新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫) (文春文庫 し 1-94)

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  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784167105945

感想・レビュー・書評

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  • p.194-195
    かれは一方では自分のつくった明治政府を愛さざるをえない立場にあり、一方では没落士族への際限ない同情に身をもだえさせなければならない。矛盾であった。

    矛盾を抱えたまま、西郷隆盛はどのような道を歩んで行くのか…。残り9巻。ゆっくり楽しんでいこうと思います。

  • 薩摩幕末史

  • 外交問題(作中では征韓論)が、欧米のような技術的な事柄でなく国を二分する内政問題として現れる、という視点がおもしろかった

  • 来年の大河ドラマが西郷(せご)どん、であることから原作ではないが明治初めの政局、動きを知りたいと思って再読のはず。
    本棚には2巻まで揃っている。

  • [手に取った理由]
    来年の大河ドラマの主役が西郷隆盛だから。そのうち読もうリスト。

    [主な登場人物]
    <薩摩藩出身>
    川路利良(かわじ としよし)/正之進...警察官。大警視
    大久保利通(おおくぼ としみち)/一蔵...内務省
    西郷隆盛/吉之助.1827年〜.…参議・陸軍大将
    桐野利秋(きりの としあき)/中村半次郎...陸軍少将/人切り半次郎
    有馬純雄…司法省
    大山巌(おおやま いわお)…西郷の従弟
    黒田清隆(くろだ きよたか)/了介…開拓長官。酒乱の気がある

    島津斉彬(しまづ なりあきら)…西郷の少壮時代の藩主
    島津久光(しまづ ひさみつ)…斉彬の庶弟(しょてい)

    <旧幕臣>
    沼間守一(ぬま もりかず)1843年~1890年...旗本の子。江戸っ子。司法省
    栗本鋤雲(くりもと じょうん)...旧幕臣。フランス語に堪能

    <土佐藩出身>
    河野敏鎌(こうの とがま)...。江藤新平の部下
    板垣退助...参議
    後藤象二郎…参議

    <肥前佐賀藩出身>
    江藤新平(えとう しんぺい)...。司法省。参議・司法卿。川路の上司
    大隈重信...参議
    大木喬任(おおき たかとう)…参議
    副島種臣(そえじま たねおみ)…外務卿

    <長州藩出身>
    木戸孝允(きど たかよし)/桂小五郎 (かつら こごろう..)1833年〜…太政官・参議
    山縣有朋(やまがた ありとも)…陸軍

    <公卿出身>
    三条実美(さんじょう さねとみ)…太政大臣。

    ロニー...フランス人の若者。日本びいき
    ホフマン…ドイツ人の医師。教授。

    [感想]
    私の日本史の知識では、士族が反乱を起こさなければ、西郷は鹿児島で百姓をしながら余生を過ごせたと思っていました。

    ある意味では必然だったのですね。

    西郷が征韓論を唱えた理由は気にせず、そういう主張があったとだけの認識でした。

    時代が変わることへの悲劇を感じます。

  • 「翔ぶが如く」司馬遼太郎さん。文春文庫で全10巻。1972-76の新聞連載小説だそう。

    日本史上、最大規模で、最大に哀しくダイナミックな、「幼馴染の、かつての親友同士。歳月を経て対立、そして殺し合い」の叙事詩。

    「オトコとオトコの思いが、銃弾と血の中で、歴史を描いて、炸裂する」という感じ。

    オトコ友情路線とすると、「ヒート」とか「RONIN」とか「ミスティック・リバー」とか「男たちの挽歌」とか「仁義なき戦い」とか。
    そういう趣もある、巨編です。



    (元が長い、かなり無愛想なところもある小説ですし。
    以下、完全に自己満足な備忘録、メモです)

    #

    出来事としては、明治6年(1873)の「征韓論騒動」から始まって、明治10年の西南戦争、そして明治11年の大久保利通の暗殺までを描きます。
    つまり、5年間のおはなし。

    水滸伝か!

