何者

著者 :
  • 新潮社
3.85
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本棚登録 : 9311
感想 : 1567
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330615

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、胸がざわざわと落ち着かず息苦しかったです。自分の就活時代を思い出しました。

    約15年前の超氷河期と言われた時代。私は高専に通っていたので、大学の就活と比べると少し特殊かもしれません。ただでさえ就職率100%なんて言われているような所だったので。
    確かにそんな苦しい時代でも、就職希望者はほぼ内定を貰えていました。が、私は失敗したんです…。

    今思えば、何とかなるだろ〜なんて完全に考えが甘かった!というのと、特にこの仕事がしたい!と思えないのに県外には絶対行きたくないと頑なまでに地元に残ろうとした結果でしょうね。

    でも当時は何故内定が貰えないのかまるで分かっていなかった。割と器用に生きてきた方だし、空気読めるし、自分の意見もちゃんと言えるし、真面目だし、落とす理由ないじゃん何で⁉︎ってクソ生意気ですよね(笑)

    結局、こんな事たいしたことじゃないって顔して卒業したけど、こんな自分と二宮拓人が重なって見えて居心地悪かったです。
    だってこの二宮拓人は、何気ない風を装っていながら周りを勝手に評価して、誰よりも自分は特別だなんて思っている痛くてキモイ奴なんですよ(涙)

    なんかやっぱ朝井リョウはすごい。こんなのが書けちゃう君こそ特別な人です。彼が30代、40代になった時に書く作品を早く読みたいです。

  • 就職活動が自分の時代とはまったく違う。
    Twitterやスマートホンが生活の一部になっている。
    目前の人物がリアルなのか、ネットの書き込みが現実なのか、雲現混合して、自分が霞んでいるのじゃない?

    手のひら画面に隷属する楽さがわからない。

    • だいさん
      https://www.evernote.com/shard/s37/nl/4075866/9136f179-2db6-4799-8bf4-...
      https://www.evernote.com/shard/s37/nl/4075866/9136f179-2db6-4799-8bf4-3118a4e7b85e
      2014/04/24
  • 最初はリズミカルな文章が頭に入って行くものの、
    内容がなかなか気持ちに追いつかず。

    それが途中から追いついていくようになり。

    内定もらった後の光太郎くんの言葉がずっしりきたかと思ったら、
    思ってもない終盤の展開で一気にドキドキしながら読んでしまった。

    今の時代を物語るTwitter。
    人って思ってても違う行動とったり、思ってなくても強気になってしまったり。
    心にいろんな事しまっておけなくなってるんだよね。

  • 最年少直木賞受賞作。
    舞台は、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良ら大学生達が就職活動を通して自分をみつめ成長していくストーリーだった。
    正に現代をとらえた斬新な青春ドラマ。
    TwitterやFacebook等の用語を交えた文面。経験ある者ならわかるが、アカウントすら意味不明のおじさんやおばさまには、とっつきにくいかもしれないが、実際、ESや幾度も2次3次と面接を通り抜けてやっと内定を頂く子供達をみて、この小説を通して改めて就職活動の大変さを感じた。
    就活を通してあぶりだされる若者たちの心の揺れや成長する姿が愛おしくも感じ心が痛んだ。
    しかし、著者は、既に小学時代に原稿用紙百枚近くの小説を書かれていたというだけあって流石だと脱帽しました。

  • とても面白かったです。
    就活について、実際に経験している立場の意見がリアル。
    twitterでのつぶやき、友人との会話のやりとりや、本音の明かされ具合などなど、面白く読みました。
    この厳しいご時世、就活に臨むってほんとに大変で、思うこといっぱいあるんだろうな…。
    つらい理由がいくつか挙げられていて頷きます。
    困難さがストレートに伝わりました。
    まだ社会で何かをしているわけでもない大学生たち。
    自由と不安の混じるその頃の青さを思い出して胸がヒリヒリするようでした。

    世代を超えて読者を惹き付ける作品だと思いました。
    なにより作者の人間観察のすばらしさは心に刻まれました。力量を感じます。
    拓人が後半リアルに自分自身の言動を語る部分がずっしり重みを持って迫ります。
    わき出す言葉が止まらなくなって、相手に言い放ってしまう場面。
    心の奥底にあるものが表出する怖さが居たたまれない。
    その場の状況や、気持ちの動きが、丸ごと感じられてどきどきしました。
    その渦巻く感情や衝動が自分にも起こるのを意識して胸が苦しくなりました。
    ラストの展開は、息もつかせないくらい畳みかけられて少しショックを受けてしまう。
    また、拓人に投げかけられた言葉は自分に降りかかってもおかしくない言葉。
    時に性格悪く、意地悪い考えになる自分に思い当たってへこみそうになる。

