みずうみ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359328

感想・レビュー・書評

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  • 早く中島君の過去が知りたかったけど
    理由を知ると・・・うーーーーん・・・。

    年を重ねるとこれ以上ないと思う絶望があとからあとからやってくる。
    ずるずるといつまでも引きずって辛い過去がたくさんたくさん出来るけどやっぱりどこかで未来を期待して生きる。

    主人公が自身の事を冷静に語ってるのがなんだか羨ましい・・・。

    あ・・・意外に中島君が歯に衣着せぬもの言いなのが笑える。

  • ちひろの、中島くんの抱える過去の悲しい出来事との向き合い方や考え方、接し方や発言に至るまでほんとうにすばらしかった.....。いちど経験しなければ絶対にわかり得ないことをわかったように会話を合わせたり同情したりするのって最低だよな、でも無意識に自分はそれをやっちゃってる気がするな...
    人を想うってこととか世界の捉え方から個々に与えられた尊厳とか、勉強になる小説だった。
    矛盾したところがない登場人物たちの真っすぐさに感銘を受ける。3年前に読んでたけどその時はどんな感想を持ったんだろうか...。

    p154のすきな文
    「ほんとうに人を好きになるということが、今、はじまろうとしていた。重く、面倒くさいことだったが、見返りも大きい。大きすぎて、空を見上げているような気持ちになる。飛行機の中でら光る雲の海を見ているような気持ちに。
    それは、きれいすぎて悲しい気持ちととてもよく似ている。
    自分がこの世界にいられるのが、大きな目で見たら実はそう長い時間ではないと気づいてしまうときの感じに、とてもよく似ていたのだ。」
    この文で涙した

  • きれいなニホンゴ表現だよ。
    ボクも何気ないことを思ったり、聞いたり、話す時に自然と出てきたら良い表現。回りくどくて、大げさで、気取りすぎだあ、なんて言われるかもだけど。ふふふ、それって感情が豊かってことだよね。
    褒め言葉だよ、ゼッタイ。

  • p.134うまくいこうがいくまいが、いつだって、こうしてできるだけのことをすればいい。それでたまに吹いてくる甘い香りがする自由の風を吸い込もう。

  • よしもとばななは、文体が不思議だ

  •  「あぁ、こういうことだったのか」と、いつか感じた気持ちが文字になって、文章になって現れる。穏やかで、とても暗く深い。

  • 大好きな一冊。
    何回読んでも大好きな作品。
    人はそれぞれに傷を持って生きていて、もうダメかもって思うことがあるけれど
    いつもその度に誰かが助けてくれたり
    立ち上がれたり、起き上がれたりする。

    現実か非現実なのかよくわからないし
    なぜかわからないけど、読了後は優しい気持ちで自分らしく生きる元気がもらえる大好きな一冊。


  • 大人になる気はなくても、こうして人は押し流されて選んでいるうちに大人になるようになっている。選ぶことが大切なのだと思った。
    毎日の中では、人は自分の見たいものだけを見るのだ。
    心に残ったフレーズ
    人生の中で深くて暗い部分に落ちるときがあるしそんな人の部分を見てしまうときもある。自ら傷つきにいくわけでもなく、かといってなかったことにはせず、自分の人生とちょうど良い具合で向き合う、そんな人物が彼女の小説の中には描かれていると思う。
    それから人を好きになること、愛おしいひとから愛されること、とても幸せなことだな

  • 特別な関係のふたり。こんなの恋愛じゃなくてボランティアだ、なんていってるちひろちゃんが可愛かった。恋愛っていってもカップルごとにいろんな形があって全部違う人間の組み合わせだから、お互いがリンクする幸せのかたちもそれぞれ違う。この2人ってなんだか特別だなって思って読んでたけど、途中から普通ってなに?って思えてきた。話を引き出してスッキリさせてあげるのも愛情、なにも聞かずにそっとしてあげるのも愛情。
    この2人の間には、相手に対する欲がない。こう接してほしいとか、こういうとこ直してほしいとか。ありのままの相手を見守ってて、相手の幸せを心から望む。親子愛や兄弟愛に近いものも感じた。
    お互いがそういう人間だからこそ成り立つ関係性。自分の今と照らし合わせて、ちひろが中島くんに対する気持ちなんか、結構共感する部分が多かった。このストーリーに今の自分を肯定されたようで良い気持ちになった。

  • このお話はフィクションのはずで、だから安心して読めるはずなんやけどどこか生々しくて本当に中島くんみたいな人はいるんじゃないかと怖くなる。

    カウンセラーになりたかった高校時代、心の病に関する本は随分読んだけど、そのなかの「ジェニーのなかの400人」を思い出した。
    もち網を形見として脇に挟んで寝る中島くん…

    行為が滑稽なだけ、余計痛々しいよ。。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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