    … と、いうくらいに色んな人が出てきて魅力的に描かれます。
    が、まあ、主に言うと。
    敵味方に分かれて戦う幼馴染のふたり。西郷隆盛、大久保利通。

    そして、それぞれの番頭的な部下である、桐野利秋(幕末では西郷のボディガードとして「人斬り半次郎」。明治後は軍人)、そして川路利良(日本の警察制度を作った官僚)。

    という四人の薩摩人がいちおう主人公。

    なんですが、序盤から話はあちこちに飛び。
    大勢の人物が出てきて、それぞれ立ち位置や経歴やエピソードが描かれ。
    それぞれの事件について、流れの中でどういう位置づけなのか、幕末からの経緯が語られる。

    司馬遼太郎さんの小説の中でも、だいぶ、「散文的」になってきている。そんな大長編。

    ですが、オモシロイ。



    「ちょんまげで、徳川幕府で、年貢で鎖国だった日本が。
    洋服で政府で税金で、外交官とか外務省とか、そういう近代国家になる」

    ということを、とにかくわしずかみに描いています。

    それが、ものすごいわくわく感。

    #

    なんとなく、「幕末」というのはイメージがあります。
    どうやって、徳川幕府が倒れたか。
    言ってみれば、戦いですね。
    坂本竜馬、新選組。

    ところが、その後、どうやって「明治日本が出来上がったか」というお話です。

    つまり、
    「えっと、どういう国にしようかな...」
    というところから始まるんです。

    もう、無茶苦茶に乱暴で、混乱で、混沌なんです。

    #

    そもそも、新しい政府っていうのは、どういうことかというと。

    徳川慶喜が「大政奉還」します。

    「もうガタガタいうのなら、幕府、辞めます。わたしは、徳川っていう一人の大名になります。ぢぁ、日本の仕切りまとめ、っていうのはさ、朝廷がやんの?やってみろよ」

    ということです。

    押し付けられちゃって出来たのが、「新政府」。
    何の能力も無い、公家と天皇家だけなんです。

    もちろん、何も出来ません。
    彼らは、薩摩、及び長州の、
    「言いなり木偶のぼう」な、だけですから。

    つまり、薩摩と長州の、せいぜい30代~40代前半くらいの若者たちが、徳川慶喜から「ぢぁあ、お前らやってみろよ」と、「日本」を投げられちゃいました。

    #

    「新政府」というのを企業に例えば、天皇家と公家だけいる、ペーパーカンパニーだったんです。
    実際は、「薩摩」とか「長州」というよその大企業の、課長クラスか係長クラスの連中が、彼らを動かしていました。

    仕方がないから、薩摩長州から人材を「新政府」に入れる。つまり、出向みたいなもの。

    急造新政府は、直属軍隊が1名もいない、というむちゃくちゃな政府。
    その上、お金もまったくありません。

    結局、「大政奉還」という寝技を前にして手も足もでなくなります。

    そして、ヤクザのように「とにかくさあ、徳川さんよお、政権だけぢゃなくて、財産もこっちよこせや」という難癖をつけるしかなくなります。
    もう、正義もへったくれもありません。

    こうして、鳥羽伏見の戦い。戊辰戦争。江戸無血開城。彰義隊。会津戦争。五稜郭...と、内戦が続きます。

    戦争自体には、勝ったり負けたりでハラハラドキドキのドラマがある訳ですが、まあ、これは新政府が勝ちます。
    (このあたりの、どうやって勝てたのかっていう魔術が「花神」という小説、大村益次郎という人物)

    で、どうするか、なんです。



    結局、徳川幕府の時代、というか江戸時代っていうのは。

    「武士」という階級のひとたちがいっぱいいて。この人たちは、まあ、行政官、政治家、役人、国家公務員、地方公務員、だったりするんですが。

    それにしては、人数が多すぎたんですね。

    もうとにかく人数が多すぎる。そしてほとんどが、簡単に言うと、働いていないんです。

    でもこの「武士=無駄な正社員」たちを食べさせないといけない。なので、農民から搾取します。農民は悲惨です。
    そして、「武士=正社員」たちには、「米」をギャラとして渡す。

    というのが、仕組みだったんです。

    ただ、長い平和のお蔭で、経済と流通が発達します。
    コメ本位では、経済的に行き詰ってきます。
    なので、勘の良い企業(藩)は、内実として「コメ生産に完全に依存する経済」からの脱却を図っていました。
    それが成功した藩は、お金に余裕が出来ます。幕末に、政治活動とか軍事活動を行うゆとりができます。
    (つまり、多くの藩は、幕末に政治活動とか戦争とか、そもそもやる余裕が無いところが多かった。もう、生きてるだけで精いっぱいみたいな経済状況)



    さて、「新政府」と言っても、色んな意見と色んな思想があります。

    その中で、実績があって、世界観やビジョンがあって、意見を通す実力がある。そういう人物は誰だったのか。「明治初年~6年までの新政府」っていうのは、つまり、誰のことだったのか。

