不運な女神 (文春文庫 ゆ 8-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
  • (17)
  • (38)
  • (136)
  • (20)
  • (1)
本棚登録 : 568
感想 : 72
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167727017

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「いいことの数は決まっていて、誰かが余計に手にすれば、誰かがあぶれる」。駆け落ちした相手に逃げられたり、しんだ夫の連れ子と姑に手を焼かされたり……。とことん男運にめぐまれないヒロインたちが、何かをつかみ取っていく姿を描く。情感あふれる八つの恋愛短編。(裏表紙より)

    最初の物語に登場する脇役の人物が次の物語の主人公になる短編集。
    こういう話ってよくあることなのだろうか?広い世間だからあるんだろうけど…。
    題名の通り、悲しい(?)お話ばかりでした。

  • 不幸な女性をたくさん記述している。
    別冊文藝春秋とオール読物に掲載したもの。
    2001年から2003年。

    初めの数題は、前の話の脇役が、次の話の主役になって、関連した話しになっている。

    唯川恵の腕が鳴っている。

    どんなに不幸な人間を主人公にしても、
    誰かを恨んだりすることがあっても、
    犯罪をひょっとしたら犯すことになるかもしれなくても、
    人間性を持っていようとする意思を感じる。

    どんなに運が悪くても、
    人間として生き、
    人間として暮らし、
    社会の片隅になっているか、社会を支えている。

    どうしてここまで丁寧な思いを綴ることができるのだろう。
    自分と違うのであれば、雑な記述になるかもしれない。
    自分と同じであれば、怨念が先立つかもしれない。
    淡々と、包み隠さず、騒ぎ立てず、
    悲しいことは悲しく、
    嬉しいことは嬉しく、
    始めがあって終わりがある。
    そんな著者に敬意を表したい。

  • 題名通り、不運な女性達の連鎖。自分の立場が違うと、人の見方も全く変わってしまう。でも、根底に流れる思いは一緒かも。

  • 駆け落ち相手に逃げられた「道連れの犬」夫に先立たれ連れ子と姑に苦心する「不運な女神」すべてを理解していた義兄を亡くした「凪の情景」前妻から奪った旦那との離婚を拒否し続ける「琵琶」親子三代出戻りの「ドール・ハウス」別れた夫の家族と出くわしてしまう「桜舞」男に翻弄される人生から離れる「帰省」たった1人の男に全てを捧げた「彼方より遠く」
    男運に恵まれない女性たちの恋に翻弄されながらもそこから一歩を踏み出す8つの物語。


    ☆☆☆
    女性達の感情がとてもリアルで1人1人の人生にのめり込んでしまう。女は脆くてでも強いなぁと思う。

  • まるでノンフィクション。


    とことん男運に恵まれないヒロインたちが、恋に翻弄され、揺れ動きながらも、何かをつかみとっていく姿を描く。情感あふれる八つの恋愛短編。

    このように紹介されていましたが、私としてはこの紹介のされ方は相応しくないと思います。
    だいたい、男運に恵まれないっていう表現が違うのでは?と。
    運に恵まれる恵まれないじゃなく、その人を選んだのは自分自身。
    そんなこと言われなくてもわかってるわ、それくらいの強さがある主人公ばかりでした。
    だからこそ、小説として成り立っているのだと思います。

    個人的には、「不運な女神」「ドール・ハウス」「帰省」がお気に入りです。
    どうして大切なものが一つじゃないんだろう。
    もし一つだけだったら、どんなに幸せなことか。

    当たり前だけど、“みんな幸せ”なんてあり得ないんだよね。
    みんな誰かを傷つけて、誰かに傷つけられて生きているんだよね。
    なるべくそんなことないといいんだけど。

  • 男ってみんな浮気するものなのかなあと思わされる(苦笑)そういう男をつかんでしまう女の人ばかりの物語。でも自分の身に降りかかる可能性もなくはないよね…

  • 駆け落ち相手に逃げられたり、再婚相手と死別して夫の連れ子と姑と暮らさなければならなかったり、男運に見放され、残された状況に翻弄されながらも次のステップへと踏み出していく女性を描いた8つの短編。
    それぞれの主人公は別の物語の中で登場したり、関係者がいたりと微妙につながっていて、同じシーンが別視点で語られるときもある。するとその時見えなかった想いや景色が現れたりする。。。

    夫と離婚寸前の主人公とかつて主人公が夫を奪い取った前妻との手紙のやりとりを書いた「枇杷」の終わりがみずみずしくて好きだ。

  • 可もなく不可もなく… 短編なので読みやすかった。

    けど、無理やり不幸っぽいなーと思うし
    見る角度を変えたら不幸でもないんじゃない?とも思って
    なんとなーく読み進めてしまった感じ。

  • とことん男運に恵まれないヒロイン達が、恋に翻弄され

    揺れ動きながらも何かをつかみとっていく姿を描く短編集。

    それぞれの話で、最終的には自分にとって大切なものを見つけてく。

    私ってほんとについてないって言っている人は

    きっと自分にとっての大切なものに、気がつかないだけなのかなって思う。

    幸せの価値観は人それぞれだな。

    唯川さんの描く女性はいつも、醜い一面と素敵な一面の両方を備えている。

  • 8つの短編集。
    その中で『枇杷』という話が、すごく印象的でした。

全72件中 1 - 10件を表示

唯川恵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×