- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167801809
感想・レビュー・書評
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最後の流れが若干強引なのが残念。
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拘置所の独房。執行宣告を待つ死刑囚。気も狂わんばかりの恐怖がひたひたと伝わってくる。想像を絶する極限状態。興味と好奇心が思わず前のめりにさせる。最後の最後まで前傾姿勢のまま一気読みであった。
犯罪者への報復を目的とする応報刑思想。また、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除こうとする思想。現在の法制度はこの二つの思想を止揚させることによりできあがっている。問題は運用方法。常に権力の側が恣意的に用いる危険を孕んでおり、そもそも多様な事情を抱えた人間を一律の法で裁いてしまうことに根本的無理がある。理想と現実の矛盾に翻弄され悩みながらも、その時その瞬間に最善の判断を尽くす南郷の姿に激しく心惹かれた。ラストの潔い決断が格好よすぎる。 -
死刑制度について考えさせられるた。やるせない気持ちになった。万人を救うルールを作るのはなんて難しいのだろう。人の業とは恐ろしい。
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期待したけど、それほどドキドキしなかった。
わたしのドキドキ指数が上がっただけだと思う。
文章はとても素晴らしい。他の本も読んでみたい -
2012/7/13
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同著者の「ジェノサイド」が面白かったので読み始めた。
ジェノサイドは専門的な語句も多く難しい箇所もあったが、こちらはスイスイ読むことができた。展開も面白かった。
これまで考えてこなかった死刑制度について考えさせられるものだった。 -
前評判通り、一気に読み進めていける作品だと感じました。
ただ、作者があとがきに書かれている、"どちらが勝っているか"の優勢•劣勢関係は、もちろん読み進めて行く上で重要なモノとなったが、やはり、現行の死刑制度、法律のある問題についての解釈に、私自身はどっぷり惹き込まれていました。
そういう意味では、その優劣関係が、どんどん読み進めさせるためのカンフル剤的な要素にあったのかとしれません。 -
死刑とか冤罪とかを扱ってるからちょっと難しくて重い。
内容は面白かったけど最後がイマイチだった。
真犯人があっさりわかっちゃったり、依頼人も急に、しかも当然のように現れて暴れたと思ったらあっという間に終わっちゃったり、シメがなんとも言えぬ感じ。
死刑制度についてはあまり考えたことがなかったので良い勉強になった。
ちなみに著者高野和明さんのデビュー作であると同時に江戸川乱歩賞受賞作品です。
ストーリー
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。 -
冤罪がテーマの作品でしたが、それよりも、純一の気持ちと言うか、自分の彼女が同じ目にあったら、自分はどうするだろうと考えさせられました。親告罪とは、初耳です。被害者は思い出したくもないだろうし、だいぶ酷なことだと思います。法律は、決して弱き者を救うわけではない、そんなことはわかります。公平、対等でなければなりません。でも、やりきれない気持ちと言うのは、どこにもっていけば良いんでしょうね。他人事だから、冷静に分析できますが、自分の事となったら感情的に動かざるをえないと思います。