- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167669089
感想・レビュー・書評
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「少年は、小学五年生だった。」と扉にある。文字通り、17人の小学5年生の男子が主人公が主役の短編集。17話とも季節も環境もそれぞれ。転校、家族の入院、家族の死、性の目覚めなどの状況下の少年の気持ちが描かれる。思春期一歩手前のあの時期の戸惑いが微笑ましいと捉える人もいるかも知れないが、私は、少年たちがいじらしくむしろ切ない気持ちになった。
訳もなく寂しい時があり、居場所が欲しいのは大人も、子どもも同じ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020/05/05読了
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人生で 大事なものは、
みんな、この季節に あった。
小学五年生―
“おともだち”が“男子”と“女子”へと分かれ、
“コドモ”が“少年”へと変わる、そんな季節。
少年たちはその季節をそれぞれに受け止めながら過ごしていく。
転校や離婚、身近な人物の死で“別れ”を知る少年もいれば、
男子を置いてきぼりで成長していく女子を
なぜか意識する自分に戸惑う少年もいる。
また、別の少年は自分が抱く確かな淡い恋心に気付き―。
あなたの記憶にいる小学五年生は、どんな季節を過ごしましたか?
文章中、筆者はそれぞれの作品に登場する主人公の少年達を
名前ではなく“少年”とだけ呼ぶ。
この世代を“少年”と定義する筆者の意識が伺える。
また、田舎の漁師の息子から
うぜー死ねーが口癖の中学受験生達までが文章に登場し、
どんな読者も親しみを覚えることができると感じた。ただ、少年主観の文章で難しい言葉が多々出てくるのに違和感があったのは気になるところ。 -
何人もの小学五年生が出てくる短編集。季節の移り変わりと11歳の心模様が美しい。
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思春期ってこんな気持ちだったよなと昔を思い出した。周りの目が気になったり、言いたい事が言えなかったり、多感な時期。懐かしい気持ちが蘇る作品。
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重松清が描く少年とオトン、オカンの話はオイラの大好物だ。どの短編を読んでもニッと笑みがこぼれるし少し涙が出そうになる。「上手い!」って評価はしたくない。なんか文章のテクニックを褒めているみたいだし、それにオイラがキュンとしているのもなんか癪に障る。
ガキの頃、「勉強しなさい」「早く寝なさい」「歯を磨きなさい」とかいろんなことを両親から言われて育てられた。言いつけを守らないくせにやらないとなんか後ろめたい気持ちがした。言いつけを守れば親が安心したり喜んだりすることはわかっていたのだ。大人になるにつれてそんなことをいちいち言ってくる人はあまりいない。うるさいのは嫁くらいだ。でもあの頃の切ないような後ろめたさは感じなくなってるかな。嫌な大人になっているかも。
そう言えば小学生の頃は夏休みが楽しみでしかたなかった。オイラは大人になっても夏季休暇が大好きだ。「夏」の「休み」はなんだか楽しいことが起きそうでワクワクしてしまう。真っ黒な子どもたちを見ると幸せな気持ちになる。いつまでも夏に恋するこの気持ちのままでいたい。 -
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