    西郷隆盛。大久保利通。木戸孝充。

    この三人なんです。

    生きてさえいれば、大村益次郎、坂本竜馬、中岡慎太郎、あたりもここに割り込んでいたでしょう。
    でも、死んぢゃってますから。

    上記三人に、一段落ちたところに、
    江藤新平、井上馨、伊藤博文、黒田清隆、山形有朋、大隈重信、板垣退助、勝海舟...と言った面々がいる、という様相。
    (他に、岩倉具視、三条実美なんかもいますが、あくまで乗っかっているだけで、ゼロから国体を創造する、という意味では、「その他大勢」に過ぎないと言えます)

    さあ、という訳で。

    「西郷、大久保、木戸は、どういう国を作ろうと思ったか」

    ということです。



    幕府を倒す、というエネルギー、幕末というお祭りは、ペリーが浦賀に黒船で来て、武力脅迫で鎖国を破った事件への、反発から始まりました。
    とんでもないことなんですが、

    「日本何千年という国法、鎖国を復活せねば」

    という、誤解の情熱なんです。
    歴史教育というのは、恐ろしいものです。

    「鎖国を貫けない幕府を糾弾せよ」
    「そんな幕府なら要らない」
    「天子様を中心に新しい体制で、鎖国復活だ」

    という流れなんです。

    ところが。



    ごくごく一部の、インテリさんたちだけが。

    「どうも、中国などの例を学んでみると。
    それから、欧米の現実を知ってみると。
    国の仕組み、工業能力がかけ離れている。
    下手すると、ほんとに植民地にされちゃう。
    防ぐためには、神州不滅、神風だのって吠えてちゃ、だめなんちゃうか?
    彼らのマネをせな、仕方ないんちゃうか」

    という、善悪はともかく、戦略的な現実地点を判り始めます。

    そして、

    「選挙?市民?自由?平等?貿易?経済?
    うーん。欧米の、国の仕組みっていうのは...
    けっこう実は、良いトコロいっぱいあるんちゃうか?」

    「もうこりゃ、鎖国アゲインっていうのは...現実、ありえへんな」

    ということまで、感じて来てしまいます。

    (主に、いちばん先頭に立って、外国人撤廃運動=攘夷 を突っ走った、長州と薩摩の実務担当者たちが、初めにそれを痛感します。つまり、西郷であり、大久保であり、木戸です)



    徳川慶喜だろうが、勝海舟だろうが、坂本竜馬だろうが。
    そして、生き残って勝ち組になった、「西郷、大久保、木戸=新政府首脳」にしても。
    各々にエゴや事情はありますが、国家をどーする、という次元では、

    「中国みたいに、植民地、あるいは準植民地みたいにならないように、する」

    というのが圧倒的に第一位の強烈な焦りであり、欲望であり、危機感なんです。

    その為に、どうしたらええんやろ。
    日本刀では、銃に大砲に軍艦に、勝てない。
    銃、大砲、軍艦、を、買わなきゃ。
    作らなきゃ。

    その上、徳川幕府から引き継いだ、「負の遺産」があります。

    「不平等条約」です。

    訳の分からん間に結んでしまった条約は、
    「貿易をしてもまともに関税が取れない。つまり、経済的に搾取されるばかりになる」
    というヤバイものだったんです。
    このままぢゃ、経済的に「準植民地」にされかねません。

    武力として強くならないと、イザという場合に話にならない。
    それだけぢゃなくて、
    「ほら、皆さんと同じ、文明国家ですよ」
    という姿を見せないと、「条約改正」が行えない。

    これが、新政府の課題です。

    つまり、西洋風の近代国家にならねば、あかん。



    近代国家には金が必要です。
    だけど、金が無い。

    「新政府」は「大名サイズ」で言うと、そんなにデカくないんです。
    その上もう、コメ本位でぶんまわせる金額では、近代国家に必要な、「議会、学校、病院、軍隊、エトセトラエトセトラ」は、経営できません。

