三千円の使いかた (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050701

感想・レビュー・書評

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  • 「はじまらないティータイム」「三人屋」「ランチ酒」などの原田ひ香さん「三千円の使いかた」、2018.4発行です。御厨琴子73歳、息子和彦と嫁智子、孫娘の井戸真帆と御厨美帆の物語。連作6話。そのつながり方が巧妙で、とてもいいフィナーレに収束します。主人公は美帆のようですが、上手に(さりげなく)仕切ってる琴子おばあちゃんに軍配を(^-^)

  • 主人公たちがかかえる悩みを解決する形で経済を身近に感じさせてくれる。目の前の出来ることから、コツコツすることが長いスパンで人生を支えるものになると感じた。

  • 2018.7.7
    ランチ酒の原田ひ香さん。
    タイトルに惹かれて手に取ったけど、いや〜〜なんか小説だけどお金との向き合い方とか、あと働き方についてもいろいろと考えが巡らせられて、興味深い本でした。
    「三千円の使いかた」か・・その人の価値観によって、大きく変わるんだろうな。

    各年代の女性の心理がリアリに描かれていて、クスッと笑えたり、苦笑してしまったり。

    個人的には、琴子の話が印象深かった。ご主人が亡くなった奥様たちは年金がぐっと減って意外ときつくなるという話は話題になってるけど、そのへんがリアルに描かれてるような気がした。孫が遊びにくるのは嬉しいし、お金がないわけじゃない。ただそれでもなんとなく不安がよぎる・・
    何歳になっても、完全に不安がない!なんて状態にはならないんやろうなあ。
    不安と向き合って、現実を把握して、日々を大事に過ごしていくことが大事なのかも。
    それにしても琴子さんはかっこいいし正直。素敵。

    iDeCoとか投信、格安スマホ等、具体的な話まで出てきてちょっとびっくり。
    こういったものをうまく利用しつつ、やっぱり長く元気に(できれば楽しく)働ける道を進みたいなあ。

  • 冒頭で、三千円があったら何に使うかで人生が決まる、というような言葉が出てくる。

    ふと、自分だったら何に使うかを考えた。おいしいものを食べるか、どこかへ出かけるか、いずれにせよたぶん物は買わない。逆に絶対ものを買う、という人もいるだろう。
    お金の使い方にはその人の価値観や好き嫌いが如実に表れる。その個性は当然どんな人生を送るかにも関わってくるだろう。

    お金が貯まりにくい女子代表といった会社員の次女、元証券会社に勤めたケチとしっかり者の中間のような専業主婦の長女、夫を失って年金だけの暮らしに不安を覚える祖母、病気をきっかけに老後や夫との関係について考え始めた母、という、御厨家の女性陣プラス近所に住む気ままなフリーター中年、というバラエティ豊かな面々がそれぞれのお金に対する不安や日々の希望や憂鬱を語る連作短編集だ。

    奨学金やiDeCo、高齢者向けの利率のいい定期預金など実際にある金銭関係の小ネタが盛り込まれていて興味深い。

    お金の使い方というのは人生の過ごし方に直結するんだな、ということを改めて考えさせられた。

  • 180620
    節約も大事だし、
    でも気持ちが弱るのは良くない。
    気持ちの切り替え方もだいじ。

  • とある家族の、それぞれ年代別に描かれた「幸せな暮らし」のための節約やお金に関する物語。最初から最後まで興味津々で読んでしまいました(*´ェ`*)将来に(金銭面で)不安を感じ、それならこういう節約から…と、小説で書かれていたので楽しく読めました♪そして何より、家族や友達、ご近所さん等の人との繋がりにほっこりさせられるお話★

