に養父から暴力を受け、イジメに会い、少年院に入り、、、といったステレオタイプの無敵の人。周囲の証言から、彼女の生き様と事件の真相に迫る。
    最近こういう本によく出会う。不幸で可哀想な話。いたたまれないが、描写がよく、周りの人物の優しさがあり、ボリュームがあっても読みやすい。純然たるミステリとして、どんでん返しを楽しむタイプの小説ではないかもしれません。

  • 早見氏2冊目。なんの事前情報もなく購入。タイトルからなんとなく冤罪の話かなとは思った。
    読み始めて、火事のシーンで背筋がゾッとした。幸乃はただただ残虐な殺人者ではないかと思った。この後どう話が進むのかと思えば、幸乃の周りの人達のたくさんの「想い」だった。睡眠時間を無視していたら一気読みだったと思う。
    エピローグではもしかしたら助かるのではないか、と思ったが実際は違った。いや助かると言うのは我々他人の感情だ。幸乃は最期に自分の想いを成し遂げた、そう言う意味ではハッピーエンドだったのかもしれない。

  • 解説で辻村深月さんが書いてましたが、
    感動や失望、明るいや暗い、幸せや不幸といった言葉だけでは片付けられない、名付けられない感情や事柄、それらを超越した「何か」を確かに感じました。

  • 読み始めたら最後まで一気読しなければならないほど引き込まれた。 
    何故、幸乃は死刑囚となったのか? 
    母親の死をきっかけに彼女の人生が狂い始める。
    なぜ彼女は自ら辛い人生を選んでしまったのか?なぜ罪を被るのか?
    とうとう3人を殺めてしまう。
    それは真実なのか事実なのか。
    そして驚愕の事実を知ることになる。
    その衝撃は計り知れないそんな一冊

  • 「心温まる」が合ってる?
    すごくふわふわした気持ちに怒りが混ざってるような。
    死ぬために生きている
    それがどんなに綺麗か。
    早見さん好きになりました。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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