    「武士」という人々を「リストラ」しなくてはならぬ。 = 廃藩置県。

    #

    廃藩置県。

    これは、すごいことだったんですね。

    どうしてかっていうと、日本全国の武士たちが、政令ひとつでイッキに無職になってしまう訳です。

    なんというか、大量にいた、全国の地方公務員たちが、紙切れ一枚で、「明日から無職」という感じです。

    更にすごいのは、結局、明治維新とか、戊辰戦争とかっていうのは。
    彼らこそが、武士たちが、成し遂げたわけです。

    100%とは言いませんが、ほぼ100%。
    武士が頑張って、武士が戦って、武士が命を賭けて、達成した事業なんですね。

    しかも、彼らのほとんどは「鎖国アゲイン、アンチ西欧」という謳い文句で踊った訳です。

    #

    なので、つまり。

    勝ち組の武士たちからすると、啞然、憤然、激怒、だった訳です。

    さらにたちが悪いことに、「西郷、大久保、木戸」を筆頭に、「勝ち組の武士たち」の一部の連中は。
    東京に呼ばれて「政府の大臣とか高級官僚」になっているわけです。

    そこでは、勃興する資本主義とともに、高給を取り、商人に接待を受け、多くが浮かれて豪華な暮らしをしていたわけです。

    そして、そういった少数の勝ち組は、思いっきり西洋化していく訳です。

    これぁ、地方にいる、勝ち組(だったはずの)武士からすると、最早、殺意な訳です。
    だって、こっちは一方で、突然ギャラがほぼゼロになって、路頭に迷っているんです。

    #

    結局、「翔ぶが如く」っていうのは、つまりこの「廃藩置県」の余波の話なんです。

    もっと言うと、「武士階級の滅亡に伴う、壮大な反発の叙事詩」な訳です。

    そこには、250年の江戸時代に、思想にまで高められた「武士道」みたいな精神が、無価値に落とされることへの反発があります。

    「武士道」的な、実に前近代的で、実に非経済的な、美学みたいなものの、追い詰められた自爆の花火の壮麗さです。

    #

    武士たちは日本全国で猛反発です。

    さらには、国民皆兵によって、「武士以外が、兵士になる」ということも、激怒を買います(大村益次郎さんは、コレがどうやら主原因で暗殺されたようです)。

    一方で、農民だってたまりません。
    根本的に農民にとっては、維新とか、近代化とか、全般的にどうでもいいんです。
    なのに、勝手にそうされて、税金がコメではなくて、現金になります。
    現金なんか作れません。全国で小規模百姓が、税金のために小作農に身を落とします。
    その上、慣れない「近代化」を進める中で、まだまだ「国家官僚」の意識、モラルも低く、全国の地方行政でも汚職不正がはびこります。
    全国で、百姓一揆も頻発します。

    (司馬さんが書いていて面白かったのは、全国の百姓一揆と、「怒れる武士たち」が連携したら、政府は恐らく倒れていただろう、という。
    でも、そうならなかった。なぜなら、「武士たち」は、百姓と連携することなどを、拒否するプライドがあったからこそ、怒っていたんですね。
    ここンところ、なるほど、と、面白かった)

    という訳で、つまり。

    明治6年~明治11年くらい、この物語の頃っていうのは、明治新政府も、かなり辛かった。

    ぎりぎりのところで資金をやりくりして、不渡り寸前でハラハラの経営に追われる中小企業の経営者みたいなものです。

    #

    で、結局。

    西郷さんは、「新しい近代的な国民国家」、もっと言うと「武士無き世界」っていうものが、生理的に受け付けなかったんですね。
    恐らく、理性では判っていたんでしょうけれど。

    大久保さんは、その国民国家の成立のために、命を賭けることが出来た。そこに向けた、苦しい中小企業の経営の道筋が見えていた。
    リストラの非難をかぶって、誹謗中傷されても、折れない強さがあった。ハードボイルドな、経営者だった。

    (木戸さんは、頭が良くてほぼすべてを見通せていたのでしょうが、評論家タイプだったようですね。)

    (ちなみに面白かったのは、大久保、木戸は、始めから、[やがては選挙、憲法、議会。ある程度の民主主義が必須だ」と、思っていたんですね。「ただ、まだ早い」と。)

    #

    そして結局、西郷さんという、「武士的、男性的、人望を肉体にしたような男性」は、不満武士の暴発に担がれて、大将になってしまいます。

    確かに、この前後の史実に残っている西郷さんの言動を見ていると、もうなにか、悟ったかのような、無抵抗な「おまかせ」で生きています。

    そして、明治政府の軍隊、大久保政府に敗北して死ぬことで、「武士の時代の終り=明治維新の完成」の立役者になるんですね。

    #

    この西郷と大久保、というのが、結局はほぼ同じ村、同じ町内から出てきた、同じような下級武士。
    少年時代からの親友同士。
    ふたりで、唯一無二の「相棒」として、薩摩藩で頭角を現して。
    京都に、江戸に登り、時世に身を投じ、白刃の下をくぐり、陰謀と密談と度胸比べを生き残って、「新しい日本」の幕を切って落としたんです。

