みずうみ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359328

感想・レビュー・書評

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  • 初めてのよしもとばなな氏の作品。

    序盤の母と娘の描写はあまり響かなかったが、中島くんが出てからは面白くなった。
    頭良い変人キャラが好き。

    テーマとしては、傷を負った人が、他者と関わりながら少しずつ傷を癒やしていく(許していく)という内容かなと。
    少しの傷を持つ主人公が、より深い傷をもっているだろうと推測される中島くんに対して、引け目を感じながらも、少しずつ惹かれていく描写が良かった。
    さすが著名な作家というような、表現力でグイグイと引っぱられる感じ。
    2人の絶妙な距離のとり方、傷つけない関係が、自分とは真逆の生き方だなという感想を持った。

    個人的には中島くんの正体が気になってしまい、謎の青年の正体を恋人目線から解き明かす、文章がきれいなミステリとして読んでしまっていた。

    短いし、読後感も良い作品。


  • ママの夢を、ママが死んでからはじめて見た。

    大好きなママがこの世を去った。ちひろはか弱い身体で何かを抱えている中島くんと、静かなみずうみのほとりの一軒家へと出かける。
    .
    物語がすーっと入って行く感じ。主人公は中島くんの過去を知ってもものすごく動揺することは無く大きな乱れがない印象。かといって全部受け入れてる訳でもなく、正直に話せるあたりが成熟してる。壁画で表出して整理してるのかな。中島くんが今にも消えてしまいそうで生命力もっとあってくれ…
    .

  • ◉好きだった表現

    ・読み取れる感受性だけが、宝なのだ。

  • ひさしぶりに出会った、だいすきだなぁと思える本
    ちょっと変わってるけど魅力的な人たちが出てくるお話
    中島くんとみずうみのほとりに住む兄弟との関わり

  • 大好きだったママが死んだ。パパとママは結婚してはいないけどとても仲良しな2人だっだ。
    そんなママが死んでしばらくしてちひろは中島くんと付き合うようになった。中島くんは簡単にセックスをすることができないという。彼との共同生活は楽しいし私も充実している。
    ちひろは絵描きで中島くんは医学生である。
    やがて中島くんはパリへ行くといいちひろを誘う。ちひろも若いうちに大きなものにうちのめされたいと思いついていくことにする。
    そして中島くんの過去を知る。彼は誘拐されてある組織で洗脳されていたのだ。それゆえにセックスや他の人と深く繋がることを恐れていたということを知る。

    大人になる気はなくても、こうして人は押し流されて選んでいるうちに大人になるようになっている。選ぶことが大切なのだと思った。

  • 読んでいくうちに、うまく言葉に表せないような温かさが積もっていくイメージ。出てくる人たちが本当に好きです。

  • 20代で読めて良かった
    世の中様々な過去や生い立ちを持つ人が暮らしているんだなと改めて感じた
    暗い過去を持ったカップルの痴話話といえばそうなんだろうけど、少し羨ましく思った

  • 「そんなふうに、ものごとはそれぞれの立場でごく普通に違うものだ。
    違いをただすために戦うことだけが大切なのではなく、違うということを知り抜き、違う人々の存在理由を知るのが一番大切なのだと思う。」

    小説は2つに分類できるのではないかと思っている。もちろん、完全に分かれるわけじゃないし、いくらでも例外は出てくるだろうけど。分類に名前をつけると、その名前のイメージに引きずられてしまいそうだけど、文学的と物語的って名付ければよいのだろうか、そんな感じの分類。

    分類といっても、読む時にどっちかなと意識することがあるという程度なんだけど、物語的な小説は漫画を読んでいるような感じで、小説の中に書かれている場面がすぐに思い浮かんできて、深く考えなくても楽しめるタイプ。否定的な意味じゃなくて簡単に読めるし、簡単に読んでいることを楽しむ感じ。

    文学的な方は、ある舞台を作者が設定して、その舞台で何か別のことを現そうとしているんじゃないかって感じられるタイプ。読みながら色々考えてしまうし、軽く読み流すと、何か読み落としているような気持ちになるタイプ。

    これを意識し始めたのは、村上春樹のインタビューで、ネズミは何の象徴なんですか?みたいなことをインタビュアーが聞いていて、それに対して、ネズミはネズミ的にしか現せないものの象徴です。みたいなことを答えていたのを見かけてからだと思う。どこで見かけたのか忘れてしまったのが残念だけど。

    それはきっと、答えがない問い、例えば、どうして人は生きているのかとか、そういうことに対して、問題を切り分けて、その大きな問題の答えにつながる可能性がある問題を作者自身が提起して、それに対する答えを作るように小説を書いているのではないのかと思っている。小説家はそれを文学で現すし、美術家はそれを絵で現そうとする。みたいな。

    で、よしもとばななに戻って。この人の小説は、設定がちょっと変わっているというか、設定だけ聞いたら、そんなことはあり得ないでしょ。みたいな設定が他の小説でもよくあるように思う。あと、登場人物がいい人すぎるっていうか、ちょっと世間離れしている感じの人が出てくるとか。

    でも、読んでいくうちに、だんだんそれが不自然じゃなくなってきて、あっという間に読み終わることが多い。この”みずうみ”もそんな感じだった。でも、そういう舞台設定でないと現せない何かを求めて、作者はこの話を書いたのではないかと思うのだけど。

    で、今回読んだ時の、簡単に答えを出せない何かを代わりの方法で凝縮していると思ったのが、引用の文。自分の精神状態によって、それをどこに感じるのかは変わってくるのだろうけど、それを後で確認するために記録に残しておいた。

  • 旅先の長野県上田市の古本屋で購入。帰りの八高線から読み始め、その日のうちに読了。現実ばなれした世界のようで、「ちひろ」や「中島くん」を自分の中に見つける。登場人物の痛み、苦しみ。透明感、純粋さ。臆病で優しい人たち。心の汚れが落ちるよう。

  • 謎っぽくて、たまに謎っぽいまま終わってしまう話もある中、うやむやで終わらずきちんと完結されていて、さすが吉本隆明氏の娘!ってこじつけかな、よかった。ワケわからなさそうな情景が目に浮かんだ。
    ただ、つぐみだったかキッチンだったか、を超えなかった。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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