東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240558

感想・レビュー・書評

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  • ★感想
    延王尚隆と延麒六太の物語。
    過去2作で、延国のコンビはイケイケな2人のイメージだったから、2人の物語わーい!と思いながら読み始めた。

    序盤、六太と更夜が捨てられる辛いシーンからスタート。その後の更夜が妖魔に育てられて、人間界を羨み覗くけど人間に攻撃されてしまうシーンとか、子どもが辛い目や悲しい目に合うのは本当に苦しい。いきなりページをめくるスピードが落ちる…笑

    数年後、更夜が六太に会いに来る。
    絶対なんかワナっぽい!!笑
    セキシンもやられちゃうし、赤ちゃんを人質にするし、六太を拐うし、なんだかとっても悪の手先みたいな人になっちゃったね…

    ただ、更夜を受け入れてくれた斡由に恩を感じて慕っていると。
    ふむふむ、受け入れてくれる人に出会えたんだね。
    しかも斡由の話を聞いていると、尚隆は国を放置し過ぎなんじゃないの?斡由も六太を麒麟として丁寧に扱ってるし、そんなに悪い人じゃないんじゃないの?

    なーんて思っていたら、ボロボロと斡由の人間くさい卑怯さがバラされていって、こいつはやばい。。
    尚隆早く六太を助けに来てー!とハラハラ。
    斡由に利用されている更夜、それを気付きながらも斡由のそばに居る更夜の気持ちを思うととても切ない。
    六太が尚隆を王に選んでよかったのか(天啓はあったけど)と悩みながらも、最後はやっぱり尚隆だ!となるところはスカッとした。
    最後、更夜に「お前の国だ」と強く言って聞かせた尚隆はかっこよかったー!

    尚隆自ら城に忍び込んで六太を助けに来たところは、あのひょうひょうとしたキャラはそのままだけど、子弟愛みたいなものを感じてお気に入りシーンでした。
    王のことをけちょんけちょんに言う朱衡、帷湍のやり取りが好き!笑

    軍の等級とか、国の地名、漢字に息詰まって途中ペースダウン。
    でも振り返ってみると面白かったな!

  • 十二国記完全版・エピソード3、「延王尚隆」の始まりの物語。
    景王陽子の時代から遡ること約500年、戦国時代初期に滅びた小松氏の御曹司が主人公。

    元は20年近く前に描かれた、ヤングアダルト向けの物語ですが、
    今読んでも変わらずに面白く、一気に読んでしまいました。

    延王も延麒も胎果の生まれで、何かを失くした「彷徨い人」、
    『風の海 迷宮の岸』での泰麒との縁もこの辺に起因してそうです。

     「俺はお前に豊かな国を渡すためだけにいるのだ」

    その尚隆、昼行灯のようでいて、締めるところはしっかりしていて。
    「国」を担うということの責任と想いがズッシリと伝わってきます。

    その重みがあるからこその、終盤へのカタルシスはやはり、うまいなぁ、、と。

    そうそう、麒麟と「血の穢れ」の相関性を描きたかったのとは思いますが、
    結構容赦なく人が逝くのは、この頃の小野さんらしいといえばらしいような。

    ん、治世の永久はあるのかないのか、、この先描かれることはあるのでしょうか。
    500年後にも安定していることを知っているだけに、、さて。

  • ものすごく久々に再読。ちょっと間をあけただけで内容をきれいサッパリ忘れてしまいがちな便利な脳みそを持っているため、今回も新鮮にわくわくしながらページをめくることができた。
    雁州国の、起こりのころの物語。常々、延王・尚隆は魅力的でズルいと思っていたが、今作も存分にズルい存在だった。六太の内面の機微に、揺さぶられる。
    昔読んだときはそこまで感じていなかったが、六太と更夜、尚隆と斡由、それぞれが対比され明暗が分かれたのが印象的だった。
    いずれにせよ、この王と麒麟のフットワークの軽さが物語全体の鍵となっていくのだろう。やはりちゃんと読み進めなくてはならない。

  • いままで以上にわかりにくい、登場人物も多い。。。話の大筋はわかったが細かいところの理解ができなかったので、感情移入が難しかった。

  • ここまではずれなし!全巻面白い。途中まで役職とかがややこしくて流し読みしてたけど、終盤に近づくにつれおもしろさ爆上げだった!斡由が前の会社の社長に重なってしょうがない。笑

  • 再読。悪役が最初からの悪役ではなく、自分の道を進んだ結果であり、無邪気な少年は無邪気なままではなく、王が全てを解決するわけではなく、麒麟は王を選んでいても迷いがある、王は民を一切傷付けることなく国を守ることができない。ままならなさを書くの、本当にすごいなと思います。登場人物、ほんとにちらっと出てきた人であっても、主人公にしてお話が絶対成立するだろうしそれはものすごくどれも引き込まれてしまうんだろうなと思う。でも創作だからではなく、人間が必死に生きるってそういうことなんだと思う。このお話は現実とは違って面白い!だけでなく、現実の、本当の、「生きる」ってそういうことで、創作を読ませておいてそこまで分からせてしまうこの作品は本当にすごい。他の作品で安定しているように見えたり、頼れるように見えたりする登場人物がメインの作品で葛藤や危機に揉まれるのを見ると、キャラクターの人生の層がじわじわじわと積み重ねられていくのを感じる。

    (201504)すっかりはまりました。葛藤とか矛盾とかすごく書くの上手いなってほんと思う…権力を受け入れて、葛藤しながらも理解されないことも多い王族の設定が好みすぎる。シリーズぜんぶたのしみです!

