小学五年生 (文春文庫 し 38-8)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167669089

感想・レビュー・書評

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  • ーー重松清さん作品の「子ども」はタイムマシンだ。

    手を取って教室まで引き込んでくれる。僕も生徒のひとりになった感覚にしてくれる。それはくすぐったかったり、ヒリヒリしたりするが、干上がっていたあの頃の感覚がみずみずしく蘇ってくるのを感じる。

    今、僕にはちょうど小5の娘がいる。去年まで男の子の家にお邪魔させていただくこともあったが今年から行かなくなった。背が急に伸びだす子もいる。

    つまり「小学5年生」は男女それぞれを意識し始める頃。ここからが分かれ道が始まる。逆に言えば、この頃までは「男女が体験や感覚を共有している」とも言える。

    だから重松さんは第二次成長前の子どもたちをよく登場させるのではないかと思った。元「男の子」の男性読者も、元「女の子」の女性読者も共感できる領域が広い小学5年生。タイムスリップさせるには最適な季節だ。

  • 重松さんの本は15年ぶり位。当時は「小さき者へ」「きよしこ」「エイジ」など読んで、自分も子供が出来たらまた読み直そうと思っていたら、子供はあっという間に小6に。「小学五年生」という本を見つけて当時のことを思い出して読み始めた。
    どの物語も重松節があり、懐かしかった。
    「葉桜」、「おとうと」、「友だちの友だち」、「カンダさん」、「雨やどり」がお気に入り。

  • 小5って微妙な年代

  • どれも心に沁みるお話だった。ホントは息子が五年生の時に読もうと買ってたのに積読に埋もれてた。

    思春期の入口にたった少年たちが愛おしくって。この時期に色々経験してほしいなぁと思います。久々にほっこりした余韻に浸ろう。

  • 超短編だが、心にグッとくる物語。
    『友だちの友だち』はどんどんふたりが素直な気持ちを出していくところが感動。
    『南小、フォーエバー』少年のとても切ない気持ちの表現がたまらない。
    『ケンタのたそがれ』母親への思い、父親への思いに涙。
    自分の小学五年生の頃と比べ思い出しながら読みました。

  • 小学5年生って義務教育の中でいちばんモヤモヤした時期だったなぁと思う。
    4年生だとまだまだ子ども!って感じたけど、6年生には大人だなぁ、あと一年でわたしも…と羨望の眼差しを向けていた。

    今まで仲がよかった子との間に、うっすらとした上下関係や立ち位置が生まれたり、ちょっとした一言にイライラしたり、傷ついたり、気になる子はいるけれど「好き」という感情を認めたくなかったり…。
    この中途半端な「小学5年生」という学年は、からだの変化だけでなく心の変化も著しい時期でもあると思う。

    「大人」でも「子ども」でもない。
    曖昧で不安定な階段を登りきった先には、どんな未来が待っているのだろう。


  • いろんな5年生が登場する、短編集。
    当然ながらその数だけ、いろんな境遇や性格もある。大人への階段を登りつつある年頃ならではの悩み、楽しさ。いろんな角度から楽しめました!

  • ポンキッキーズのエンディングソングだった、米米CLUBの“”Child's Days Memory”が流れてきそうな、重松清の小説。
    自分の小学五年生というと、善悪をはっきり区別できる良い担任に恵まれた時期だった。奇しくも自分の長男も今小学校五年生の年齢。
    この短編小説に出てくる小学五年生の主人公は、様々な境遇に置かれている。世の中のことが少しずつ見え始めてくる、そんな年齢で見える世界は、同じ年齢でも境遇によって人それぞれ異なることを今更ながら気づかせてくれる。
    自分の子供も、小学五年生の僕が体感した日常とは違う体験をしているだろうし、もう自分の尺度が当てはまらない時期に達しつつあることを悟らせる。

  • 中学受験の国語の素材分としてよく出てくると聞いて、読んでおいたほうが良いのかと思い買ってみた。
    小学5年生の少年が主人公の短編がたくさん収録されている。

    途中までは小6息子と寝る前の音読に使用していたけれど、「おっぱい」「セックス」など、音読するのは恥ずかしいだろうなぁ、というワードが出てきたので音読には別の本を使うことにした。

    ひとつひとつの物語はとても素晴らしく、少年の心理描写がほんとうにいきいきとしていて、著者は一体何歳なんだろう?と思ってしまう。
    少女だった私も小学校5年生くらいでこんなこと考えてたのかな〜?とぼんやりと思い出す。
    けれどやはり小学生の日常や感情をここまでリアルに思い出すなんてとうてい無理で、著者はいつまでも少年の心を持っているんだろうなぁ、と感じた。
    小6の息子もまた同じようなことを日々経験し、日々思っているのかもしれない。

    最初は受験のために・・・と思ったけれど、受験とは関係なく色々勉強になるなと思った。
    クラスメイトの突然の転校や、近しい人との死別、見知らぬ大人や恋心など、普段経験しないようなことを物語を通して追体験することができる。
    息子はちょっと世間ズレしているところがあり(ちょっとお花畑なところがあり)、こういった現実があるということ、またそれに直面するとこういった心理になるということ、を学べると良いなと思う。

    フィクションではあるけど、小学5年生ってそんなに子どもじゃないんだな〜、実は大人が思ってるよりはるかに色々なことに気づいて、社会のことを分かっているのかもしれないな〜と思った。
    息子の子ども扱いを卒業せねば〜、という自戒にもなった。

  • 小学5年生って大人でもないけど子供でもない、小学生だともう大人扱いされるような年齢で。
    体の変化だったり、友達との関係も複雑になってきてっていう時期だったよなぁ、と思った。

    重松清さんの本って子供が出てくることは多くても子供のことだけが書いてある本って珍しく感じて読んでみました。
    短編だけどどれもストーリーが素敵で、最後いつもああ、素敵な終わり方って言う感じで終わる。

    また読み返したい本だった。娘たちが小学5年生になる頃にまた読みたいなと思った。あと6年後だなー(笑)

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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