    そんなふたりが、ふたりして生き残ってしまった。

    そんなふたりが、互いに、日本を二分する巨大勢力の主として、戦争を戦う。

    近代以降の日本で最大規模の内戦の、両首領となるんです。

    うーん。これはもう、ドラマですね。
    「マイク&ニッキー」。
    「インファナル・アフェア」。
    うーん。もっとスケールがデカい。
    日本史ってすばらしい。

    #

    全体に随想風な部分も多いです。

    更には、時系列を行ったり来たりしながら、明治維新とは、明治の国作りとは、という風景を、編み物を編んでいくように見せてくれます。

    面白いことこの上ないんですが、やはり、司馬さんの幕末モノをある程度読んでからぢゃないと、多分、根気が続かずに挫折すること、請け合いです(笑)。

    実は僕自身、今回が恐らく30年ぶりくらいの再読になるんですが、10代の頃に読んだ初回は、恐らくあまり面白いと思えずに、意地で読み切った気がします...。

    「燃えよ剣」あたりからは入って。
    「竜馬がゆく」を愉しんで。
    「世に棲む日々」で長州っていう風景を知って。
    「花神」で大村益次郎と共に、明治2年まで生きて。

    それから「翔ぶが如く」。
    が、良いような気がしました。

    そして、万が一(?)、無事に「翔ぶが如く」を完読して、かつ楽しめたら。
    冷めないうちに「坂の上の雲」に進む。

    というのが、「翔ぶが如く」の(そして「坂の上の雲」の)正しい味わい方な気がします...。

  • 平成29年4月

    司馬遼太郎の本が好きなので、読み始めた。

    江戸の時代が終わり、次の時代が始まろうとしている変革期のお話。
    作るって大変だよね。
    江戸幕府を倒して、じゃあ、って言ってもね。
    みんなもっている考え方が違うんですもの。

    西郷と大久保と木戸と・・・。さてさて、ここからどうなるのでしょう。

  • 2017年1冊目の読書はこれまでに読んだことのない司馬遼太郎さんの小説。読んだ感想は、司馬さんの西郷隆盛、大久保利通、川路利良の人と成りを考察したものを本にしたものという感じ。過去大河ドラマにもなり、もう少し物語性のあるものを期待していたので、読んでみてその点は期待外れの感が強い。それでも歴史の授業程度にしか知識のない所なので、文章は難しくても興味深く読むことができた。西郷隆盛の人物像がこれまでのイメージとは違い意外な感じがした。引き続き読んでいくかはまだ考え中。感想はこんなところです。

  •  久しぶりに読み始めてしまった。。。

  • 鹿児島に行って西郷隆盛さんに興味がわいたので読み始めました。

    明治維新が成り、明治政府が混乱のなか実際イマイチな政権として一部にだけ極端な政策を推し進め、海外視察を行っている間に留守政府の間で征韓論が勃発し始めたところから、これまでの経緯を簡単に説明しながら物語が始まったところです。

    鹿児島で感じたのは、西郷さん人気はあっても大久保さん人気はそれほどなさそうってこと。
    それと、島津斉彬さん人気はあっても久光さんには低体温な反応だったことです。

    また、この本を読んで、日本が韓国を押さえようとしたのは、多分に欧米列強の植民地政策と中国のヘナチョコぶりが大きく影響していたのだな…という対外的な部分が1つ。

    そして、明治政府がしょせん抽象的な大局を論じて具体策を持たない下級武士あがりの寄せ集めで、小さな枠内で自分たちだけがエラそうにしていて、何百万という旧士族階級から身分だけを奪って無策に放置していたことから生じる大きな社会的不満に対して、彼らに何か目的を与える必要があると西郷さんは感じていた…という説明に「へぇ~!」って思いました。

    実際、何もかも新しくしようとする新政府の政策にはお金がかかるし、結局そのお金は自分たちが貿易で稼ぐとかじゃなくて、農民さんや商人さんたちから搾り取るしかないので、幕府が倒れても民衆の生活は良くならないどころか、場合によっては余計メンドウになっただけだったんだろうね。

    なんだか、明治政府の流れをくむ今の政府が「明治の日」を作るとか言いだしているけれど、笑止千万ってところだよなぁ~。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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