    今まで読んでいなかったのに読んでみたのは、直木賞を受賞した際の文章を朝日新聞で読んからでした。
    小学校で出会った先生のお話と、朝井リョウの小説の原点が小学校六年生の時の大発見にあるという文章がすごく良かった。
    初めて読んだ朝井リョウさんの作品に参りました。
    こんなに心が揺さぶられるとは。
    そして今、この作品を読めたことに感謝。
    たぶんこれから作品が出たら必ず読んでいくと思います。

    • kwosaさん
      tsuzraさん、はじめまして。

      リフォローありがとうございます。

      >小学校で出会った先生のお話と、朝井リョウの小説の原点が小学校六年生...
      tsuzraさん、はじめまして。

      リフォローありがとうございます。

      >小学校で出会った先生のお話と、朝井リョウの小説の原点が小学校六年生の時の大発見にあるという文章がすごく良かった。

      僕も新聞で読みました。
      短いエピソードの中にもきちんと物語があって、それがしっかり読み手の心に響いてくる。さすがだなと思いました。

      tsuzraさんのレビューにも引きこまれました。
      お人柄がにじみ出ているのであろう、優しさのあるレビューをこれからも読ませて頂きたい。
      どうぞよろしくお願いします。
      2013/05/15
    • tsuzraさん
      はじめまして、kwosaさん。
      コメントありがとうございます。
      kwosaさんの本棚を訪ねてきました。
      惹き付けられる文章と、面白さが詰まっ...
      はじめまして、kwosaさん。
      コメントありがとうございます。
      kwosaさんの本棚を訪ねてきました。
      惹き付けられる文章と、面白さが詰まったレビューに新鮮な思いです。
      この先kwosaさんのレビューを読むのを楽しみにしております。
      こちらこそどうぞよろしくお願いします。


      2013/05/15
  • 「何様」の光太郎!

    自分は自分。自分を受け入れて、一歩ずつ進んでいくしかない。
    ある日突然何者かになっていることなんてない。
    泥だらけ傷だらけで、でも気づいたらここまできていた、って振り返ってから思う、と思う。

  • 物語の傍観者として呑気に読み進めることを許さない一冊。
    思い当たる節が多すぎて心が痛い!
    まともに大ダメージくらってしまった。これは物語の構成が巧い。
    でも心が痛すぎるので完全に私怨で星3、いつもなら星4つけてた。
    まぁ、このダメージも、就活の記憶が鮮やかな今読んだからこそなんだろうな。良いタイミングで読めたと思う。

  • 就活中の大学生の実態、SNSでの本音、裏切りなど、リアルを書いた物語だった。
    ストーリーが少し長かったが、SNSの話が出てくるとは思わなかったため、勉強になった。
    2012年に発行しているが、もうこの頃にはTwitterやFacebookなどがあって、それらを利用して就活していたことを初めて知った。
    だんだんと後半になるにつれて、ジェットコースターのように展開がガラッと変わっていくのは、とても良かった。

  • いやー怖かった。初めはああTwitterでこうゆういたい文章書く人いるなーと思って主人公に共感してたけど、結局は主人公の二面性を晒されて自分も同じことをやっているのかもと怖くなった。口ではおめでとうとか言っていても、実は腹黒いことを考えていたり、、人を信用できなくなるね。もう一度読み返したら、伏線回収できることは分かっているんだけど、なんだか怖くて読めないのでしばらく時間をおきます。とりあえず、Twitterのメール連携をすぐ確認しよう。

  • 自分の就活後、再読した。
    就活前に読んだときと就活後に読んだときでは明らかに感じ方が違う。

    主人公の自意識と絶妙なダサさが自分に似ていて読んでいて苦しかった。
    日本の就活制度がもつ独特な空気もよく表れている。


    同じ文章なのに、「小説の中の文章」として読むとふむふむなるほど、と肯定的に思うけど、「誰かが勝手に書いたツイート」として読むと、自分の考えが全部正しいと思うなよ、と否定的に感じてしまった箇所があった。
    同じ文章なのに、どこにどう書いてあるかで捉え方が変わるところが面白いし、怖いとも思った。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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