  • 将来が不安な今だからこそ読む本だなと思った。もう一度、お金の事を見直した方がいいなと思えた。

  • この著者の作品は、まずはこれ食べてを読んだことがあり、ドラマ化で耳にしたことがあった本作を見つけて手に取りました。
    タイトルをテーマにしたオムニバス形式かと思いきや、御厨家の人々のお話として全部繋がっておりました。
    綺麗にまとまっていて、お金と人生について少し勉強にもなる、そんな物語でした。

    以下、感想は章ごとに書いています。

    2章 七三歳のハローワーク
    夫を亡くした七十三歳の琴子の、残りの人生のためにはお金がどのくらい必要なのか?と言う不安や、仕事への憧れ。とても素敵で、前向きになれる話。
    お金を心配して先のことを悶々と考えるより、働いてみたいと思ったら行動するべきだし、琴子の前向きさがとてもよかった!

    4章 費用対効果
    2章で出てきた、琴子の園芸仲間である四十歳の安生の話。彼のワンナイト浮気妊娠騒動における、やはり琴子の言葉がよかった。
    それをきっかけに彼女に何度も謝りに行くところで本章は終わるが、安生が本当に大事なものを見出すことができたのが救われた。あとの章で、彼女と同棲を始めたことがさらりとわかる。

    5章 熟年離婚の経済学
    夫が帰宅してすぐテレビをつけて話を聞いてないとか、ああ。わかるなあ。と思う些細な描写が多々。ただし、わたしは智子の言う20代30代の現代の夫婦なので自分の夫は家事もやってくれるからその辺りは恵まれていると感じる。
    そのため、どちらかと言うと親世代の話だが、想像に難くないエピソードが身に沁みた。週1回でも食事を別々に摂るのは?と提案されて行動に移した智子は偉い。未来は明るそう。

    6章 節約家の人々
    これまでの章で行動を変えてきた御厨家の人々の、総括的な章。
    娘の美帆が結婚を考えている彼氏に借金が発覚。結婚すべきかどうかに悩む話。
    これまでの章で家族それぞれがお金や相手との関わり方を変えてきて、その結果として借金に対しての対応策を提案してくれる。
    各々が生き方やお金に対する考え方を改めていたおかげで、この結末にたどりつけたんだな、とほっと心を撫で下ろすことができました。
    美帆のブログに載せていた琴子の100円ガーデニングは、真似したいなと思いました。

  • 期待値が大きすぎたのか、あまり「いい話だなあ」と思えなかった。

    登場する男性が酷い人が多い気がして。
    翔平さんは酷い、という訳ではないけれど、家族のことを考えると結婚に諸手を挙げて賛成できる人ではない。あ、太陽さんが登場人物では一番素敵な男性だと思った。

    女性の目線で書かれている章が多いけれど、4話の「費用対効果」は安生目線の描写も多い。安生は、はっきり言って、酷い男だと思う。私は友人としても無理、な人間だな、と思った。身近にいる人間が「費用対効果」をよく口にするけれど、人間関係において費用対効果をあまりにも全面に出し過ぎると辛くなる。

    智子の夫の和彦も酷いよなあ。妻が命に関わる病気の時にあの態度はないだろう。たとえ家事が全く出来ないとしても。私は年齢的に多分智子に一番近いと思う。お金がなければ熟年離婚もままならないし、離婚は結婚より体力がいることも分かる。だからこそ、離婚には着々と入念に準備が必要なのだ。千さとの離婚に関しても、有責配偶者は義昭のようだから、相手の女性にも賠償請求できるよなあ、とも思う。ただ相手女性がそれに対して逃げてしまったら、お互い心が離れたまま夫婦関係をだらだらと続ける可能性が上がる。本当に難しい。

    翔平と美帆にお金を貸すことを納得する御厨家だが、もしこれが現実だったら、私は「大丈夫か?やっぱり返済しないで、なあなあに済ますんじゃない?」と思ってしまうことだろう。

  • 面白かったけど、母世代、祖母世代のお金事情が他人事とは思えず。
    とりあえず、続いた事のない家計簿をつけてみようと思いました。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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