- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104654024
作品紹介・あらすじ
横山ミステリー史上、最も美しい謎。熱く心揺さぶる結末。『64』から六年。平成最後を飾る長編、遂に登場。一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。
感想・レビュー・書評
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建築士や家具職人の心を想像し、世の中に残るもの作りについて考えさせられた。
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「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」
一級建築士の青瀬は、施主からそう依頼され、北の光(ノースライト)が差し込む「Y邸」を完成させる。自らの最高傑作だったが、完成から数カ月後、現地を訪ねてみると、引っ越したはずの家族の姿はどこにも見当たらない…
素晴らしい小説だった。
ゆったりとした印象。
世界にはすっかり引き込まれるのだが、何故かなかなかページを繰るスピードが上がらない。
言葉の密度が高く重厚で、登山の時の歩き方のように、一語一語確かめながら読んでしまう。
そして、非常に優しい人間ドラマ。
結末では心が熱くなり、打ち震えた。
横山さんは本書のタイトルの「ノースライト」について、こう語っている。
「辞書にはない言葉ですが、昔から自然な光を求めて、アトリエに北向きの窓を設ける画家は多かったそうです。やはり弱っている人には、南や東の光は強すぎる。人の背中を優しく押してあげるには、北の光くらいがちょうどいいと思ったんです」
タイトルからして優しい小説だった。 -
前半は物語の進みが遅く、なかなか読み進めるのに時間が掛かりましたが、後半は点と点がどんどん繋がって行き心地よい疾走感と共に終焉しました。
その先ももう少し読みたかったけれど。
前半では物語はなかなか進まない中で、登場人物の背景や心情をじっくり書き上げ、後半の畳み掛けの中で逃すものがないように布石を打つ。
劇的な展開ではなく、ずっと不協和音の様にどこか不安定が続く描写が長いのに飽きないのは少しずつの「え?」と、突飛ではなく、至って日常の中の人間模様を詳細に書かれているためでしょうか。
建築関係の専門用語や表現、言い回しも多く、門外漢の私には想像するのが中々難しい内容ではありましたが、物語のとしてとても読み応えがありました。
なんか、すごく大人になった感じ。←語彙力。 -
2020年ミステリが読みたい!国内編2位。
小さな設計事務所に勤める一級建築士の青瀬稔、45歳が主人公。
離婚した妻のゆかりと中学生の娘の日向子がいますが、日向子とは月に一度会っています。
青瀬は、吉野陶太夫妻に、信濃追分に3千万円で「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」という願ってもいない好条件で、念願だった「ノースライトの家」(北側の窓・北向きの家)Y邸を建てます。
しかし、建築後、吉野に連絡を取ると、吉野はみつからず、青瀬は異変を感じ、Y邸を訪ねます。
するとそこには、人が住んでおらず、ブルーノ・タウトのものらしき椅子がひとつ置かれているだけでした。
青瀬は、吉野をなんとか探し出そうとしますが、まるで一家で蒸発してしまったかのような気配があり…。
横山秀夫さんの作品は『64』以来で2作目でしたが、大人の男の友情や、しみじみとした夫婦愛のある凛としたたたずまいのある作品でした。
最後はそういうことだったのかと思い、残念な出来事もありましたが、悪人の出てこない清々しいミステリーとして、晴れ晴れとした気持ちで読み終えることができました。 -
個人的にはたぶん横山秀夫の文章というかリズム感みたいなものがあまり合わないのか三分の二ぐらいまでは読むのがかったるい けど、終盤からはおもしろくて最終的にはそれなりに良い気持ちで読み終わることができた ブルーノタウトという建築家は実在の人なんですね この人の作品の良いところは実在の人物や出来事を絡めるので勉強にもなるというところ
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一見必要かと思うエピソードが後々重要になったり、相当作り込まれていると感じた。文章の上手さや語彙力も凄く、自然読む手も弾んだ。
建築については全くの素人で、タウトについてもピンとはこなかったが、良く物語の進行と融和していて説得力があった。
ただ全体的に湿っぽいので、好みは分かれそう。 -
バブル期の狂乱を経験し、離婚も味わった一級建築士の青瀬稔は、人生の行き詰まりを感じながらも、何かに導かれるようにして一軒の家を設計する。それまでの自分の作品とは明らかに違う造りに戸惑いつつも、その家、Y邸は雑誌でも取り上げられ、一定の評価を得つつあった。そんなとき、青瀬は施主がY邸に入居しておらず、それどころか行方知れずになっていることを知る。建築家タウトの椅子とも絡んで、謎は深まる…。
冒頭からページをめくる手が止まらない。細かい描写、話の展開…小説として本当に上手い。個人的には終わり方にもう少し夢がほしかった。でも、ここは意見の分かれるところだろう。文句なしの傑作。 -
後半、ぐいぐい読ませる一冊。
警察ものでない横山作品、しっとりとしたオトナのミステリ。自分にとってはものすごく読みやすかった。
警察ものは人物多さが苦手。でもこちらはシンプル、登場人物が混乱しないのもポイント。
主人公は一級建築士の青瀬。クライアントに望まれ設計した新築の家。なのにクライアント一家は失踪していた。ただ一脚の椅子だけ残して…。
失踪の謎をさぐる青瀬。タウトの椅子、それだけがクライアント吉野との接点。
人物描写、丁寧な心情描写はやっぱり横山作品らしく惹きつけられ、建築という未知の世界にもかかわらずどのシーンもその世界にぐっと入り込める感覚。
後半は特にぐいぐい読ませ、親子、家族、伝えるべき想いと遺す想い、それらがじんわり心に染み渡り二度読みしたほど。
ノースライトのタイトルが秀逸。たしかに主張し過ぎることのない、でもしっかりと包み込むような北の柔らかな光こそこの読後感に相応しい。-
こんばんは(^-^)/
警察物は人が多いし、無駄ないがみ合いが多いよね(^_^;) そこが苦手。
警察物でない横山さん、読み応え...こんばんは(^-^)/
警察物は人が多いし、無駄ないがみ合いが多いよね(^_^;) そこが苦手。
警察物でない横山さん、読み応えありそう!
うちにも横山作品眠っているわ(笑)2019/03/04 -
けいたん♪
おはよう(⁎˃ᴗ˂⁎)
そうなのよー!警察モノは警察の所属とか対立とか立場とか微妙な関係とかややこしくて…
特に64はそこが...けいたん♪
おはよう(⁎˃ᴗ˂⁎)
そうなのよー!警察モノは警察の所属とか対立とか立場とか微妙な関係とかややこしくて…
特に64はそこが苦労した思い出が(*vωv)
こちらはシンプルで良かった作品(*^^*)♪
横山作品、「出口のない海」はもう読んでる⁇
評判良いみたいだけど、私、未だ読めてないんだ〜〜( ˃ ˂ഃ )2019/03/05
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