  • 十二国記のシリーズ3作目。
    同シリーズは順番に読んでいますが、2作目を読んでから1年以上経っていました。
    それでも基本的な世界観は覚えていました。
    本作は、延王と延麒の話ですが、延王ってシリーズ1作目の陽子の話にも少し出ていたような気がしましたが、どのように書かれていたかまでは覚えていませんでした。
    本作のテーマは、国の王とはどうあるべきかということでしたが、リーダーの在り方的なビジネス書の代わりにもなりそうなお話でした。
    単なる異世界ファンタジーにとどまらない、十二国記シリーズの懐の深さを感じました。

  • 十二国記の第3巻は、雁国の物語。麒麟と王の物語。
    大変読み応えのあるお話でした。王たる所以、麒麟の矜持に打ち震える感動作。
    次巻が手元にある喜びに打ち震え、旅を続けよう!笑

  • 暗愚だのうつけだの言われても任せるものは下に任せ、自身は必要な時だけ動く。
    大切なのは民を思い、民のために国を整える。
    ホント王の鏡だと思った。

  • 延王尚隆と延麒六太のお話。

  • 王と麒麟仲良いなぁ

  • ー人のために国がある。

    〈あらすじ〉
    延王が即位し20年。荒廃してどうしようもなかった土地も、ようやく少しずつ作物が育つようになってきた。貧しいのは変わらない国の中、国の平和のために反旗を翻す者がいた。麒麟を拉致し、血を嫌う麒麟を前に戦乱が始まる。

    〈感想〉
    前半はなかなか読み進められなかったのですが、後半物語が動き出してからが本当に面白かったです。
    麒麟目線で話が進み、王を選ぶ麒麟であっても、本当にこれで良かったのかと迷うんだなぁと思いました。
    国とは誰のためものか、王とは何のために存在するのか、民とは何か、改めて実感することのできる作品でした。 
    十二国記って漢字も多くて、難しい言い回しも多いのに、すっと物語が入り込んできて、ファンが多いのも納得です。

  • 待ちに待った雁のお話。
    個人的には陽子の時のように、尚隆の勇壮な姿を楽しみにしていたのだけれど、「やる時はやります!(物語の3分の1も描写がない)」感じで物足りなかった。
    あとがき、養老孟司さんが書く、「十二国記は宮城谷昌光をファンタジーにしたようなもの」という言葉が腑に落ちる。
    ファンタジーな分、十二国記は歴史解説が少なめ、人情ドラマが多めですけれど、ファンタジーなんだから史実よりも面白くないと、と思ってしまう…。
    十二国記。評価に違わず面白いが、宮城谷昌光の本が恋しくなる今日この頃。

  • 十二国記5冊目は雁国の物語。
    尚隆めっちゃ格好いい!延麒は自分に正直で真っ直ぐな麒麟。いつも堂々としているから王を選ぶことにも迷いがなかったのだと思っていた。泰麒のように悩む麒麟の方が珍しいのかと。でもみんなそれぞれ葛藤があったんだろう。それほど麒麟の決断は重い。

    雁国の王が素晴らしい人でよかった。本作では国にとって王という存在がどれほど必要なものなのかがよく分かった。乱戦を憎む一方、王不在の荒廃を経験したものは大切なものを守るために立ち上がる。涙が出そうだった。読めば読むほど世界の理解が深まる。

  • 延王もかっこいい

  • 十二国記、延王の昔話。
    ふだん飄々としている風だけど、蓬莱にいた時代の尚隆が、民だけがいても国ではなく、国土だけがあっても国ではない、国土に民がいて国なのだ、俺に国を寄越すというなら国土と民の両方を寄越せ、というようなことを延麒に言っていて、この人は国の在り方をわかっている、上に立つべき人だなと納得。
    だから何百年も王様やっていられるのね。

  • 雁国(えんこく)の麒麟六太と
    延王尚隆(しょうりゅう)の出会いから。
    小松尚隆(なおたか)と六太の出会いでもある。
    能ある鷹は爪を隠すと言っていいのかな?
    第一巻で陽子と出会ったカッコいいだけの延王とは真逆のバカ殿設定。
    でも本気を出せばやっぱりカッコいい延王です。
    妖魔ろくたと更夜の、麒麟六太と更夜の関係も後々はらはらしますが、綺麗に読めます。

  • 今作は雁国の物語
    そしてむかしむかしの物語

    むかしむかし何もかも失った少年は麒麟へと
    そして、王を選ぶ
    その王はもしかしたら愚王となるかもしれない
    蓬来での記憶のせいで迷いに迷って、選んだ人のことを信じることが出来なくなって
    荒廃した国は復興の最中ではあるが、幸せには程遠い
    そんな中に現れる人格者に心が揺らいでしまう
    でも私は、少年の選んだ王が好きだ
    周囲から粗野に扱われようと、根本の性質はやはり王様だなって思うんだ
    この主従関係、なんか良いなぁ

    個人的に1番悲しいのは驪媚さん……

  • 王権確立のものがたり、第3弾。

    正義の旗の下での謀叛、無能ということになっている王の大活劇。

    放任か、マイクロマネジメントか。
    本陣に構えるか、敵前に乗り込むか。
    無能の謗りを甘んじて受けるか、名君の誉れを求めるか。
    本当の危機において、部下がついてくるのか、こないのか。


    そう考えると、実は秀逸なリーダーシップ論として読める。

    ちょっと主人公かっこよすぎじゃね?というのはあるが笑

  • ベストコンビ!

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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